最近はもっぱら地下鉄通勤でございます。
それまではUber中心で地下鉄はたまに乗るくらいでしたが、近頃のUber高騰しかも勤務時間自体も元々さほど長いわけではないので、これに毎日往復分支出するのが妙にバカらしくなり、最近は完全に庶民の足に頼るようになりました。（実は我が家は駅から徒歩1分。むしろ今まで何しとったんだがねって話ですが）。この国、基本的に公共交通機関が激安です。職場最寄駅まで６ポンド。最近の通貨安もありますが、日本円でおよそ20円弱！。
エジプトの地下鉄って、本当にエンターテイメントの宝庫なんです。よく耳にしがちなココが変だよ日本人論に「日本人は電車内ではスマホばっか見とる！」的なのがありますが、まあエジプト人も大概スマホいじってます。通話もするし、動画も観るし、ゲームもするし。音量オン。（今までで一番面白かったのは、女子大生っぽいエジガールが大音量でバイオハザードやっててゾンビ退治に励んでいました。車内に響く銃声とゾンビのうめき声。このくらいには車内は自由な雰囲気です）
で、車内には物売りもいます。カミソリやら延長コードやら謎の高機能セロテープなどなど、アラビア語はわかりませんがそれはそれは軽快な口ぶりで啖呵売りをしています。よってらっしゃい！みてらっしゃい！的なやつです。しかも買う人がまあまあいる。
で、物乞いの方もたまにいます。自身に降りかかる不幸の数々をたいそう悲しそうに語り、周囲の同情を誘います。そして凄いのは、結構な数の人々が実際にお金を恵んでくれるんです。これ、全車両まわればソコソコの稼ぎになる気がします。
さらに、車内では日本にはない人間模様もたくさん見られます。日本人の多くは、まるでこの世は透明の世界で、己以外の人類なぞ一切存在しないかのように一直線にお尻を座席に吸い込ませにいきますが、ここエジプトでは席の譲り合いが本当にすごいです。若者が一度腰を下ろしても近くに年長者や女性を見つければすぐに立ち上がり、ホレホレここにお座りなさいと眼と指で合図を送ります。ふくよかな人が立ち上がるときは、まったくの他人でも手を差し伸べて、せーので腕をグイッと引っ張ります。車椅子の人が降りるときは周りの男性が自然と集まり、神輿を担ぐかのような高さまで持ち上げてくれます。目の前の席が空けば、隣り合った他人同士が「お前座れよ」「いやいやお前が座れよ」とお互いをツンツンしあいます。
これだけ聞くと、これぞまさしく現代日本人が失ったホニャララ的な涙腺ビシャビシャポイントだらけで大変良好な感じなんですが、なぜか乗り降りのときは菅原文太も恐れ慄く仁義なき戦い。乗る人も降りる人も我先にと進撃しあう修羅。私がはじめこの光景に面喰らってたら、優しいエジ兄さんが私の背中に手を当てて一緒に降りてくれました。一刻も早くこの国に「降りる人優先思想」が芽生えてくれないかといつも思っています。まだまだエジプト人のことが理解できません。
地下鉄出勤はUberに比べればやはり億劫っちゃ億劫なんですが、こういった光景にたくさん出会えるため任国理解には良い手段だと感じています。これからは通勤時だけでなく、地下鉄で色んなところに行ってエジプトやエジプト人のことをもっと理解したいと思います。胸をたたいて冒険しよう。
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