夏の残り香 | ピースメーカーコウヘイの日記

夏の残り香

天気がいいから、と異邦人の主人公ムルソーのような
よくわからない理由をつけて、彼女をドライブに誘った
久しぶりに会った彼女は髪型が変わっていて
少し大人っぽくなっていた

彼女の希望で内灘のラーメン屋藤へ行くことに
お互いの近況を話しながら車を走らせた
「少し太ったよ~」と言う彼女
「確かに」と僕は頷いた
逆に僕は痩せていて、それがお互いの状況を明白に表していた
「はい」と箸を差し出した左手に光るリング
僕はそれを無言で眺めていた

夏の思い出を辿るように海へ向かった
冷たい北風が海を支配して 波は荒々しく飛沫をあげる
夏のように容易に海に近づける状況ではなかった
そして、僕たちの間にもはっきりとラインが引かれていた
ふいに窓を開けると風が吹き込んできて
彼女の髪を揺らした
シャンプーの香りが漂う
それは懐かしい夏の香りだった

*あとがき*
なんなんでしょう?自分でもよくわかりませんが、今日久しぶりに会って、いろいろな事が変わっちゃったな~と思いました。僕の気持ちも変わった、というのは実感しましたね。そして僕は、僕らはお互いの人生に接点はあったけど、二人のレールは平行には敷かれていないということも実感しました。そういうことです。(気づくの遅い? 笑 でもなんか胸が切ないよ。しょうがない、秋のせいにしよう