善導さまからは、300年ほど前に、
インドに[無着むじゃく]という人がいました。

弟の[天親てんじん]と共に、
[竜樹りゅうじゅ]のあとの仏教界の中心人物です。

この人は、大哲学者であり、カリスマ性もあり、
影響力の強かった人です。

この人が、
[お念仏では、すぐに往生などできない。
往生は、ずっと後のことになる]
と言ったものですから、
お念仏をする人が、ガタッと減ってしまいました。

そんな状態が100年も続いたといいます。

善導さまは、これに対して、猛然と論駁します。

師匠であった[道綽どうしゃく禅師]の論を徹底していきます。

そこには、頭で考えるだけでなく、
実践を伴った裏づけがありました。

[念仏によってこそ、誰もが、すぐに、往生できる]
という叫びがそこにはありました。

しかし、悲しいかな、
[無着]のカリスマ性には勝てませんでした。

再発見されたのが、善導さまから500年後の日本。
法然上人の慧眼によってでした。

親鸞聖人は、
[善導 ひとり 仏の正意を 明かす]
と述べられておられますが、
法然上人を通じてのことです。

わたし共も、
法然上人の発掘がなかったら、
聖人と成るほどの器量もなく、
その辺を[さまよって]いるに違いありません。

わたしも、この年になってきますと、
このような「めぐりあわせ]が、
とても嬉しく感ずるのです。