画像編集のはなし  (~蓼科大滝) | KOHのブログ

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滝へ行こう カメラを持って

今回は画像編集(レタッチ)のおはなしです。

 

1. 画像データと編集ソフト

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私の場合、撮影モードはほぼ全てRAW(ロウ)で撮っています。RAWデータは専用のソフトでないと見られず、このブログなどにもそのまま投稿できません。

カメラがフィルムだった頃、写真を見るためにはフィルムを薬品処理し、印画紙に焼付けて可視化する「現像」が必要でした。この習慣になぞらえ、RAWを編集しJPEGなどの汎用データに変換することを「RAW現像」などと呼んでいます。カメラメーカーによってRAWの互換性がないため、キヤノンであればDPP、SONYであればImageEdge(Edit)など、専用ソフトが準備されています。しかし、SONYのImageEdgeは使いにくいため、私はアドビ社のLight room(ライトルーム)をもっぱら使用しています。Light roomは買い取り時代からの古い付き合いですが(今は月額制)、今だに操作を極めたとは言い難い状況です。口笛

 

2. 撮影時の画像

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こちらがRAWで撮ったままの画像です。サンプルは前回ブログでアップした蓼科大滝です。

ご覧のとおり、かなり暗い画像です。いわゆる露光量不足の状態で撮影しています。

 

 

このように撮影したのは理由があります。この日は朝日の光が強すぎて、滝の水が”白飛び”してしまいました。スローシャッターでは尚更です。これを押さえるため、相当強めのNDフィルターを付け、更にマイナス側で露出補正しています。

ところで、カメラというのは人間の目に比べて明暗の差に弱く、目で見ていると綺麗に見えていてもカメラで撮影すると明るいところから暗いところまでしっかりと写し出すことができません。明暗差が大きい被写体を前にした場合、暗い側を明るく補正するか(黒つぶれ防止)、明るい側を暗く補正するか(白飛び防止)、つど撮影者が判断する必要があります。

後で画像編集することを前提にすれば、情報がなくなってしまう白飛びを避ける方がはるかに編集しやすくなります。今回このように露光量不足で撮影したのは、そういった理由のためです。ウインク

RAWデータを無編集のまま変換することもほとんどありませんが、それにしても、ここまで明暗差が出てしまうシチュエーションは滅多にありません。

では、この画像をそのように仕上げてゆくのか、順を追って見ていきます。

 

3. 画像編集(レタッチ)

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①諧調(自動補正)

編集の際、まずどこから始めるか。諸説あると思いますが、ここまで暗い画像の場合は露出を修正するのが先だと思いました。そこで、「階調」の「自動補正」を使って編集したのが下の画像です。

 

ソフト任せにせず、もちろん一から自分で行うことも可能ですが、この自動補正は結構使える便利な機能で、重宝しています。最近は、まずこれでスタートして後は微調整、というパターンが多いです。

上の画像のとおり、滝の流れなど暗い部分の状況がはっきりしてきましたが、やはり自動補正だけでは完成とはいえないレベルです。

 

②諧調(~微調整)、外観 

もう少し諧調を微調整し、暗い部分をより明るくします。自動補正で変わったレンジをベースにして、各レンジを大きく崩さないように調整します。画像の上の方の緑を少し鮮やかにしたかったのと、滝の流れを柔かくしたかったので、「外観」の「明瞭度」「自然の彩度」などで修正しています。

 

 

③色味の調整

滝の場合、水の色をどのような感じに仕上げるか気を使います。といっても正解はなく、最後は好みになってしましますが。上の画像では、中心右の太い流れがやや青みがかったので、「ホワイトバランス」の「色温度」や「外観」のや「彩度」「自然な彩度」などで修正します。②③は手順が逆になることも、ままあります。

 

ここまでで、ほぼイメージ通りに近づいてきましたが、若干気になるのが、画面中央の滝の上の流れと滝壺が明るくなりすぎていることと、一番の主役となる中央右の太い流れがやや暗いことです。最後に、ここを調整します。

 

④部分修正~完成

色の修正であれば、青系だけとか赤系だけのように「HSL」などで調整が可能です。しかし暗い所だけを明るく、または明るいところだけを暗く、みたいな調整は少し手間がかかります。Light roomには「補正ブラシ」という部分的な修正が可能な機能があります。下が編集が完成した画像です。

 

 

<Before>

 

黒つぶれしたbefore画像と比較すると、かなり違った絵になっていると思います。画素数が足りないカメラやJPEG画像でここまで諧調をいじると、ノイズだらけとなってしましますが、フルサイズのRAWデータはデータが破綻せずに仕上げられるので助かります。

 

ほんの一例ですがご紹介まで。毎回こんなレタッチをしています。本当はレタッチなどせずに、一発で撮影できればいいのですが、そこまでの腕はなく、特に滝撮影だと難しいですね。

長々とお付き合いいただき、ありがとうごあいました。ニコ