勇者と段々崩壊していく世界
………うむ。
あらま、黙ったと思ったらそれだけかい?
僕は盗賊が冗談を言っているようには思えなかった。であるならば、考えなくてはいけない。なぜ盗賊が国を狙うのかは重要ではない、なぜ国を盗めると思うに至ったかが重要だ。
…俺のせいか?
僕が導き出した答えはこうだった。
そうだね。お前の話を聞いた時に、国なんていうでかいものを本気になって奪い取りにかかれるチャンスは今しかない、と決めた。お前は話が早くて助かるねえ。
僕の答えは当たっていた。
本気になって奪い取りにかかれるチャンス、か。
ヤマはでかけりゃでかいほど燃えるものさ。目の前にひとつ、国の基盤すら揺るがすものがあるかもしれないと知りゃあ動くなって方が無理な話だよ。盗賊だからねえ。お前のせいだねこれは。
そう言うと、仰向けになっていた盗賊がまた僕に背を向けた。
悪いことをしたな。
僕がそういうと、盗賊は、
勝手にしなよ、
と、いった。
お前もトッツクポーリに向かうということか?
背中越しに盗賊がこたえる。
行くだろうね。この件はスピードが肝になってくる。できるだけ早く向かうつもりだよ。できるだけ早く情報をつかみたい。ただ無駄足を踏むつもりはないんだ。国の考えもある程度知っておかなくちゃならない。何も知らずにトッツクポーリに行って命からがら情報を仕入れて、意気揚々と帰ってきた時にはもう国を盗れる状況じゃない、なんてことにはなりたくないからねえ。勇者部隊が壊滅した今、国がどう動くかまだわからない。どうせまた勇者を集めるだろうが、
集めるのか!?
盗賊の話をさえぎって、盗賊の左肩をつかみ、声を荒げた。
耳元でうるさい。もう寝かせてくれよ。
そういうと、盗賊は大げさにあくびをした。
これだけは答えてくれ。
僕は盗賊の肩を揺さぶった。
さもめんどくさげに、盗賊は、
いいかい。少し考えればわかるだろうに。部隊から連絡が途絶えることを国は想定していたはずだよ。お前が持っている冒険の書がまさにそれを証明しているだろ。トッツクポーリに入ったら連絡なんて途絶えるさ。そう書いてあったし、お前もそう言ったじゃないか。なにかい?、トッツクポーリにも戦場の郵便配達人や新聞記者でもいるのかい?。なぜフナムシ君が二通目と三通目を連続して書いておきながら、その到着に時間差があったのか考えなかったのかい?
と、いった。僕は盗賊が言わんとしようとしていることにやっと気づいた。同時にいままでそれに思い至らなかった自分を責めたくなった。
第一陣はどうみても捨て駒だよ。当然なことだけどさ。むろんあわよくば目的を果たすつもりはあったろうがねえ。それが手紙の時間差に繋がるわけだ。タイムリミットが用意されていたのさ。おそらく連絡が途絶えるって報道があった日がそうだろう。そうでも言っておかないと、第二陣を招集、編成できないからねえ。
淡々と盗賊は語る。
冒険の書はきっと国にもいくつか送られてきているのだろうよ。見聞録の最後に壊滅は必至とか、現存兵による攻略は不可能とか書かれてさ。ここ最近トッツクポーリになにか動きがあるわけじゃあない。何も起きていないということだね。ということはつまり、三国の部隊に成果はなかったということになる。あたしが思うにもうそろそろ国は何か動きを見せると思うのだけど、他の国やトッツクポーリの王様の意向まで含めて考えると、いまいちよくわからないねえ。あっちから次をよこせと声明があってから第二陣を集めるのか、ウエノが勝手に集めるのか。それともあらかじめ予定されていた日に三国同時に再出撃するのか。わからないことだらけさ。だから慎重にならざるをえないのだよ。
招集があるなら、俺はなんとしても行くぞ。
僕がそういうと、
こまったもんだ、
とだけ、盗賊はこたえた。
あらま、黙ったと思ったらそれだけかい?
僕は盗賊が冗談を言っているようには思えなかった。であるならば、考えなくてはいけない。なぜ盗賊が国を狙うのかは重要ではない、なぜ国を盗めると思うに至ったかが重要だ。
…俺のせいか?
僕が導き出した答えはこうだった。
そうだね。お前の話を聞いた時に、国なんていうでかいものを本気になって奪い取りにかかれるチャンスは今しかない、と決めた。お前は話が早くて助かるねえ。
僕の答えは当たっていた。
本気になって奪い取りにかかれるチャンス、か。
ヤマはでかけりゃでかいほど燃えるものさ。目の前にひとつ、国の基盤すら揺るがすものがあるかもしれないと知りゃあ動くなって方が無理な話だよ。盗賊だからねえ。お前のせいだねこれは。
そう言うと、仰向けになっていた盗賊がまた僕に背を向けた。
悪いことをしたな。
僕がそういうと、盗賊は、
勝手にしなよ、
と、いった。
お前もトッツクポーリに向かうということか?
背中越しに盗賊がこたえる。
行くだろうね。この件はスピードが肝になってくる。できるだけ早く向かうつもりだよ。できるだけ早く情報をつかみたい。ただ無駄足を踏むつもりはないんだ。国の考えもある程度知っておかなくちゃならない。何も知らずにトッツクポーリに行って命からがら情報を仕入れて、意気揚々と帰ってきた時にはもう国を盗れる状況じゃない、なんてことにはなりたくないからねえ。勇者部隊が壊滅した今、国がどう動くかまだわからない。どうせまた勇者を集めるだろうが、
集めるのか!?
盗賊の話をさえぎって、盗賊の左肩をつかみ、声を荒げた。
耳元でうるさい。もう寝かせてくれよ。
そういうと、盗賊は大げさにあくびをした。
これだけは答えてくれ。
僕は盗賊の肩を揺さぶった。
さもめんどくさげに、盗賊は、
いいかい。少し考えればわかるだろうに。部隊から連絡が途絶えることを国は想定していたはずだよ。お前が持っている冒険の書がまさにそれを証明しているだろ。トッツクポーリに入ったら連絡なんて途絶えるさ。そう書いてあったし、お前もそう言ったじゃないか。なにかい?、トッツクポーリにも戦場の郵便配達人や新聞記者でもいるのかい?。なぜフナムシ君が二通目と三通目を連続して書いておきながら、その到着に時間差があったのか考えなかったのかい?
と、いった。僕は盗賊が言わんとしようとしていることにやっと気づいた。同時にいままでそれに思い至らなかった自分を責めたくなった。
第一陣はどうみても捨て駒だよ。当然なことだけどさ。むろんあわよくば目的を果たすつもりはあったろうがねえ。それが手紙の時間差に繋がるわけだ。タイムリミットが用意されていたのさ。おそらく連絡が途絶えるって報道があった日がそうだろう。そうでも言っておかないと、第二陣を招集、編成できないからねえ。
淡々と盗賊は語る。
冒険の書はきっと国にもいくつか送られてきているのだろうよ。見聞録の最後に壊滅は必至とか、現存兵による攻略は不可能とか書かれてさ。ここ最近トッツクポーリになにか動きがあるわけじゃあない。何も起きていないということだね。ということはつまり、三国の部隊に成果はなかったということになる。あたしが思うにもうそろそろ国は何か動きを見せると思うのだけど、他の国やトッツクポーリの王様の意向まで含めて考えると、いまいちよくわからないねえ。あっちから次をよこせと声明があってから第二陣を集めるのか、ウエノが勝手に集めるのか。それともあらかじめ予定されていた日に三国同時に再出撃するのか。わからないことだらけさ。だから慎重にならざるをえないのだよ。
招集があるなら、俺はなんとしても行くぞ。
僕がそういうと、
こまったもんだ、
とだけ、盗賊はこたえた。