微笑シリーズ。震えているのは寒さのせいだろ、怖いんじゃないね。 | からだに恥をかく体操〜えんぴつみがき〜

微笑シリーズ。震えているのは寒さのせいだろ、怖いんじゃないね。

「世の中怖いものってたくさんありますね」
『はいはい、そんなものはちょっと考えたら、見当たらないね』
「はい、そのたくさんある怖いものの中でもなんてったってやはり…って見当たらないのかよ!」
『ベタ過ぎて逆に新鮮なコールアンドレスポンスになったな』
「ボケとツッコミって言えよ。なんだよコールアンドレスポンスってミュージシャンじゃねえんだから」
『まあ、ミュージシャン…………ではないよね』
「何もないなら無理すんなよ」
『何もねえよ!!』
「なんだよ突然」
『おれは怖いものなんかなんもねえよ!!』
「ボケがじゃなくてそっちか。まだつながってたのかよ。会話下手か!」
『怖いものなんかかけらもないね』
「かけらも、でも少しぐらいは」
『ないね!』
「ほんとかよ。じゃあ例えば、幽霊とか」
『はん!』
「いななかれた。鼻でいななかれた」
『幽霊?、はん!』
「鼻をいからすな鼻を」
『幽霊なんざ世の中的にも怖いもののカテゴリーにすら分類されてないだろ』
「いや、十分されてるよ」
『………本当?』
「そこはまた鼻でいななくとこだろ!。なに、流行語を自信満々で間違った使い方してたのを正されたちょっとハイソなお姉さんみたいなリアクションしてんだよ!。世間知らずか!」
『なんか、今日はあなた妙に張り切っていますね』
「うるさいよ!」
『まあ、幽霊といっても僕にはどこが怖いのか理解できませんね』
「いやいや、やっぱりその、怖いでしょ。取り憑かれたり、呪われたり」
『呪われたりねえ』
「ほら、引っ越したら昔からそこにいる人に、ここは昔墓地だったんだよとか言われたら、怖いだろ」
『うーん、やっぱり理解できませんね』
「ほんとかよ」
『だって僕、常に塩を持ち歩いてますし』
「怖くないのになんで塩なんか持ち歩いてんだよ!!」
『そりゃお前、塩っていったら汗かいた時の疲労回復用だろ』
「ああ、はいはい、疲れた(憑かれ)時用ね。ってもうなんかうざい!」
『どうした?、急にツッコミがいつものように雑になったぞ』
「うるさいよ!」
『幽霊なんて怖がったところで、塩ぶちかませば一発ですからね』
「だからその、脅威に、畏怖の対象だと思ってるから準備してるんだろ?」
『いやいや、そうはならないだろ。おれは対処法を言ってるだけでね。恐怖とは別の話だ』
「でも、怖いと思ってるから、対処法を考えてるわけだろ」
『お前とは話にならねえよ!』
「キレるなよ」
『じゃあなにかお前、戦争してるとして前線に派兵されるときに銃持っていかないわけ?』
「そりゃ持ってくだろ。というか何も持たずに行ったらおかしいだろ」
『だろ!?。みんなそうする。そういうことだ』
「いや、よくわかんねえけど」
『だから、相手兵士と戦う事態になることに恐怖を感じてることと銃を持って前線に赴くこととは別の話だってことだよ!。もう戦闘したくてたまらん奴だって中にはいるだろが』
「…よくわかんねえって」
『まさか、まさかのリアクションだよ!。バカが!』
「もっと単純な話でたとえてくれよ」
『これ以上ない話だったろうが。じゃあ、駅前でティッシュ配りしてるだろ?』
「うん」
『駅前広場の入口と駅入口付近で同じ会社のティッシュ配りしてるとする』
「うん」
『はい、駅前に来ました。初めの人にティッシュ貰いました。でも2個目のティッシュ向こうで配ってることに気づきました。2個目は邪魔になるから貰いたくありません。2個目配ってる人と目があいました。近づいてきます。無視するのはなんだと思ったあなたは、さあどうする?』
「貰った一個目を手にして、さりげなくアピールする」
『正解』
「……だから?」
『は?』
「いや、だからなに?」
『なにが?』
「いやいや、なんつうかなあ。だから何が言いたいんだ?」
『へ?』
「だから、あれだよ。コンビニに入るとするだろ」
『おう』
「そのコンビニでさ。粗大ゴミに張るシール買おうとしてるんだけど、あれかなあ。レジのバイトが新人でさ、シールの場所がわかないみたいであたふたしてるんだけど、あなたに出来ない奴だと思われたくないからそのちょっとしたパニック具合を気づかれまいと、なんか余裕かまして探してるし一向に先輩を呼ばないとする。あなたは、そのバイトのことを傷つけたくない」
『うんうん』
「さあどうする?」
『携帯電話がかかってきたふりをしてさりげなく一旦店外に出る』
「正解」
『…だから?』
「え?」
『いや、だからなんだよ?』
「は?」
『お前、何が言いたかったんだ?』
「うん?」
『だから………ああこれはあれかなあ。お前さ、ひとりで遊園地に行ったとするじゃん』
「うん」
『ジェットコースターに並んでるわけ、あの、急降下中に写真撮られるやつな』
「うん」
『そしたら、自分の目の前で、はいここまでです、って係員に仕切りを入れられるとする』
「うん」
『自分の後ろには幸せそうな、思わず応援したくなるようなカップルがいます。さあ、自分の乗る番が来ました。さあどうする?』
「最前席におれを誘導しようとする係員を無視し、おれはジェットコースター通だからあえてスピードの乗る最後尾の席を選ぶんだよ、という雰囲気を醸し出して、さりげなくカップルに最前列の席を譲る」
『正解。完璧』
「…だから?」
『え?』
「だからなんだよ」
『なにが?』
「だから、なにが言いたかったんだよ」
『へ?』
「だから…なんだよこの状況…お前なにがしたいんだよ」
『なに、が?』
「はあ…お前さあ、言葉の全く通じない異国に行ったとする」
『うん!』
「お前は道に迷って………………」
…………………





終わり。延々と続く形式。

構想段階では、そのまんま怖いものに対する対処方法を語るというものだった。痴漢冤罪を主軸にして。そのことで考えていたものはこうだ。『むしろ男が女性専用車両にいた方が安全だからね』「それはダメだろ」『でも、痴漢は出来ない環境だろ。みんなから白い目でずっと意識されるからさ。監視されるから。そこで、隅の方でじっとこう丸まった猿みたいに固まってんの。これ安全』「いやでもそれ完全に不審者だろ。一悶着あるよ絶対。下手したら列車止めちゃうよ」『痴漢で、しかも冤罪で捕まるよりはいいだろ』「そうかもしらないけど、だったら女性専用車両じゃない普通の車両でじっと丸まってればいい話だろ」『それこそ話がおかしくなってくるだろ。普通の車両でってお前。おかしいだろ』「ああ、まあそうだな」『全然ダメだよ。それじゃ全然興奮できない』「変態か!。お前は女性専用車両に乗って白い目でみられたいだけじゃん!。思考方法からしてダメだよ!」。うむ、くだらん。電車であったことといえば、昔にこんなことがあった。座ってDSしてたら隣の小学生男子がしきりに画面を覗いてきたんだ。あまりに、いや、異様なほど熱心に覗いてくる。周
りの大人たちの雰囲気も手伝っておれはその小学生に「やるか?」と言った。小学生男子は顔をこれでもかというぐらいにほころばせてな。おれのマリオをやり始めた。それはとても、車両はおれの偽善心が満たされるぐらい和やかな空気に包まれた。だが、その日常のちょっとした微笑ましい光景にも終わりがくる。その小学生の、おそらく家の最寄り駅がやってきて、日常に光を灯してくれた小学生は「ありがとうございました」と言って電車をあとにした。律儀にもその小学生は動き出した列車のドア越しに、おれに手を振った。一生懸命降ってくれたよ。おれのDSを持った手でな!。さようなら。このエピソード、僕のブログをこまめなチェックなされている珍奇な貴兄等はご存知だろう。すべて嘘だということを!。うーん、午後は始まったばかりさ。ハブアナイスデイ。