微笑シリーズ。退廃と耽美 | からだに恥をかく体操〜えんぴつみがき〜

微笑シリーズ。退廃と耽美

『目的があるから、弾丸は早く飛ぶ』
「いきなりなんだよ。たしかなんかのコピーだよなそれ、仲畑貴志だったか」
『今日はひとつ、妄想ゲームをやろうぜ』
「妄想ゲーム?。いきなりコピーを言ったっていうことは、何かに勝手にコピーをつけるってことか?」
『違うよ』
「ああ、ただの気まぐれ発進だったか」
『妄想ゲームってのは、ある種の自己啓発セミナーだよ』
「うわ、胡散臭さ全開だな」
『嘘だよ』
「安心したよ。なんか目をらんらんと輝かしながらなじりあうのかと思ったよ」
『妄想ゲームってのは、ありがちなね、ワンフレーズぐらいで妄想がふくらむこと言った奴が…』
「言った奴が?」
『王様』
「王様って」
『いいこと言った奴が王様。逆にいえば、王様はいつもいいことを言う。したがって王様とは、紅にけぶる夕陽を手に入れた、マキャベリズムの権化なのであった』
「知ってる単語並べて文章構成すんな」
『王様だーれだ、おれだ。じゃあ、みんな王様に税金を納めよ。処女は身を捧げよ』
「たかがゲームで横暴過ぎだろ。金と性欲の権化じゃねえか」
『単純なゲームだろ?』
「単純な欲望の間違いだろ?。それにいつしか王様ゲームの話にシフトしてるよ」
『まあ久しぶりということで、なんだか自分でもよくわからないよ。というか、クソおもしれくないから、さっさと本題に入ろうぜ』
「それを言っちゃうなよ」
『じゃあお前からな』
「おれ!?、おれから!?。いまいちルールも何も把握してないおれから!?」
『早くなんか言えよ』
「早くって言われても、妄想にだってジャンルぐらいあるだろ。エロい方向とか、幻想的な方向とか、範囲をしぼってくれないかな」
『範囲はフリーだね』
「しぼる気ないのかよ!」
『お前、お前な!、妄想にまで縛りを設けるなんて、お前、頭の中まで品行方正かこの野郎!』
「いや、そういうことじゃなくて」
『妄想に縛りをつけるなんて愚の骨頂だよ!。考えてることまで規制すんのかよ!。お前は管理社会の申し子か!。PTAになって真面目な顔してオナニー禁止って叫ぶ口か!』
「いやいやだから、ジャンルが広すぎて、妄想ゲームの一も二も知らないおれにはジャンルはフリーなんて言われたら雲を掴むような話だと」
『なるほどね』
「わかってくれたか」
『ああ、妄想では縛られてるって話だったのね』
「縛られてないわ!!」
『なかなかのフリーダムだなお前』
「うるせえ!、縛られてないわ!!」
『バキのリアルシャドー並に、吊られて宙に浮くほど夜な夜な妄想すると』
「しねえよ!」
『触れてもいないのに、出す』
「そんな放置プレイな趣味ねえよ!」
『そんなお前から、妄想ゲームは始まる。これは至極真っ当なことだ』
「なんなんだよ…………」
『なんか言えよ早く』
「なんかアドバイスはないのか?」
『お前みたいな性帝にアドバイスなんてできねえよ』
「性帝じゃねえよおれ!。情けをくれ!」
『お前みたいな性帝につける薬なんてないよ』
「バカと置き換えんなバカと」
『早く』
「………妄想がふくらむフレーズだろ………や、“サラダに飽きたから、そうだ兎狩りに行こう!”。的な…」
『……………』
「……………兎狩りに行こう!。的なね……」
『……………』
「…………なんか言えよ」
『……待って、今、山盛りサラダ食ってるから』
「妄想!、妄想だ!」
『…………ああ、狩れたね。罠に一匹の兎がかかって、脚を怪我してるよ。その兎の前にキツネがいて、罠にかかった兎を狙ってる。おれは木陰からそれを見てて、これはもしかすると、なんて欲を出して、キツネの毛皮も手に入れようなんてさ、漁夫の利作戦を開始するんだけど、その兎、あわやキツネの餌食にというところで、兎は根本はるみに変身するんだ。兎はロバだったんだ。だけど、根本はるみになったところで、脚をやられてあまつさえ身動きもろくにとれないわっかに捕まった体では、あわれ根本はるみはキツネに襲われ、おれはそれを見てる。ずっと見てる。あまりの驚愕と目の前の惨劇にそうすることしかできない。肩を落としてぽとぽとと家に帰って、おれはこう思うんだ。どうしておれは今日兎狩りなぞに出かけだのだろう。おれが罠を仕掛けなければ、根本はるみは今も野を駆け回り猫はコタツでコタツみかん。悔恨の情にかられていると、キッチンからMEGUMIが現れてサラダを出すんだ。そしておれはこう思う。やっぱりサラダが最高さ、ってね』
「随分と妄想したな。新たな妄想がふくらむほど妄想したな。すべての黒幕はMEGUMIなんじゃないかって」
『そんな今日はサラダ記念日』
「好きだなお前サラダ記念日。とまあ、こんな」
『トマト!トマトトマト!』
「うるせえ!。こんな感じで妄想ゲームはいいのか?」
『ああ、そうね。全然駄目だよ』
「駄目なのかよ!。あんなに妄想にはげんでたのに!?」
『そうだ今日は兎狩りに行こう、ってなにそれ』
「確かにそうだけで、駄目出しすんの遅いんだよ」
『全然駄目。第一おれあんまり根本はるみ好きじゃないし』
「そこはおれの範疇じゃないだろ!」
『なんかこうね、耽美じゃないよね。そうだ兎狩りに行こう、なんて全然耽美じゃない。山男の妄想だろ?』
「山男の妄想…じゃあ一体どんなのがOKなんだよ。やって見せろよ」
『おれが?』
「おれが?、じゃねえよ。次はお前の番だろ」
『おれのターンは永遠に回って来ない!!』
「は!?」
『遊び人のおれには次のターンなど回って来ない!!』
「妄想スイッチ入ってた!。ドラクエドラクエしてる!。思い通りに動かねえ遊び人になってる!」
『おれは迫り来るモンスターと戦う勇者たちの横で、じっと動かずにダジャレを考えていた。果たして、真の勇者とは、真の勇気とは、戦い滅ぼすことなのだろうか?。極限に達した局面で、下手したら死ぬ状況でなおも生産性のない、あまつさえ仲間に迷惑をかけてまで、自己の研鑽に身を投じる遊び人のおれこそ、真の勇者ではないだろうか』
「ちげえよ。ただの使えない奴だ。遊び人のまま何かを悟る前に早く賢者になれ」
『なるほど、しかし遊び人のまま何かを悟るってすごいな』
「いいから早くお前の妄想フレーズを言え!」
『ちょっと待てよ。遊び人のまま何かを悟るんだぜ?。何かすごくないか?』
「わかんねえよ」
『いわば遊び人のママがサトルだからね』
「遊び人レベルのダジャレ!!、というかボキャブった!!」
『おれの番か。じゃあ妄想ゲームの王道をひとつ見せてやろう』
「あっさりと流した」
『そうだな。“B子17才、退屈な午後の病院”』
「退屈な午後の病院……」
『さあ、さあさあ!』
「なんだよ」
『いや、妄想するだろ?。妄想ゲームなんだから、妄想ふくらますだろ?。色々ふくらませる要因含んでるフレーズだろ?』
「まあ、そうだな……」
『なぜA子じゃなくてB子なのかとか』
「そこなの!?、そこ重要なの!?。17才の少女が病院で退屈な午後を過ごしてる情景の妄想の前にそこくるの!?」
『ばびぶべぼだからね』
「B子の頭文字がBから始まるからB子なのかよ!」
『ブベ子だから』
「ブベ子!?。イニシャル外すとブベ子!?。B子の名前がブベ子だと、全然退屈な午後の病院が耽美的じゃなくなっちゃうよ!?。ブベ子って、絶対スターウォーズに出てくるジャバザハットみたいな容姿の奴だろ!?。それかジョジョのポルポみたいな!。そんな奴がお前、なに退屈してたそがれてんだよって話だろ!」
『女ですらないしな』
「女ですらないのかよ!」
『17才でもない』
「全然違ってきちゃったよ!」
『なんなら、退屈でも午後でも病院でもない』
「面影のかけらもねえな!。自由過ぎるだろ!」
『ブベ子ですらない』
「じゃあもうなんなんだよ!」
『小沢ガールズ17名、楽しい新年会』
「急にさめたので終わります」




終わります。ひどいです。最後がとっても気に食わないです。ときどき、わたし、楽しい。