アノマニスからの脱却(?)
証拠物品を水に流し、レイが扉を開けてトイレからでたとき、運悪く、ひとりの男と頭がぶつかった。ゴチンと、ふたりしてその場にうずくまるほどの衝撃だったよ。その男はさっきトイレの前に来た、佐井九だった。
「いっ…」
レイがうずくまりながら男の方をみると自分がいたが、とにかく立ち上がることにした。やけに体が重い。
まだ相手は立ち上がらない。やっぱりどうみても倒れている男は自分なのだが、とりあえず、
「大丈夫ですかぁ?」
と、声をかけた。聴いたことない声がレイの頭に響いた。どうやらそれが自分の声らしい。
なんだかわけがわからんとばかりに、レイは後頭部をかいてみた。そこにいつものような感触はなかった。頼りない。実に、頼りない感触。
意識を取り戻した相手と目が合った。相手は狐に鼻をつままれたような顔してこっちを見てる。そいつはやっぱり自分だ。ああ、なんてことだ。レイと佐井九の精神が頭をぶつけた衝撃で交錯し、入れ替わってしまったのだ。
それに気がつくほどレイは現実離れした思考を持っていない。相手がどうやら大丈夫そうだと判別すると、すいませんねえでもおあいこですよ、などと言いつつ、スタスタとオヤジの方に向かっていった。
オヤジはレイを見るなり、
「君はまだここに来ちゃいかんよ」
と、先程とは打って変わり、愛嬌のあるニコニコ笑顔で言った。レイはその笑顔に嘘があるとわかった。伊達に世を穿った見方で見ながら過ごして来たわけではない。
しかし、なぜ、そんなことを、急に、自分にして見せるのか、それはわからなかった。
そのとき、ぎゃあ、と、耳馴染みのあるようなないような叫び声が後方から聴こえた。
「あいつ」
オヤジはそう憎らしげにつぶやいた。
オヤジが道場から出ようとすると、ちょうど向こうから男が走ってきて、オヤジと激しくぶつかった。
「いたた、か、神述べ様訊いてください!、いま!、いま!」
そう言い出すオヤジと、頭を押さえる自分がレイから見えた。
………以下略。
「なんなんだこれは!!」
そうレイの体を持ったオヤジが言った。
「か、神述べ様、これはもしや」
オヤジの体を持った佐井九がなにやら言い出した。
「これは、生命爆誕の兆しでは。だとすれば、二代目の」
そして、もはやレイのことなど忘れ、ふたりは神見を呼んだ。しかし、レイだって、慌ててる。
「おれの体を返せバカヤロー、なんだこれは!!」
レイは自分に組み付いた。
「これはおそらく生命爆誕の」
「うるせえ!、なんだこれは!!なんなんだよ!、なんでおれがこんなおっさんでハゲデブメガネなんだよ!」
「いや、メガネではないよ」
オヤジの体を持った佐井九が自分の名誉のためにツッコミを入れた。
「うるせえ!」
レイは我を忘れ、自分を突き飛ばした。
そのとき、ああ運悪く、自分の体と、道場にやってきた神見の頭が、ゴチン。
3人は息を呑んだ。まさか、まさかまた………。
「いっ、大丈夫か神見!」
そう言ったのは、レイの体だった。
どうやら、これ以上の入れ替わりはしなくて済んだよう…だ…?
「何をやってんだ、彼女が怪我したらどうする」
自分が突き飛ばしたことを棚に上げ、再びレイはオヤジに組み付いた。
「店長やめて!」
神見は佐井九が恋人にいちゃもんをつけているのを止めに入った。その実、逆なのだが。
レイの前に割り込んだ神見。起こっている事態をどう説明すればいいというのか、3人はしばし立ち尽くした。
そのとき、神見が、「え?」と言い、自身の下腹部に目をやった。
つられ見る佐井九のレイ。オヤジの佐井九。
「そんなバカな」
3人が目にした光景。神見のタイトジーンズ越しに股間がムクムクと隆起していく。
そして、
ローライズ、ああローライズ、神見の股間のそれは浅い股上を超え、ひょこりと顔を出した。
「これは」
「このほくろは」
オヤジの佐井九と佐井九のレイがほぼ同時に声を出した。これはもなにもない、これは男性器。そしてそのことを瞬時に理解したレイは、見覚えのあるカリ裏のほくろに目がいった。ほくろの位置、形。それはまさしく、自分のイチモツ。
となれば、だ。
ほどなくして、レイの体から竿と玉が消えていることが判明した。
複雑になってきやがった。
レイの精神は佐井九の体にある。佐井九の精神はオヤジの体にある。オヤジの精神はレイの体にあり、性器は神見の体にある。神見の性器はオヤジの精神が移ったレイの体にある。
続
かないよ。
「いっ…」
レイがうずくまりながら男の方をみると自分がいたが、とにかく立ち上がることにした。やけに体が重い。
まだ相手は立ち上がらない。やっぱりどうみても倒れている男は自分なのだが、とりあえず、
「大丈夫ですかぁ?」
と、声をかけた。聴いたことない声がレイの頭に響いた。どうやらそれが自分の声らしい。
なんだかわけがわからんとばかりに、レイは後頭部をかいてみた。そこにいつものような感触はなかった。頼りない。実に、頼りない感触。
意識を取り戻した相手と目が合った。相手は狐に鼻をつままれたような顔してこっちを見てる。そいつはやっぱり自分だ。ああ、なんてことだ。レイと佐井九の精神が頭をぶつけた衝撃で交錯し、入れ替わってしまったのだ。
それに気がつくほどレイは現実離れした思考を持っていない。相手がどうやら大丈夫そうだと判別すると、すいませんねえでもおあいこですよ、などと言いつつ、スタスタとオヤジの方に向かっていった。
オヤジはレイを見るなり、
「君はまだここに来ちゃいかんよ」
と、先程とは打って変わり、愛嬌のあるニコニコ笑顔で言った。レイはその笑顔に嘘があるとわかった。伊達に世を穿った見方で見ながら過ごして来たわけではない。
しかし、なぜ、そんなことを、急に、自分にして見せるのか、それはわからなかった。
そのとき、ぎゃあ、と、耳馴染みのあるようなないような叫び声が後方から聴こえた。
「あいつ」
オヤジはそう憎らしげにつぶやいた。
オヤジが道場から出ようとすると、ちょうど向こうから男が走ってきて、オヤジと激しくぶつかった。
「いたた、か、神述べ様訊いてください!、いま!、いま!」
そう言い出すオヤジと、頭を押さえる自分がレイから見えた。
………以下略。
「なんなんだこれは!!」
そうレイの体を持ったオヤジが言った。
「か、神述べ様、これはもしや」
オヤジの体を持った佐井九がなにやら言い出した。
「これは、生命爆誕の兆しでは。だとすれば、二代目の」
そして、もはやレイのことなど忘れ、ふたりは神見を呼んだ。しかし、レイだって、慌ててる。
「おれの体を返せバカヤロー、なんだこれは!!」
レイは自分に組み付いた。
「これはおそらく生命爆誕の」
「うるせえ!、なんだこれは!!なんなんだよ!、なんでおれがこんなおっさんでハゲデブメガネなんだよ!」
「いや、メガネではないよ」
オヤジの体を持った佐井九が自分の名誉のためにツッコミを入れた。
「うるせえ!」
レイは我を忘れ、自分を突き飛ばした。
そのとき、ああ運悪く、自分の体と、道場にやってきた神見の頭が、ゴチン。
3人は息を呑んだ。まさか、まさかまた………。
「いっ、大丈夫か神見!」
そう言ったのは、レイの体だった。
どうやら、これ以上の入れ替わりはしなくて済んだよう…だ…?
「何をやってんだ、彼女が怪我したらどうする」
自分が突き飛ばしたことを棚に上げ、再びレイはオヤジに組み付いた。
「店長やめて!」
神見は佐井九が恋人にいちゃもんをつけているのを止めに入った。その実、逆なのだが。
レイの前に割り込んだ神見。起こっている事態をどう説明すればいいというのか、3人はしばし立ち尽くした。
そのとき、神見が、「え?」と言い、自身の下腹部に目をやった。
つられ見る佐井九のレイ。オヤジの佐井九。
「そんなバカな」
3人が目にした光景。神見のタイトジーンズ越しに股間がムクムクと隆起していく。
そして、
ローライズ、ああローライズ、神見の股間のそれは浅い股上を超え、ひょこりと顔を出した。
「これは」
「このほくろは」
オヤジの佐井九と佐井九のレイがほぼ同時に声を出した。これはもなにもない、これは男性器。そしてそのことを瞬時に理解したレイは、見覚えのあるカリ裏のほくろに目がいった。ほくろの位置、形。それはまさしく、自分のイチモツ。
となれば、だ。
ほどなくして、レイの体から竿と玉が消えていることが判明した。
複雑になってきやがった。
レイの精神は佐井九の体にある。佐井九の精神はオヤジの体にある。オヤジの精神はレイの体にあり、性器は神見の体にある。神見の性器はオヤジの精神が移ったレイの体にある。
続
かないよ。