微笑モヤモヤシリーズ。伝われ!この想い | からだに恥をかく体操〜えんぴつみがき〜

微笑モヤモヤシリーズ。伝われ!この想い

『お前の好きな歌ってなんだ?』
「まあ色々あるなあ、例えば」
『お前が最近よくカラオケで歌う曲ってなんだ?』
「最近カラオケでか?、そうだな例えば」
『おれが最近カラオケで歌う曲を今からベスト3形式にして発表するけど』
「お前がそれをしたかっただけならいちいちおれに問いかけるんじゃねえよ!!」
『まあお前が言いたいこともわかるけど、とりあえず、発表する』
「勝手にしろよもう」
『じゃあ発表します。では第1位!!』
「おい!、第1位って、普通ベスト3を発表するなら第3位からだろ!」
『お前は数字をいじくると時としてみじめな混乱を招くことを知るべきだ』
「…まあ今回は大目にみるよ」
『じゃあおれが最近よくカラオケで歌う曲第1位!。“マジで恋する5秒前”!!』
「普通に発表したな」
『いいか、お前は変に話を引き伸ばすと時としてみじめな混乱を招くことを知るべきだ』
「…いちいちめんどくさい言い方しやがって。だけど、意外というかなんというか」
『なにが言いたいんだ?』
「アイドル時代の広末の曲だろ?、お前が?」
『何か文句あるのか?』
「いや、文句、はないけど」
『何だよ!、何が言いたいんだよ!』
「……ま、要約すると、色々とおかしくないかってところだな」
『ふむ、ではお前がモヤモヤするその問いを解決するシンプルな答えを与えよう』
「う、うむ」
『カラオケといっても、最近おれはひとりカラオケしかしない』
「…………わかったよ」
『最高だね。マジで恋する5秒前は最高だよ』
「まあ楽しい曲だよな。でもひとりカラオケなんだよな………」
『もう、涙流しながら歌うもんな』
「は!?」
『泣きながら歌うからね』
「なんでだよ!、あの曲に楽しくなることはあっても泣く要素が見あたらないよ!」
『そんなことはない。あの曲は泣ける』
「泣けねえよ。あんなもん、大好きな彼とのデートに遅れそうになったけどギリギリ間に合った、って歌詞だろ」
『お前は歌というものを根本から理解できてないんだよ』
「いや、意味がわからねえよ」
『いいか、この曲は確かに明るいメロディーに明るい歌詞がのってる。涙を流す理由は見あたらない。だけどな、この明るいメロディーってのが問題なんだ。明るいメロディーってやつは、実は人に深い悲しみを印象づけるものだからだ。悲しいメロディー以上にね!』
「ますます意味がわからねえよ」
『バカヤロウ!!今すぐ頭を歌ってみろ!!』
「え?、ボーダーのTシャツの♪だろ」
『ダメだダメだバカヤロウ!!もっと本気で歌えよ!』
「本気で?、ボーダーのTシャツの♪」
『バカヤロウ!!死ね!!』
「本気で歌って死ねって言われた…」
『感情込めろよバカヤロウ!!』
「どうやったらおれみたいな男が、大好きな彼氏とのデートに遅刻しそうな少女の気持ちになれるんだよ!」
『…………ぼおだあのTシャツのおおおぉ』
「………泣いた!」
『………な?』
「…う、うん。なんとなく、わかったよ」
『じゃあ第2位だな』
「言っておくけど、第1位から発表しちゃってるからね」
『第2位は、“フレンズ”です』
「ああ、レベッカの」
『そう。これも最高の曲だよ』
「また古い曲を」
『古いも新しいもあるかよ』
「まあ、ひとりカラオケだもんな」
『この曲については………まあ、なんというかね』
「なんだよ」
『いやまあ、なんというか』
「はっきり喋れよ」
『うむ、まあ、どこで壊れたの?、ってことだよな』
「………次いこうか」
『はい、じゃあ最後第3位!』
「やっぱり最後が第3位ってのは違和感あるな」
『第3位は、“ルージュの伝言”!』
「ああユーミンの。魔女の宅急便のな」
『これもまた最高だよ』
「しかし、ベスト3全部女性歌手の曲だけど」
『なんだよ』
「いや、キーとか」
『そんなもん関係ないよ』
「あるだろ!、いや、ひとりカラオケか…」
『お前は風呂場でなにかをハミングするときにキーがあわないからって口ずさむことを中止するのか?』
「しないな、確かに」
『これもまた明るいメロディーでさ』
「え?これでも泣くの?」
『泣かねえよ。この曲のどこに泣く要素があるんだよ!』
「え!?」
『この曲のどこに泣く要素があるんだよ!』
「お前、さっき」
『はあ!?』
「なんなんだよ!、お前さっき明るいメロディーのものは泣ける要素あるって言ってたろ!」
『言ったよ!』
「認めちゃったよ!、びっくだ。じゃあなんであっちは泣けてこっちは泣けないんだよ」
『そんなもんは医者に訊け!!』
「なんだそれ!」



終わり。なんで泣けないかは、きっと、明る過ぎるメロディーの曲だからかな。あと思いつく違いは、五七調ではない(厳密に言えばどっちも五七、七五調じゃないけど)ってところか。最後の医者に訊けってのは、投げ出した証。まあ、今回はあれさ。