思い出ゴミ屋敷 | からだに恥をかく体操〜えんぴつみがき〜

思い出ゴミ屋敷

思い出こそが人生を物語る唯一の頼りだとすれば
なんて無様な人生だろう、おれ、まるで虫食い
一度過去を振り返りみれば、どうでもいい些細な出来事だけ
普通の人達は捨て去るだろう、おれ、そこしかすがれない
記憶の領域を部屋に例えるなら余所の部屋はパーティーでおれの部屋はひとりぼっちすかすか隙間風が冷たい、誰も訪ねてきやしない
ならば集めよう、おれは、悲しみを埋めよう、ゴミで
思い出ゴミ屋敷、些細な思い出を大事にしまおう
思い出ゴミ屋敷、わずかばかりの機微を大事にしまおう
塵も積もれば山になるだなんて昔の人はいいこと言った
なにもなかった部屋に積もる、おれだけ価値わかる
まだまだ使える、いつか使う日が必ずやってくる予定
だから勝手に捨てるなよ、おい、埋めさせろ
他人からみれば決して理解できない、積もり積もる小さな記憶はおれだけの宝物、拾い集めたならそこはもう宇宙
思い出ゴミ屋敷、燃えるゴミの日にも不燃ゴミの日にも
思い出ゴミ屋敷、拾わなきゃダメさ、集めなきゃダメなのさ
ノートに書いた悲劇的なポエム、教科書に描いた無意識のリビドー、あの娘から借りた小さな消しゴムのかけら、落としたえんぴつを拾った時に触れた手の感触、後ろ髪を束ねた赤いリボンのほつれた細い赤い糸、夏の日の透けたブラウスから見えた揺れるようなゆるい曲線、出さず終いのレター、へたくそなラブレター、集めよう集めよう、おれは、思い出ゴミ屋敷の住人になろう、集めた果てに宇宙を創ろう、誰にも理解されやしない、だがおれだけがその価値を知る、土足で踏み込むな、勝手に処分するんじゃねえ、おれの部屋だ、おれの勝手だろ、埋めろ
思い出ゴミ屋敷、むなしい追憶を宝物としたなら
集めざるをえない、捨て去る予定の思い出そこにしかすがれない
いつしかゴミ屋敷は、記憶の領域から溢れ出してああ誰かのゴミになる




モヤモヤ。惜しい。