微笑シリーズ。人類滅亡 | からだに恥をかく体操〜えんぴつみがき〜

微笑シリーズ。人類滅亡

西暦201X年、人類は滅亡寸前であった。
荒廃した世界。
「なあ、もう地球にはおれ達以外人間がいないみたいだな」
『ああ』
「このコンビニの食糧も底を尽いたみたいだ。どうする?」
『どうもこうも…案外、今いるこっちの世界が地獄でよ、あの世じゃみんなハッピーに暮らしてたりな』
「はは、違いねえ」
『あの世じゃみんな楽しげで、難しい顔なんてしなくていいんだよ。苦虫噛みつぶしたような顔なんてしてなくて、みんなエンドレスにハッピーエンドの毎日を送ってるに違いねえ』
「ハッピーなあ」
『ハッピーだよ…………』
「お前今一番したいことってなんだよ」
『なんだよ藪から棒に、そんなこと口に出したってむなしくなるだけだろ』
「いいだろ。どうせもうすぐ死ぬんだ。最後ぐらいしたいことのひとつもしてみようじゃねえか」
『そうか…死に花を咲かすのも悪くねえな』
「なあ、何がしたい?」
『そうだなあ、一度でいいからテレフォンショッキングに出たいなあ』
「出れねえよ!、タモさんの最期を知らないわけじゃないだろ!、もう二度と出れねえよ!」
『お前が今一番したいことって言うからだろ!』
「それ今一番したいことって言うよりやってみたかったことだろ!、もっとよ、現実味のある範囲で言ってくれよ!」
『そうか、タモさんももういないしな』
「そうだよ。タモさんありきのテレフォンショッキングだろ。例えばタモさんがあんなことにならずいいとも!を引退していたとして、司会を受け継いだのがアブドーラ・ザ・ブッチャーだったとしてもテレフォンショッキングに出たいのかよ?」
『アブドーラ・ザ・ブッチャーアワーか、真っ昼間から大惨事だな』
「ゲストにフォークをぶっさす司会者なんて前代未聞だぜ」
『まあ、ブッチャーももういないしな』
「ていうかたぶんブッチャーはタモさんより年上だから司会交代の意味がなかったな、はは」
『タモさんもブッチャーももういないしな』
「タモさん引退して、ブッチャー来たと思ったらあまりの激務にすぐ辞めちゃいそうだよ。毎回タモリンピック、いやブチャリンピックで額のでろでろから流血しそうだしな」
『もういないのか』
「なんかすごいのほほんとした、漢字クイズみたいな種目でも流血しちゃうからね。ていうか、ブッチャーの衣装がリングコスチュームだしね。上半身裸だから。司会者なのに上半身裸だし、日本語あやふやだし」
『もう誰もいない、だけどお前がいる!』
「もう日増しに、日増しに曜日レギュラーの額がでろでろに…え?なに?」
『お前がいるじゃないか!』
「は!?」
『お前がおれをテレフォンショッキングに導いてくれ!』
「おれが!?、テレフォンショッキングに!?」
『後生だよ、死ぬ前にさ、どうしても一度出てみたいんだ』
「でも」
『出てみたいんだ!』
「………わかったよ。カメラもオーディエンスもいねえが、それはまあいいとして、お前はおれでいいのか?」
『構いやしないさ。そんなことよりお前はゲストがおれでいいのか?』
「歓迎するぜ」
『へへ』
「へへ」
『じゃあ頼んだぜ』
「おう。………えー本日のゲストは高橋君でーす」
『おい!』
「久しぶりだねえ」
『おい!』
「髪切った?」
『おい!とめろとめろ!』
「ああなんだよ、とめろの合図かよ。おいおい言ってるからおかしいなと思ったけど、てっきりいいとも!初出演に緊張して舞い上がってたのかと思ったよ」
『そんなアニマル浜口を彷彿とさせる舞い上がり方するわけないだろ!、なんだよ!』
「へ?」
『おれはどうしてここにいるんだ!?』
「はあ、それはお前がテレフォンショッキングに一度出てみたいと」
『違うよ!、おれはどうしてここに来たんだ!?、誰から紹介されたんだ!?』
「ああ、そうか。前回のゲストから友達の輪で来てるはずだもんな。悪かったよ。システムをすっかり忘れてた」
『だろ。頼むよ』
「うん、じゃあもう一回、えー本日のゲストは前回の………っておれ世界がこんなんになる前のお前の友達知らないから必然的におれからの紹介になっちゃうけどいいのか?」
『それはよくないな』
「よくないのかよ、さっきかなりいい感じの友情を感じていたもんだけども」
『だってよ、お前から紹介されたってことは、おれより先にお前がゲストに来てたってことだぜ?』
「そう、なるな」
『いいのかそれでお前、言うなればせっかくテレフォンショッキングに出演したのに、略されてんだぞ?、ダイジェストもいいとこだ。いいのかそんな扱いされて。もうしばらく出れないぞ』
「なるほど、そんな風に考えていてくれたのか」
『だろ?』
「となるとおれはお前の次の日に」
『ああ皆まで言うな皆まで、ただし、スケジュールはあけとけよ。へへ』
「へへ。よし、じゃあお前は誰から紹介されたことにするんだ?」
『…仲間由紀恵、かな』
「…こいつぅ」
『へへ』
「よし、では………えー本日のゲストは昨日の仲間由紀恵ちゃんからの紹介、高橋君でーす」
『うーん』
「髪切った?」
『とめろとめろ!』
「またですか」
『いきなりさあ、テレフォンショッキングでいきなりゲスト呼び込まないだろ。ほら、オーディエンスとの掛け合いがさ』
「ああ、わかった」
『頼むよ。オーディエンスはしょうがない。おれがやるよ』
「おう………えー、今日は暑いですね」
『そうですね』
「昨日は雨だったけど」
『そうですね』
「明日も晴れるそうで」
『そうですね』
「明後日も晴れるそうで」
『そうですね』
「これから一年ずっと晴れるみたいよ」
『そうですね』
「んなわきゃない。えー本日のゲスト」
『とめろとめろバカヤロー!』
「バカヤロー…」
『なんか、なんか違うんだよな』
「完璧だったろ?」
『大体、お前タモさんじゃないしな』
「おい!それを言っちゃおしまいだろ!」
『うーん、そうだ。いっそタモさんは無しで』
「タモさん無しにしちゃうの?タモさんありきのテレフォンショッキングって言ってなかった?」
『二代目いいとも司会者の方でやってみようか』
「二代目ってまさか、ブッチャー?」
『うん』
「ブッチャーでテレフォンショッキングするの!?、本気か!?」
『できないの?、後生だよ、おれ一度テレフォンショッキングに出てみたいんだよ』
「お前がそれでいいなら協力するが」
『じゃあはじめからで、よろしく』
「うーん………シュシュ(空手ポーズ)」
『そうですね』
「なにがそうなんだよ!いやブッチャーは空手ポーズで正解って意味ならちょっと嬉しいけど!」
『ちゃんとなりきれよ』
「…………シュシュシュ」
『そうですね』
「シュシュシュシュシュシュ」
『そうですね』
「シュシュシュシュシュシュシュシュシュシュキェー(地獄突き)!!」
『そうですね』
「……ンナワッキャナイ」
『はははは』
「いいのかこれで…えー…トゥデイゲスト、イェスタデェイなかまゆきえ、ミスター高橋クンデース」
『どうも、はは』
「キェー(地獄突き)」
『痛い痛い。相変わらずですねブッチャーさんは』
「ハタリハタマタハタリハタマタ(ブッチャーじゃなくてシンの真似になってるけど)」
『はははは、ああ、これ今度舞台やるんですよポスター』
「ブターイ?、ヘイいいともガール!」
『あ、どうも』
「キェー!!」
『うわ問答無用で襲っちゃったよ。相変わらずですね』
「シュシュシュシュシュシュキェー!!」
『はははは、もうそのぐらいで、死んじゃいますから』
「キェー!!」
『はは、どりゃあ!!(傍らのビール瓶を手に取りブッチャーを殴る)』
「(ブッチャー流血)………ニヤリ」
『貼る人退場しちゃいましたが、ポスターお願いしますよ』
「OK(額の血を使ってポスターを貼る)」
『いやあ、ブッチャーさんの流血は便利ですねえ』
「バーバ、バーバ、イノキ、バーバ!」
『ははは』
「………………」
『………………』
「………………」
『………………とめろとめろクソヤロー!!』
「………」
『なんか話をゲストにふれよ!』
「無理だよ!」
『ああ!?』
「無理だよ!、無理なんだよ!どだい無理な話だったんだよ!、大体おれブッチャーのことあんまり知らねえし!」
「お前、だったらそれを先に言えよ!」
『ごめんね!、なんとなく言い出せなかったんだよごめんね!』
「いいよもう、おれはいいよもう。でも次の日に呼ばれる予定だった奴はどうすんだよ!」
「おれのことなら」
『次の日のゲストの宮崎あおいちゃんはどうすんだよ!!』
「おれじゃなかったのかよ!、なんだよ!」
『宮崎あおいちゃんと電話したかったのに!』
「なんだよひとりで美女に挟まれやがってよ!、それに宮崎あおいちゃんがブッチャーアワーに来て血だるまにされちゃったらどうすんだよ!!」
『もういいよ、テレフォンショッキング出演なんて所詮妄想なんだよ!』
「なんなんだよ」
『…………』
「…………」
『…お前さ、どうして世界がこんなんになったのか覚えてるか?』
「……忘れるわけないだろ。まさか、テレフォンショッキングのゲストに来たブッシュ前アメリカ大統領の友達の輪でビンラディンを紹介しちゃうとはな。あれをきっかけにアメリカの内戦が始まり、そして核戦争突入だよ」
『ああ、まさかだよな』
「まさかだよ」
『まさかスザンヌがブッシュを紹介するとはな』
「一個前に戻る必要ねえだろ!、まさかだったけど!、まさかのスザンヌからブッシュ流れだったけど!、そのあとが大変だったんだから!」
『…………』
「…………」
『…おれの次の日宮崎あおいだって言ったろ?』
「あれもまさかの裏切りだったよ」
『あれはな、お前がおれから紹介されるよりも、宮崎あおいから紹介された方が嬉しいんじゃないかって』
「え!、お前…」
『へへ、おっと、だけどお前がテレフォンショッキングに出るのは週明けの月曜日だぜ』
「待ち遠しい…おれこんなに月曜日を待ち遠しく思ったことなんて今までなかったぜ」
『月曜日まで、生き延びようぜ』
「月曜日には宮崎あおいから紹介されたおれがいるわけだな、へへ」
『へへ』
「…………なあ、おれ達に明日は来てくれるかな?」
『来てくれるとも』


人類が絶滅する四時間前の話であった。



終わり。うーん………。ブッシュが呼ばれビンラディンを紹介するって部分が、なんか、なんかおれをイライラさせる。いや、唯一よくできてる部分なんだけど、なんかなあ…鼻につくよね。電報と花の流れは端折った。
テレフォンショッキングの話になったけどこれはB案で、A案はセックスがしたいって話だった。