微笑シリーズ。この白い丘に咲くものはなにもない(2)
「くたばれトムヤムが」
ヒナゲシ君の放った拳がトムヤムの甘い吐息を切り裂き、トムヤムの甘いマスクへと向かって飛ぶ。
「ほご」
苦痛に歪む声を出したのは、ヒナゲシ君。
「ごごご」
ヒナゲシ君は両手で下腹部を押さえうずくまる。僕?、僕はそれを笑って見ている。もちろんヒナゲシ君の手のひら小の下腹部を電光石火の疾さで襲ったトムヤムの脚は解放している。
「見ろよトムヤム。まるで羽をもがれた雪虫みたいだぜ」
僕はポンとトムヤムの肩を、今にも腹を押さえて呵々大笑してしまいそうな衝動を抑え、叩いた。これが、ヒナゲシ君殺害が、安奈殺害依頼に頷く代わりに僕が出した唯一の条件だった。
「チョウジ、君が裏切ったといんだが…」
うずくまりながら青ざめた顔をトムヤムの後ろにいる僕に向けたヒナゲシ君。
「ががががががががうるさいんだよ君は。どんな影響を受けたらそんな喋り方になるんだい?まあそんなことはもうどうでもいいのさ。ヒナゲシ君。君はクズだ。玉虫細工しか作ることのできないクズだ。このゴミ虫め。君が平気で人を裏切ること風にたなびくアヘンの煙の如し。因果応報だよヒナゲシ君。君には裏切られて死ぬ定めがふさわしい」
僕はトムヤムにヒナゲシ君へとどめをハンドシグナルナンバー6で合図した。ハンドシグナルナンバー6は影絵遊びで云うところのバタフライだ。
「うわあああやめてやめて」と、が、を言わずしてヒナゲシ君はトムヤムの鍛え上げられた体から生じるストイックな妙技により果てた。
「こんなもんさ。なあトムヤム。こんなもんさ人の命なんて。人を呪わば穴二つ。ヒナゲシ君。残念ながら僕には君の墓穴を掘る暇も感情もないが、今まで何度か酒を飲み肛門を写メールしあった仲だ。せめて歌をうたおう」
僕はトムヤムに得意の人間ビートボックスをハンドシグナルナンバーS(スペシャル)で頼むと、トムヤムの母国疑惑の懸念強まるタイのハウスミュージックのリズムに乗り歌をうたった。ちなみにハンドシグナルSの形は影絵遊びで云うところの松葉崩しだ。ピストン運動をかくも正確にうつしだすこのシグナルは影絵遊びの髄だ。
「ブンチャカケンダラボンチャラニョイポン♪」
僕がモンキーダンスをしながらノリノリで歌っていると突然トムヤムが笑い、吹き出した。どうやら僕がでたらめに歌った歌詞がトムヤムの国の言葉で、「猫の肛門の匂いを嗅ぐ老人が駅のホームでくたばった」と聞こえるらしい。これは僕とトムヤムがテレパシーで話しあった結果判明した。
最後に僕の十八番であるプッチモニの「ちょこっとラブ」を熱唱して、ヒナゲシ君は地獄に堕ちた。ついでに僕はトムヤムを道端にいた道端ジェシカに渡されたバールのようなもので撲殺した。ムエタイ使いのトムヤムも、突然道端に道端ジェシカが現れるというしょうもない状況の前では無力だった。
ぐちゃぐちゃになったトムヤムの頭から腹から下腹部からタラタラと流れでる赤い黄色い白い透き通った汁。それがぐちゃぐちゃになったヒナゲシ君の頭から腹から下腹部からタラタラと流れでる汁と混じり合い、奇跡的になんともいえぬ絶妙な風味を醸し出した。僕はこの食欲を誘われざるをえない混ざり汁をふたりの名前からとり「トムヤム君」と名付けよう。道端ジェシカはデコられたセグウェイに乗って坂道を登っていった。きっとずっとずっときっとずっとずっとセグウェイで坂道を登り続けるのだろう。
これで監視者はいなくなった。町に着くと僕は安奈をさがした。マムシの入ったずた袋を持って。
安奈は有名人だった。町の至る所に安奈のストーカーがいて、安奈の居所をさぐるには容易だった。しかし、その反面、安奈に会うことは難しい。24時間厳重な警備の内に安奈はいる。手っ取り早く安奈に会うために僕はトムヤムにガードマンを叩っ殺してもらおうかと思ったが、ああ、トムヤムはさっき死んでしまったのだった。実はノリで、なんとなく殺してしまっていた。手に持ったらガーンといきたくなるじゃない。
結局しばらく安奈に会うことは叶わず、僕は町で無為な日々を送った。町の空白スペースを埋め尽くさんばかりに並ぶ安奈のポスターは、みんな毛皮をつけていた。金も食料もあまりなかったからマムシを佃煮にして食った。
安奈は田舎ものを門前払いするホテルの最上階に住んでいる。聞いた話では毎夜石油王とホテルのバーで某モーグル選手も真っ青の狂態を演じているらしい。確かに安奈はあばずれだったが、それを聞いた時に僕はとてもイヤな気持ちになった。村人ともしていたはずなのに、それは知っていたのに、なぜだか僕はイヤな気持ちになった。毎夜イヤな気持ちになった。この時間安奈がジジイに抱かれてると思うと、やりきれなくて、情けなくて、安奈を殺すのか殺さないのか、僕は安奈が好きなのか抱きたくないのか、その煩悶とジレンマは知らず知らず怒りに代わっていった。僕の揺れ動く心は小さな職務意識からくる自己欺瞞に押され、話をしたいだけだった気持ちがいつしか安奈を殺害することを前提とした思考になっていた。あいつも結局裏切り者じゃないのか。
ジジイに抱かれる安奈、着飾る安奈、虚栄心の強い安奈、ちょっと変わると言ったのはなんのことだったのか、金持ちになった安奈、毛皮をつけた安奈、裏山をつぶそうとしている安奈、村をつぶそうとしている安奈、安奈、安奈。そしてあっけなく死んだトムヤム。トムヤム。トムヤム。季節は流れ、気がつけば町は冬になっていた。今季初めて町に雪が降った夜に、僕は安奈を殺すと決めた。
12月の初旬、町に雪が降る。町は気の早いサンタでいっぱいだ。あわてんぼうのサンタクロースめ、一夜の夢より長く人を愛すつもりか。
そういう僕もサンタクロースの格好をしている。町にきてから僕もただボーっと揺れていただけじゃない。いや、もう心の振り子は揺れない。振り切っているのだ。僕はサーカス団に入ってこの日を待っていた。初雪記念のホテルのサプライズパーティーに僕はおちゃらけたサンタクロースとして行くのだ。もちろん都合よくホテル側が初雪パーティーを開くわけじゃない。僕の余人を以て代え難いプレゼン能力の賜物だ。
夕方パーティーの準備に勤しむ人達を横目に僕はサンタクロースの衣装を着た。僕はあわてんぼうのサンタじゃない。時代遅れのサンタクロースさ。周回遅れのサンタクロースさ。昔見た夢を、周回遅れの夢を、今一夜、送り届けるのさ。
ホテルのバー。グランドピアノが静かに、しかし背骨のようにしっかりと楽しくも悲しいメロディを紡ぎ出す。ピアノ弾きの横では、道端ジェシカが静かに佇んでいる。
バーの中から見える色鮮やかなライトに照らされ煌々と光る舞い降りる雪達。人々は恋人と思い思いに話しをして、時に感嘆せざるを得ないばかりに目を丸くして外を見る。今宵。
安奈は今夜も石油王と共にバーへと足を運ぶ。部屋で毛皮を纏う時、いつも安奈は吐き気がするほどの罪悪感に襲われる。子供の時から毛皮を身につけるなと言われ続けてきたのだから。安奈は好きで毛皮をつけているわけではなかった。それは愛と夢を金で買った村が嫌いな石油王に服従の意思を表したものであった。あたしが愛されている限り、裏山の開発は無い。安奈はひとり村を守るために、村人のために戦っていた。これがバカなあたしにできること、これこそがあたしの運命なのだ、と。
毛皮をつけている間、安奈は安心だった。どこまで堕ちても、毛皮をつけていることに比べればそれは大したことではなかったからだ。毛皮は演じ抜くための負のお守りだった。
初雪の降る外を安奈は少し見たが、それはとても無表情で、安奈がどのような感情をして雪を見たかはわからない。安奈は下唇豊かに石油王と会話し、石油王のしわがれた指をノーパンの下半身に導く。今宵何が起きるものか、起きるのだったらスウィートデス。すなわち腹上死。だが、石油王はとうに枯れていた。安奈は合法非合法問わず何度この老人を殺してしまおうかわからない。だが、殺してしまえば、息子らによる裏山の開発に歯止めが利かないのが事実。安奈はただでさえ遺産目当てと目されて目の上のたんこぶ扱いをファミリーから受けている。石油王が死んだ時に果たしてあたしにいくらお金が降ってくるのか、裁判になったら負けることはバカな安奈でもよくわかった。それがこの生活で垣間見てきた金持ちの力だからだ。人の気持ちは当然、法律さえ金で買えるのだ。あたしができることはこのまま人身御供で、石油王に夢を見させて、ファミリーに慣れのないいい顔をして、多額の遺産はいらないからあの裏山をくれと約束を取り付けるだけの信頼を結ぶことだけだった。安奈が知っている信頼を結ぶ方法は肉体関係以外になかったが、また同時に一番信用していない
こともそれだった。ベッドの上の約束など一度も叶ったことがない。だからあたしは一度も君と…………。
安奈から平衡感覚が失われはじめた頃、突然のドラムロール。サングラスをかけた小人がステージに現れた。サプライズパーティーの始まりだ。
終わる……のかこれは…。まだ続いちゃう……のかこれは…。わかんない。わかんないんだおれは。
ヒナゲシ君の放った拳がトムヤムの甘い吐息を切り裂き、トムヤムの甘いマスクへと向かって飛ぶ。
「ほご」
苦痛に歪む声を出したのは、ヒナゲシ君。
「ごごご」
ヒナゲシ君は両手で下腹部を押さえうずくまる。僕?、僕はそれを笑って見ている。もちろんヒナゲシ君の手のひら小の下腹部を電光石火の疾さで襲ったトムヤムの脚は解放している。
「見ろよトムヤム。まるで羽をもがれた雪虫みたいだぜ」
僕はポンとトムヤムの肩を、今にも腹を押さえて呵々大笑してしまいそうな衝動を抑え、叩いた。これが、ヒナゲシ君殺害が、安奈殺害依頼に頷く代わりに僕が出した唯一の条件だった。
「チョウジ、君が裏切ったといんだが…」
うずくまりながら青ざめた顔をトムヤムの後ろにいる僕に向けたヒナゲシ君。
「ががががががががうるさいんだよ君は。どんな影響を受けたらそんな喋り方になるんだい?まあそんなことはもうどうでもいいのさ。ヒナゲシ君。君はクズだ。玉虫細工しか作ることのできないクズだ。このゴミ虫め。君が平気で人を裏切ること風にたなびくアヘンの煙の如し。因果応報だよヒナゲシ君。君には裏切られて死ぬ定めがふさわしい」
僕はトムヤムにヒナゲシ君へとどめをハンドシグナルナンバー6で合図した。ハンドシグナルナンバー6は影絵遊びで云うところのバタフライだ。
「うわあああやめてやめて」と、が、を言わずしてヒナゲシ君はトムヤムの鍛え上げられた体から生じるストイックな妙技により果てた。
「こんなもんさ。なあトムヤム。こんなもんさ人の命なんて。人を呪わば穴二つ。ヒナゲシ君。残念ながら僕には君の墓穴を掘る暇も感情もないが、今まで何度か酒を飲み肛門を写メールしあった仲だ。せめて歌をうたおう」
僕はトムヤムに得意の人間ビートボックスをハンドシグナルナンバーS(スペシャル)で頼むと、トムヤムの母国疑惑の懸念強まるタイのハウスミュージックのリズムに乗り歌をうたった。ちなみにハンドシグナルSの形は影絵遊びで云うところの松葉崩しだ。ピストン運動をかくも正確にうつしだすこのシグナルは影絵遊びの髄だ。
「ブンチャカケンダラボンチャラニョイポン♪」
僕がモンキーダンスをしながらノリノリで歌っていると突然トムヤムが笑い、吹き出した。どうやら僕がでたらめに歌った歌詞がトムヤムの国の言葉で、「猫の肛門の匂いを嗅ぐ老人が駅のホームでくたばった」と聞こえるらしい。これは僕とトムヤムがテレパシーで話しあった結果判明した。
最後に僕の十八番であるプッチモニの「ちょこっとラブ」を熱唱して、ヒナゲシ君は地獄に堕ちた。ついでに僕はトムヤムを道端にいた道端ジェシカに渡されたバールのようなもので撲殺した。ムエタイ使いのトムヤムも、突然道端に道端ジェシカが現れるというしょうもない状況の前では無力だった。
ぐちゃぐちゃになったトムヤムの頭から腹から下腹部からタラタラと流れでる赤い黄色い白い透き通った汁。それがぐちゃぐちゃになったヒナゲシ君の頭から腹から下腹部からタラタラと流れでる汁と混じり合い、奇跡的になんともいえぬ絶妙な風味を醸し出した。僕はこの食欲を誘われざるをえない混ざり汁をふたりの名前からとり「トムヤム君」と名付けよう。道端ジェシカはデコられたセグウェイに乗って坂道を登っていった。きっとずっとずっときっとずっとずっとセグウェイで坂道を登り続けるのだろう。
これで監視者はいなくなった。町に着くと僕は安奈をさがした。マムシの入ったずた袋を持って。
安奈は有名人だった。町の至る所に安奈のストーカーがいて、安奈の居所をさぐるには容易だった。しかし、その反面、安奈に会うことは難しい。24時間厳重な警備の内に安奈はいる。手っ取り早く安奈に会うために僕はトムヤムにガードマンを叩っ殺してもらおうかと思ったが、ああ、トムヤムはさっき死んでしまったのだった。実はノリで、なんとなく殺してしまっていた。手に持ったらガーンといきたくなるじゃない。
結局しばらく安奈に会うことは叶わず、僕は町で無為な日々を送った。町の空白スペースを埋め尽くさんばかりに並ぶ安奈のポスターは、みんな毛皮をつけていた。金も食料もあまりなかったからマムシを佃煮にして食った。
安奈は田舎ものを門前払いするホテルの最上階に住んでいる。聞いた話では毎夜石油王とホテルのバーで某モーグル選手も真っ青の狂態を演じているらしい。確かに安奈はあばずれだったが、それを聞いた時に僕はとてもイヤな気持ちになった。村人ともしていたはずなのに、それは知っていたのに、なぜだか僕はイヤな気持ちになった。毎夜イヤな気持ちになった。この時間安奈がジジイに抱かれてると思うと、やりきれなくて、情けなくて、安奈を殺すのか殺さないのか、僕は安奈が好きなのか抱きたくないのか、その煩悶とジレンマは知らず知らず怒りに代わっていった。僕の揺れ動く心は小さな職務意識からくる自己欺瞞に押され、話をしたいだけだった気持ちがいつしか安奈を殺害することを前提とした思考になっていた。あいつも結局裏切り者じゃないのか。
ジジイに抱かれる安奈、着飾る安奈、虚栄心の強い安奈、ちょっと変わると言ったのはなんのことだったのか、金持ちになった安奈、毛皮をつけた安奈、裏山をつぶそうとしている安奈、村をつぶそうとしている安奈、安奈、安奈。そしてあっけなく死んだトムヤム。トムヤム。トムヤム。季節は流れ、気がつけば町は冬になっていた。今季初めて町に雪が降った夜に、僕は安奈を殺すと決めた。
12月の初旬、町に雪が降る。町は気の早いサンタでいっぱいだ。あわてんぼうのサンタクロースめ、一夜の夢より長く人を愛すつもりか。
そういう僕もサンタクロースの格好をしている。町にきてから僕もただボーっと揺れていただけじゃない。いや、もう心の振り子は揺れない。振り切っているのだ。僕はサーカス団に入ってこの日を待っていた。初雪記念のホテルのサプライズパーティーに僕はおちゃらけたサンタクロースとして行くのだ。もちろん都合よくホテル側が初雪パーティーを開くわけじゃない。僕の余人を以て代え難いプレゼン能力の賜物だ。
夕方パーティーの準備に勤しむ人達を横目に僕はサンタクロースの衣装を着た。僕はあわてんぼうのサンタじゃない。時代遅れのサンタクロースさ。周回遅れのサンタクロースさ。昔見た夢を、周回遅れの夢を、今一夜、送り届けるのさ。
ホテルのバー。グランドピアノが静かに、しかし背骨のようにしっかりと楽しくも悲しいメロディを紡ぎ出す。ピアノ弾きの横では、道端ジェシカが静かに佇んでいる。
バーの中から見える色鮮やかなライトに照らされ煌々と光る舞い降りる雪達。人々は恋人と思い思いに話しをして、時に感嘆せざるを得ないばかりに目を丸くして外を見る。今宵。
安奈は今夜も石油王と共にバーへと足を運ぶ。部屋で毛皮を纏う時、いつも安奈は吐き気がするほどの罪悪感に襲われる。子供の時から毛皮を身につけるなと言われ続けてきたのだから。安奈は好きで毛皮をつけているわけではなかった。それは愛と夢を金で買った村が嫌いな石油王に服従の意思を表したものであった。あたしが愛されている限り、裏山の開発は無い。安奈はひとり村を守るために、村人のために戦っていた。これがバカなあたしにできること、これこそがあたしの運命なのだ、と。
毛皮をつけている間、安奈は安心だった。どこまで堕ちても、毛皮をつけていることに比べればそれは大したことではなかったからだ。毛皮は演じ抜くための負のお守りだった。
初雪の降る外を安奈は少し見たが、それはとても無表情で、安奈がどのような感情をして雪を見たかはわからない。安奈は下唇豊かに石油王と会話し、石油王のしわがれた指をノーパンの下半身に導く。今宵何が起きるものか、起きるのだったらスウィートデス。すなわち腹上死。だが、石油王はとうに枯れていた。安奈は合法非合法問わず何度この老人を殺してしまおうかわからない。だが、殺してしまえば、息子らによる裏山の開発に歯止めが利かないのが事実。安奈はただでさえ遺産目当てと目されて目の上のたんこぶ扱いをファミリーから受けている。石油王が死んだ時に果たしてあたしにいくらお金が降ってくるのか、裁判になったら負けることはバカな安奈でもよくわかった。それがこの生活で垣間見てきた金持ちの力だからだ。人の気持ちは当然、法律さえ金で買えるのだ。あたしができることはこのまま人身御供で、石油王に夢を見させて、ファミリーに慣れのないいい顔をして、多額の遺産はいらないからあの裏山をくれと約束を取り付けるだけの信頼を結ぶことだけだった。安奈が知っている信頼を結ぶ方法は肉体関係以外になかったが、また同時に一番信用していない
こともそれだった。ベッドの上の約束など一度も叶ったことがない。だからあたしは一度も君と…………。
安奈から平衡感覚が失われはじめた頃、突然のドラムロール。サングラスをかけた小人がステージに現れた。サプライズパーティーの始まりだ。
終わる……のかこれは…。まだ続いちゃう……のかこれは…。わかんない。わかんないんだおれは。