微笑シリーズ。ポイント社会と僕
『ポイント社会がよ』
「いきなりなんだ」
『ポイントポイントだよ。この世はいつからポイントポイントになったんだ?』
「あの、ポイントって何か買ったらついてくるでおなじみのポイントカードのポイントでいいんだよな?」
『ポイント社会だっつってそれ以外になんのポイントがあるんだよ!』
「まあ、そうだな」
『こないだ床屋に行ったんだよ。時間がなくて近所の床屋にさ。そこ年老いた夫婦がやってんだけど、おれ、短くして整えてくれって言ったんだよ。つったらさ、ジジイがよ、バリカン持ち出して。おれ襟足からやんのかなって思ったら、ジジイ問答無用でおでこの真ん中からバリカン入れやがって!もう取り返しつかなくなっちゃって、ほれこの通り、ボウズだよ』
「ああ、だからボウズになったのか、急に頭丸めてきたからてっきり変な宗教に捕まったのかと思ったよ」
『おれ怒るっつうかさ、ふてくされてな』
「いや怒れよ。ふてくされるって小学生か。そこは怒るだろ。怒るポイントだろ………ごめん」
『いい加減にしなよ』
「いや、ごめん。わざとじゃないんだ。つい」
『でさ、もう怒りを通り過ぎちゃってふてくされたんだよ。短くしてって言ったのにぃ』
「遊園地行くって言ったのにぃ的なふてくされ方だな。でもま、短くはなったよな」
『そんな問題じゃねえだろ!お前、麺固めでっつって茹でてない麺出されたらどうすんだよ!固いって言ったもんなって納得できるか!?』
「わかってる、わかってるよ」
『もうほんと、呆然としちゃって、おとなしくボウズにされたんだけど、もう取り返しつかないから。あれだな、いきなりボウズにされると人間ほんとに言うんだな、髪伸ばしてくださいって』
「言うか?」
『お前、茹でてない麺出されたら、茹でてくださいっていうだろ!』
「言うけど!それは言うけど!それとこれとは別パターンだろ!」
『文句言ったんだよジジイに、そしたらジジイ、似合ってるからいいだろっつって』
「取り繕う気満々だな」
『ばかやろー、そんな問題じゃねえだろって!………で、鏡をよく見たら、あ、結構いい感じ』
「似合っちゃったよ。じゃあいいだろ」
『よくねえよ!いきなりボウズにされたんだぞ!』
「なんなんだよ」
『当然金払わねーぞってなるじゃない』
「まあなあ」
『もう喧々囂々の言い合いになっちゃって。ジジイが引かねーんだよ。いいじゃねえかっつって。一歩も譲らねーで金払えの一点張りよ。そんなんなら途中で言えよっつって。お前がでこからいったからだろ!』
「大変だなもう」
『金払えっつって。払うか、払え、払うか、払えの言い合いだよ。でさ、そこの店には店独自のポイントカードがあるんだよ』
「ポイントここできた」
『デジタルじゃなくて、アナログの、スタンプ集めるやつ』
「あるな、500円でスタンプ一個みたいなやつな」
『そう。ジジイと言い合いしてたら、ババアが、店の奥で犬を抱えてたババアが、これ、っつってそのポイントカード渡してきたの!本来なら20回ぐらい通わなきゃ貯まらないスタンプ全押しのポイントカードを!これで勘弁してっつって!スタンプ全部押したから一回無料だからって!』
「ああ、店のシステムをフルに生かしてチャラにしようとしたんだな」
『おれの髪が伸びるの何ヶ月後だよ!ていうか、二度と来るかって話だろ!何次の来店でチャラにしようとしてんだよ!』
「確かにな、ケーキに毛が入ってたって場合とは違うからな」
『そうだよ!切った髪の毛に代えはありませんよ!何を考えてんだよババア!なんならもう一回来たらまたボウズにされる可能性あるからね!?』
「それはさすがに無いだろ」
『ほんと、最悪だったよ』
「で、そのあとは?ポイントカード渡されてお前はどうしたんだよ」
『ええ?ああ、ババアがポイントカード渡してきて、システム説明して、妥協したよ』
「したのかよ!」
『妥協したよ。もう泣き寝入りよ』
「金払ったのか?」
『払わないとポイントつかないだろ』
「ええ!?」
『今使える?って聞いたらそれはできないっつってよ。アナログなのに。ダメだっつって。泣き寝入りよ』
「そ、そうか」
『あれだよ、この店にポイントカードが無かったら泣き寝入ることはなかったよ?だけどポイントつくからっつって。ポイント還元だからっつって。若い人はポイント好きだからっつって』
「なんだそれ」
『ポイント社会だよ。ポイント社会だよこの世は。もうさ、ポイントに毒されてんだよ。ポイントつくからっつってお得感感じちゃってババアに丸め込まれちゃって。頭丸められた挙げ句丸め込まれちゃって』
「なんじゃそりゃ」
『もうおれアルマジロだよ。ポイントアルマジロ。ポイントつくって言われたらもうアルマジロだよ』
「アルマジロってお前、意味わかんねえよ!でもま、確かにポイントがつくって言われたらお得感あるよな。つうかポイント制度を上手に使わないと損する時代だからな」
『そうなんだよ。しかもポイントって大概期限が設定されてるだろ』
「うん、大量に貯めておいたポイントが期限切れて使えなくなってた時の喪失感はすごいよな」
『それは知らないけど』
「え?」
『期限切れがあるからさ、ちょくちょく通わないといけない。だからおれも期限切れる前にまたその床屋に行かないといけない』
「行かないといけないって!もう二度と行かねえんじゃなかったか!?」
『え?ああ、いかんいかん。おれ今ポイントに毒されてたわ。ポイントの魔力に毒されてた。ポイントにはこれがあんだよ』
「まあ、あるっちゃあるような気もするが。しかしこのなんでもポイントがつく時代にポイントがつかない商売ってあんのかな?」
『クイズしょーばいしょーばいにもポイントはついてたからな』
「古いよ!」
『まあ、あるだろ』
「例えば?」
『そりゃお前、葬儀屋とか』
「ああそうか。葬儀屋な。確かに葬儀にポイントがついたらなんかイヤだな。不謹慎さが半端ないわ」
『イヤだよ。葬儀屋にポイントがついたらこの世の終わりだね。一回の葬儀じゃ大してたまんねえし』
「まあ一回で貯まるもんじゃないからなポイントは」
『ポイントってのは貯めて使うのが喜びというか達成感に包まれるわけじゃん。だから嫁がさ、全国の嫁が、おじいちゃん早く死んでくださいな、なんて事態になるからね』
「嫁怖っ!」
『なるね。人間ポイント集めには理性きかなくなるからな。ある種のパラノイアだよ。欲に対して視野が狭まってるから。あと一回葬儀をするとひとり無料になるわね、なんつってウキウキするもんだよ』
「恐ろしいなおい」
『運良くじいさん死んじゃって、これで葬儀ポイント貯まったってなったら。これからが地獄よ』
「というと?」
『ポイントには期限があるんだよ。だから早く誰か死んでくれないと期限切れちゃう。だから旦那を殺すわけ』
「おい」
『だけど話はこれで終わらない。ポイントってのはある意味自分へのご褒美だから。もっと貯めると、自分の葬儀が無料になるわ墓はつくわ永代供養だわサービスつくわけ。だから嫁はもっともっと葬儀をしないといけない。ポイントが最後まで貯まると一族全員天国にいくことが約束されるおまけつき。だから、ね。行き着く先は一族皆殺し。あなたの為なのわかって!って』
「そんなやつは地獄行き決定だろ!」
『地獄に行ったら行ったで、地獄巡りのポイント集めたら天国に行けるなんつって』
「もういいよ!」
終わり。こんなんなりましたけど。個人的に忘れてるくだりがある気がする。でも思い出せないから気にしないことにしたのであった。
「いきなりなんだ」
『ポイントポイントだよ。この世はいつからポイントポイントになったんだ?』
「あの、ポイントって何か買ったらついてくるでおなじみのポイントカードのポイントでいいんだよな?」
『ポイント社会だっつってそれ以外になんのポイントがあるんだよ!』
「まあ、そうだな」
『こないだ床屋に行ったんだよ。時間がなくて近所の床屋にさ。そこ年老いた夫婦がやってんだけど、おれ、短くして整えてくれって言ったんだよ。つったらさ、ジジイがよ、バリカン持ち出して。おれ襟足からやんのかなって思ったら、ジジイ問答無用でおでこの真ん中からバリカン入れやがって!もう取り返しつかなくなっちゃって、ほれこの通り、ボウズだよ』
「ああ、だからボウズになったのか、急に頭丸めてきたからてっきり変な宗教に捕まったのかと思ったよ」
『おれ怒るっつうかさ、ふてくされてな』
「いや怒れよ。ふてくされるって小学生か。そこは怒るだろ。怒るポイントだろ………ごめん」
『いい加減にしなよ』
「いや、ごめん。わざとじゃないんだ。つい」
『でさ、もう怒りを通り過ぎちゃってふてくされたんだよ。短くしてって言ったのにぃ』
「遊園地行くって言ったのにぃ的なふてくされ方だな。でもま、短くはなったよな」
『そんな問題じゃねえだろ!お前、麺固めでっつって茹でてない麺出されたらどうすんだよ!固いって言ったもんなって納得できるか!?』
「わかってる、わかってるよ」
『もうほんと、呆然としちゃって、おとなしくボウズにされたんだけど、もう取り返しつかないから。あれだな、いきなりボウズにされると人間ほんとに言うんだな、髪伸ばしてくださいって』
「言うか?」
『お前、茹でてない麺出されたら、茹でてくださいっていうだろ!』
「言うけど!それは言うけど!それとこれとは別パターンだろ!」
『文句言ったんだよジジイに、そしたらジジイ、似合ってるからいいだろっつって』
「取り繕う気満々だな」
『ばかやろー、そんな問題じゃねえだろって!………で、鏡をよく見たら、あ、結構いい感じ』
「似合っちゃったよ。じゃあいいだろ」
『よくねえよ!いきなりボウズにされたんだぞ!』
「なんなんだよ」
『当然金払わねーぞってなるじゃない』
「まあなあ」
『もう喧々囂々の言い合いになっちゃって。ジジイが引かねーんだよ。いいじゃねえかっつって。一歩も譲らねーで金払えの一点張りよ。そんなんなら途中で言えよっつって。お前がでこからいったからだろ!』
「大変だなもう」
『金払えっつって。払うか、払え、払うか、払えの言い合いだよ。でさ、そこの店には店独自のポイントカードがあるんだよ』
「ポイントここできた」
『デジタルじゃなくて、アナログの、スタンプ集めるやつ』
「あるな、500円でスタンプ一個みたいなやつな」
『そう。ジジイと言い合いしてたら、ババアが、店の奥で犬を抱えてたババアが、これ、っつってそのポイントカード渡してきたの!本来なら20回ぐらい通わなきゃ貯まらないスタンプ全押しのポイントカードを!これで勘弁してっつって!スタンプ全部押したから一回無料だからって!』
「ああ、店のシステムをフルに生かしてチャラにしようとしたんだな」
『おれの髪が伸びるの何ヶ月後だよ!ていうか、二度と来るかって話だろ!何次の来店でチャラにしようとしてんだよ!』
「確かにな、ケーキに毛が入ってたって場合とは違うからな」
『そうだよ!切った髪の毛に代えはありませんよ!何を考えてんだよババア!なんならもう一回来たらまたボウズにされる可能性あるからね!?』
「それはさすがに無いだろ」
『ほんと、最悪だったよ』
「で、そのあとは?ポイントカード渡されてお前はどうしたんだよ」
『ええ?ああ、ババアがポイントカード渡してきて、システム説明して、妥協したよ』
「したのかよ!」
『妥協したよ。もう泣き寝入りよ』
「金払ったのか?」
『払わないとポイントつかないだろ』
「ええ!?」
『今使える?って聞いたらそれはできないっつってよ。アナログなのに。ダメだっつって。泣き寝入りよ』
「そ、そうか」
『あれだよ、この店にポイントカードが無かったら泣き寝入ることはなかったよ?だけどポイントつくからっつって。ポイント還元だからっつって。若い人はポイント好きだからっつって』
「なんだそれ」
『ポイント社会だよ。ポイント社会だよこの世は。もうさ、ポイントに毒されてんだよ。ポイントつくからっつってお得感感じちゃってババアに丸め込まれちゃって。頭丸められた挙げ句丸め込まれちゃって』
「なんじゃそりゃ」
『もうおれアルマジロだよ。ポイントアルマジロ。ポイントつくって言われたらもうアルマジロだよ』
「アルマジロってお前、意味わかんねえよ!でもま、確かにポイントがつくって言われたらお得感あるよな。つうかポイント制度を上手に使わないと損する時代だからな」
『そうなんだよ。しかもポイントって大概期限が設定されてるだろ』
「うん、大量に貯めておいたポイントが期限切れて使えなくなってた時の喪失感はすごいよな」
『それは知らないけど』
「え?」
『期限切れがあるからさ、ちょくちょく通わないといけない。だからおれも期限切れる前にまたその床屋に行かないといけない』
「行かないといけないって!もう二度と行かねえんじゃなかったか!?」
『え?ああ、いかんいかん。おれ今ポイントに毒されてたわ。ポイントの魔力に毒されてた。ポイントにはこれがあんだよ』
「まあ、あるっちゃあるような気もするが。しかしこのなんでもポイントがつく時代にポイントがつかない商売ってあんのかな?」
『クイズしょーばいしょーばいにもポイントはついてたからな』
「古いよ!」
『まあ、あるだろ』
「例えば?」
『そりゃお前、葬儀屋とか』
「ああそうか。葬儀屋な。確かに葬儀にポイントがついたらなんかイヤだな。不謹慎さが半端ないわ」
『イヤだよ。葬儀屋にポイントがついたらこの世の終わりだね。一回の葬儀じゃ大してたまんねえし』
「まあ一回で貯まるもんじゃないからなポイントは」
『ポイントってのは貯めて使うのが喜びというか達成感に包まれるわけじゃん。だから嫁がさ、全国の嫁が、おじいちゃん早く死んでくださいな、なんて事態になるからね』
「嫁怖っ!」
『なるね。人間ポイント集めには理性きかなくなるからな。ある種のパラノイアだよ。欲に対して視野が狭まってるから。あと一回葬儀をするとひとり無料になるわね、なんつってウキウキするもんだよ』
「恐ろしいなおい」
『運良くじいさん死んじゃって、これで葬儀ポイント貯まったってなったら。これからが地獄よ』
「というと?」
『ポイントには期限があるんだよ。だから早く誰か死んでくれないと期限切れちゃう。だから旦那を殺すわけ』
「おい」
『だけど話はこれで終わらない。ポイントってのはある意味自分へのご褒美だから。もっと貯めると、自分の葬儀が無料になるわ墓はつくわ永代供養だわサービスつくわけ。だから嫁はもっともっと葬儀をしないといけない。ポイントが最後まで貯まると一族全員天国にいくことが約束されるおまけつき。だから、ね。行き着く先は一族皆殺し。あなたの為なのわかって!って』
「そんなやつは地獄行き決定だろ!」
『地獄に行ったら行ったで、地獄巡りのポイント集めたら天国に行けるなんつって』
「もういいよ!」
終わり。こんなんなりましたけど。個人的に忘れてるくだりがある気がする。でも思い出せないから気にしないことにしたのであった。