微笑シリーズ、いつどこで誰がどうした怖いバージョン | からだに恥をかく体操〜えんぴつみがき〜

微笑シリーズ、いつどこで誰がどうした怖いバージョン

『じゃあ今流行りの怖い話でもひとつ』
「流行りっていうか季節の…まあいいけど」
『あれは地上の猿の一部がようやく二足歩行で歩き始めた頃』
「何万年前の話だよ!」
『一匹の大トカゲがシダ植物の生い茂る木陰に身を休めているところで』
「もはや祖先の話でもないの!?」
『神々が』
「神々!?じゃあそれは怖い話じゃなくて神話だな!」
『屁をこいた。はっはっはっはっ』
「はっはっはっじゃねえよ!!なんだよその話は!」
『知らないの?』
「知らないよ!」
『えっ、いつどこで誰が(何を)どうしたゲーム知らないの?』
「いつどこで誰がどうしたゲームだったの!?一人の頭の中ででするもんじゃねえだろ!」
『いやあね、いつどこで誰がどうしたゲームってあるじゃないですか』
「あるけど。あれな、紙に“いつ”なら例えば“夜中”とか書いて、それをでたらめに組み合わせて、おかしいねってゲームな」
『それの怖いフレーズ限定で遊んでたことがあってな』
「へー、まあテンション次第ではおもしろいゲームだからな。それはいつの話?」
『先週』
「最近だな。てっきり中学生ぐらいの時だとおもったぜ。どこで?」
『おれんちで』
「ふぅん、誰と?」
『男友達三人と』
「で、どうなった?」
『友達のひとりがコックリさんに取り憑かれたみたいになって大変だった』
「ああ…」
『そんでさ、その怖い話バージョンのいつどこで誰がどうしたゲームだけど、あ、おれんちでやってたんだけど、やってたらなんか友達のひとりが』
「コックリさんに取り憑かれたみたいになったんだろ!?」
『えっ、なんで知ってんだよ?』
「今さっきお前がゲロったよ!」
『…不思議!』
「不思議!、じゃねえよ!お前が話の重要な部分を勝手にペラペラ喋っちゃっただけのことだろ!」
『なにそれ怖い』
「いやいやいやいや、今さっきのは別にコックリさん的な要素ではなく、お前がマヌケだっただけだ!」
『へえ、そうですか』
「そうだよ!」
『じゃあこれは知ってるかな?友達が狂いだした時に引いたいつどこで誰がどうしたを』
「知らねえよ!」
『へへっ』
「勝ち誇ってんじゃねえよ!なんだ?マニア同士の言い争いかよ!お前が話してない話は知らねえよ!」
『話してない?そうだっけ?』
「当たり前だろ!それっていわば話のオチだろ?」
『話してないっけ。ふうん。いつ?』
「はあ!?」
『いつ話してないっけ?ねえ、いつ?』
「なんて無茶ブリだ…」
『ねえ、いつ?』
「うっ、ああ、ダ、ダンスパーティーのあと」
『ああ、あの時か』
「………なにを納得してんだよ!なにそれ!続きは!?」
『え?』
「え?じゃねえよ!なんだよ!やり損かおれは!なんなんだよ!せっかく、ダンスパーティーのあと、抜け出した路地裏で、ふたりが密かに、ダンスを踊った。って!ダンスを踊った。って!考えたのに!またダンスを踊ったのかよダンス大好きか!って考えたのに!」
『おいおい、いつどこで誰がどうしたゲームはひとりでやるもんじゃないぜ?』
「お前が言うなあ!」
『ふぅ、仮にその狂った友達を近藤としよう』
「…よし、話を続けてくれ」
『結構盛り上がってたんだ。朝からやけに蒸し暑い夏の日に、誰もいない体育館で、少女を連れた老婆が揃って、首を吊った、とかさ。去年、墓地で、髪の長い女に、追いかけられた、とか、結構怖さの琴線にヒットしたんだよ。まあ、ヒットするように意図してんだけど。言葉が足りない分あとからみんなで妄想して話を作り上げたりな。いい話ができたから今回はお前の勝ちなとか』
「おう」
『そんな盛り上がりの中、もうカード的に最後の方でさ、近藤の番。あいつが言葉の書かれた紙を袋から引いていった。一枚目…………ほら』
「あ、ああ、いつ?」
『今から』
「どこで?」
『この部屋で』
「誰が?」
『この近藤が我を』
「………どうした?」
『………』
「……どうした?」
『…呼ぶ』
「呼ぶ?」
『そう、呼ぶ。そのカードを見た瞬間、みんな不思議がってな』
「なんで?」
『ああ、みんな黒色のペンで紙に言葉を書いてたんだけど、その呼ぶって書かれたカードだけ血をつけた指でなぞったようなさ、赤い字だったんだ』
「うわあ」
『誰だよこれ書いた奴、っておれが言ったんだけど、誰もそんなもん書いてないって言うんだよね。まあでも誰かが本当のことをひた隠しにしてるんだなって、その時はそうなった。でもあまりに犯人が出てこなくてさ、モヤモヤしだして軽い口論しだしたりなんかしちゃって、みんなテンションがた落ちよ。もうやめようってことになった』
「なるなそれは」
『そしたら近藤が、もう一回、もう一回だけって言うんだよ』
「お、おう」
『おれ達はもうテンション下がってるから、勝手にやれって言ったんだよ。もう寝るからひとりでやってろって』
「うん」
『そうしたら、近藤やりはじめんたんだよな。部屋の隅でひとりでさ。電気消したから、あいつケータイのライト機能使ってやってんの。どのくらい経ったかなあ。近藤が突然、なきはじめた』
「なきはじめた?号泣したってこと?」
『いや、その泣きじゃない。涙の泣きじゃない。近藤がさ、こーん、て。別に近藤って名前だから、こーん、て鳴いたわけじゃないんだけど』
「そんな状況で自分の名前、あだ名か?それを言い出す奴はいないだろ、わかるよ。近藤仮名だし」
『こーん、こーん、ってさ。鳴きやがって。うるせえってなるじゃん。うるせえ黙れって言ったんだけど、近藤はやめない。そしてダイアモンドは砕けない』
「なぜジョジョ四部の副題を言ったのかわからないが」
『構って欲しいのかと思ったから、おれ達はみんな無視して寝ようとしたんだ。そしたらおれの隣で寝てた奴も、こーん、こーん、って鳴き始めた。これはただ事じゃない』
「うん」
『おれ、友達同士が変なセックス始めたと思ってさ』
「そっち!?そっちの方向で!?」
『いや、ただ事じゃないだろ。男同士が自分ちで変なセックスしだしたら』
「それは一大事だが」
『おれ、やめろって言いながら立ち上がって明かりをつけたんだ。もうそうしたら』
「おう」
『ふたりがさ、びっくりするぐらい青白い顔で歯をむき出して、この世のものとは思えない形相でこっちを見てるんだよ』
「うわうわうわ」
『ちらりと、部屋の隅の紙の入った袋の方を見ると、あの赤い文字で、梵字というかさ、なにやら得体のしれない文字が書いてある紙が何枚も床に散らばってる。友達ふたりはこーん、こーん、って鳴きながら、四つ足で、おれを狙ってる、狙ってるっつってもよくわからないんだけど、とにかくそっちの世界引き込むというかね』
「うん」
『うっわあって思ってさ。もういいかって思ってさ。ここでネタばらしだよね』
「ネタばらし!?なにそれ!え?」
『いや、その近藤ってやつ、いわゆる見える人を自称してたからさ、おれ達ふたりでイタズラしたんだよ。その赤い紙もみんな仕掛けだから。近藤はまんまとそれに引っかかったわけ』
「あ、そうなの。なんだよ」
『電気消してる時なんか笑いこらえるのに必死だったんだから。こーん、だぜ?鳴き始めてやがんの。あれは笑ったなぁ。声には出してないけど。しまいには仕掛け人の友達までこーん、こーん、って鳴き始めてさ。それでも気がつかねえの。いやあ笑ったなぁ。こーん、こーん、こーん、こーん、ってさ。ははは。こーん、こーん、こーん、こーん、こーん、こーん、こーん、こーん、こーん』
「狐キャラ入ったんだろうね。そんでそのあと近藤はどうしたんだ?」
『あ、近藤?近藤ねえ、こーん、こーん、こーん、こーん、こーん、ははは』
「おいおい、ツボにはまりすぎだろ」
『こーん、こーん、こーん、こーん、こーん、今から』
「は?」
『この場で』
「なに?」
『我を呼び出した者は』
「なんだよ」
『死ぬ』
「ああ!?」
『こーん、こーん、こーん、こーん、こーん、こーん、こーん、こーん、………………』
「おいちょっと、おい!大丈夫かおい!こ…………………こーん」


終わり。おれはよくひとりでいつどこで誰がどうしたゲームをするよ。誰が、は全部知人の名前書いてね。で、どうした、には全部不幸なこと書いて。うん。まあ知人云々は嘘だけど、でもたまにひとりでいつどこで誰がどうしたゲームをしてトランスすることってあるよね?あるある話だよね。さようなら。


部屋で
ひとりでこれを読んでる奴が
明日好きな人からメールがきますように!!てへっ☆