微笑シリーズ。決闘のある国。(前) | からだに恥をかく体操〜えんぴつみがき〜

微笑シリーズ。決闘のある国。(前)

『今週号の刃牙は爆笑だったな』
「そんな話題から始まんの?」
『トリケラトプス拳、とはな』
「ああ、あの、これコミック派の方にネタバレしてわるいけど、こいつのギャグじゃなくて現実に今起こっている出来事なんだよトリケラトプス拳」
『さすがのおれもどうかと思ったぜ』
「ギャグのやり口だもんな。トリケラトプス拳って。もはや大喜利の回答だもんな」
『それがありならなんつうか、UFO拳とかもありになってくるからね』
「だよな。白菜拳とかな。白菜って!?みたいな」
『それはない。絶対にない。バカじゃねえの』
「えっ、あっ」
『というわけで今回はおれのちょっとした作り話を聞いてもらおうと思いまして』
「…あの、なんかごめんね」
『時は西暦20XX年』
「バツバツ年って、ごまかす意味あんのかよ」
『ああ、間違えた。時は西暦20チョメチョメ年』
「山城S伍かよ。また微妙な…、つうか山城S伍が読み間違えたやつを間違えちゃったよ」
『の死んだ年に』
「じゃあ結構近い将ら…ってこら!何言わせてんだよ!やめろ!不謹慎だよ!」
『ある法律が施行されましたとさ』
「されましたとさ?」
『めでたしめでたし』
「だろ!?そうだろ!?そうなっちゃうよされましたとさなんか言ったら!それに全然めでたくねえよ!わかったのは20チョメチョメ年に山城S伍が死んだってだけだから!」
『まあおふざけはこの辺にしときまして』
「おふざけってお前」
『ある法律が出来たわけ。まあ改正かな。決闘に関する法律が。今決闘って罰則あるの知ってるよな?』
「ああ、ちょっと前にタイマンしたやつらが決闘に関するなんやらで罰せられたよな」
『そう、それが改正された。2015年に…あっ』
「おい!それじゃあまるで2015年にって言わすな!」
『地デジにはなんとか…』
「うるせえ!そういう生々しい人の死を扱わないよう心がけてなかったっけ!?」
『そうだったんだけど、昨日夢に鈴木その子が出てきたからOKになった』
「なんでだよ!なんで鈴木その子が夢に出てきたら解禁されんだよ!お前その子のなんなのさ!」
『…はあ、お前そういうとこあるよね。何?おれに港のその子ヨコハマヨコスカとか歌ってもらいたいの?なんだよそれバカじゃねえの』
「…いやでもなんで鈴木その子が夢に出てきたら自分の中の縛りがほどかれるんだよ」
『そりゃあお前、夢に鈴木その子が出てきたら、もうなんでもありだろ』
「…まあちょっとわからないでもないけど、ちょっとな。夢にあんな白い人が出てきたらちょっと人生観が変わるかもしれない」
『だろ?しかもこっちは出してるわけだから』
「は?」
『その子に出してるわけだから。精子を』
「最悪だよ…」
『起きたらパンツがぬめってたこっちの身にもなれよ』
「何言ってんだお前!」
『おい!顔にだしたら精子がどこいったかわからなくなるだろって言えよ!』
「言わねえよ!呪われちまえよてめえ!」
『ああ、宣保愛子に』
「うわ、意味わかんねえし…ひくしかないわ」
『宣保愛子にひくことないだろ』
「宣保愛子にひいたわけじゃねえよ!死者を愚弄するお前にひいたんだよ!愚弄するのも大概にしろ!お前そんな奴だったか!?見損なったよ!」
『だから夢に鈴木』
「だからやめろ!」
『鈴木パパイヤが』
「鈴木パパイヤってそれパパイヤ鈴木だろ!なんだよ鈴木パパイヤって。まあでもそれだったら話が違ってくるけど」
『はあ?なにそれどういう意味?どう違ってくるのよ』
「えっ、ああ、パパイヤ鈴木が夢に…ねえ、まあそうそう、そんなことより決闘の話だろ決闘の」
『パパイヤ鈴木じゃないよ。鈴木パパイヤの方だよ』
「もういいだろそれは、さあ決闘決闘」
『いや、パパイヤ鈴木はデブで踊れるアフロだろ?鈴木パパイヤはデブで本人よりは動けないアフロだから』
「ただのそっくりさんじゃねえか鈴木パパイヤ!本人よりって言っちゃってるし!」
『まあそんな無駄口叩くよりおとなしく決闘の話を聞けよ』
「おい!まあいいかもう」
『ああ、言い忘れてたけど、大体お前な』
「なんだよ」
『おれが鈴木その子って言った時点で、同じ白面ならMJの夢見ろよって言えよ!って言わなきゃならないんじゃないか?』
「そんなもんお前、今思いついたんなら戻って編集すりゃいい話だろ!?作者次第だろ」
『そんなのめんどうだろ』
「今のやりとりのがめんどくさいよ!つうかこの話長くなるんだからほんとこんなくそおもしろくない無駄話をだべってる暇ないだろ!」
『でまあ決闘が条件付きで解禁されるわけ』
「うわ、今すごくめんどくさがったな作者。まあいいや、で?」
『その条件ってのは江戸時代の仇討ちのシステムと似てて、お役所に届け出て、受理されれば決闘が認められるわけ』
「ほう」
『ま、受理されればっつっても審査なんかあってないようなもんなんだけど』
「そうなんだ」
『まあ、条件ってのもあってないようなもんなんだけど』
「じゃあ全体的にあってないようなもんなんだな」
『そんなわけないだろ、バカじゃねえの』
「お前さっきから」
『まず立会人、証人が必要なんだけど』
「ああ…」
『でも決闘は専用の会場、通称コロッセオで行われるから、会場には青ヒゲ気取りの観衆が常に満員でさ。彼らが立会人になる。だからパス』
「へえ」
『決闘を申し込んだら慣例的にその場で受理されるわけ。受理されたら申し込んだ人間と対戦相手は即座に身柄を拘束される。24時間ね。これは双方ともに決闘から逃がれられないようする為と』
「ちょっと待って、拘束されるって誰に?」
『FBI』
「F…!」
『基本的に申し込まれた相手はどんな状態でも次の日には決闘しなければならない。それこそ植物状態でも申し込まれたら決闘しなければならない。それだけの強制力がある』
「いやあの、FBIってのは」
『決闘を直前に取りやめることができるのは申し込んだ人間だけだからね。でもそれだとあまりに応じる方が不利だろ?』
「FB」
『不利だろ?』
「…不利だな。おれだったら相手が風邪とかひいてる時狙うよ」
『お前さあ、風邪とかひいてる時って、風邪以外何をひくの?人類は風邪以外何をひくのさ?風邪とかのとかって何?何をひくの?』
「ええまあ………リヤカー……」
『…それだと不利になるから、ここが話の重要なポイントなんだけど、相手はその24時間で助けを呼べるんだよ。一緒に戦うパートナーをさ。3人まで呼べる』
「ああ…でもそれだと今度は決闘を申し込んだ方が圧倒的に不利じゃねえか?1対4になるわけだろ?」
『だからあ』
「いや、そんな“お前はなんでそんなこともわからないの?”みたいな言い方されてもみんなわかってないからね?」
『要するにこの法の要点は申し込んだ側にそれだけの覚悟があるのかってところなんだよ。返り討ち前提の法律なの』
「ああ、抑止力的な?」
『それは違う』
「ああ…そう」
『あのな、だからね、決闘を申し込んだ時点でそいつはもう半分死刑囚扱いなのよ。わかる?それを踏まえた上で決闘を申し込むんだなと』
「なんとなくわかるような」
『ま、簡単に言えば抑止力的な』
「抑止力じゃねえかよ!」
『こんなベタなやり取りは置いといて』
「置いとかれちゃったよ。手え伸ばしたら届くかなあ」
『…それでも申し込む人はいるもんだねえ』
「だねえって言われても。お前の作り話だからな」
『もう連日連夜殺し合いが繰り広げられている』
「殺し合い!?えっ殺し合うの!?」
『いや、文脈からしても殺し合いの雰囲気は十分出てただろ?そもそも決闘って言ってるし』
「タップとかないの?ボコボコにされたら終わりみたいな」
『無いよ。当たり前だろ。果たし合いだよ。怨恨から永遠に離脱、解脱するには相手を殺すしかない。基本、双方がコロッセオに入ったら最後生きて出てくるのは1人乃至2人乃至3人乃至4人乃至…0』
「なんかパターンが多すぎておぞましさが薄まっちゃったな。乃至0に重点あった気がしたけど。まあ生きるか死ぬかってことか」
『ああ、言い忘れてたけど双方とも素手だからな。武器は五体のみ。これは絶対』
「はあ。でもそれだと、女1人対男数人の図になった場合さ」
『そう!そうなんだよ。その通りで、ここから悲惨な話になっていくんだけど』
「悲惨な話になるんだ…」
『女が男相手に決闘を申し込むと、大概輪姦されて殺される。なんせたくさんの貴族思考の方々に見られてるからね。万雷の拍手を浴びた人間ってのはなんでもやる。獣になる。だからもうひどいことになる。素手であるということ以外は何しようが自由だから、相手が死ぬまで何しようが勝手、いや、死ぬまでじゃない、コロッセオから退場するまでは何しようが勝手。素手ならね』
「はあ」
『可憐な娘が悲壮な覚悟をもって直接罰を下そうと決闘に挑んでも、もう生きたまま猛獣に食われる以上の凄惨な結果しかない。しかも、決闘を挑まれた側が助っ人を頼むヤクザの専門会社もあるからね。それはとても高額なんだけど、恨まれやすい金持ちなんかは利用するんだよ。だからもう打つ手無し』
「明らかに制度に不備があるよな。挑んで勝つ奴いんのかよ」
『いるよ。結構いる。まあ、それは置いといて』
「また置かれちゃったよ。便利な棚持ってんなお前」
『その少女は学校で4人の少年グループいじめられていた。毎日毎日。段々とエスカレートしていくいじめ。毎日毎日。それこそ死んだ方がましってぐらいのいじめに発展していった。ぼろ雑巾扱いよ。だけど少女は親に言わなかった。隠した。親の気持ちを思うと言えなかったし、いじめを告白するのはたまらなく恥ずかしかった。親も忙しくて少女のいじめに気がつかなかった』
「この話をおれはどのポジションで聞けばいいんだ?そんなもんモヤモヤシリーズでやれよ」
『モヤモヤシリーズにするとすごくめんどくさくなるんだよ。で、割愛すると』
「ああ、割愛がな」
『少女は無理矢理、いじめグループに脅されて決闘を申し込むんだよ。その少年グループの1人にね。年齢制限はあるけど15以上なんだよ、少女達はみな16だから。未成年だろうが関係ない。しかも審査はザルだから、少年グループはこの法を使って、少女を殺してみようぜ、ってなったわけよ。どうせ罪にはならないし』
「それは現代の少年法を揶揄してるのかな?」
『いいや、そんなつもりはまったくないね』
「ああ…そうか」
『少年達はなんなら俺達は被害者だとも言っちゃえる立場なんだよね。挑まれた方だから。死人に口無しだよ。それにコロッセオでは日夜凄惨な光景が繰り広げられているからね。コロッセオの中でどんなことしようとあの時はコロッセオの雰囲気にあてられ精神がおかしくなったって言い訳もできる。受理された時点で身柄は拘束されるからもう少女の親は止めることができない』
「誰に拘束されるんだっけ?」
『うん?ああ、今すぐやる課の人』
「…FBIは」
『少女もさ、混乱つうかただただ恐怖に支配されて白痴みたいな思考状態に陥っててね。言われるがまま申し込んじゃった。断ったらお前の親を殺すぐらいは言われてたんじゃねえかなあ』
「言われてたんじゃねえかなあって、お前次第だろ。お前の作り話なんだから」



後に続く