もっとゆっくり急げ | からだに恥をかく体操〜えんぴつみがき〜

もっとゆっくり急げ

「好き」をそれ以外の言葉で伝えるなら? ブログネタ:「好き」をそれ以外の言葉で伝えるなら? 参加中
ドライブに出かけて、帰り道、見知らぬ丘にふたりは立ち寄った。まばらな家々から漏れる明かりと車のヘッドライト、オレンジの高速が蛇みたくうねってる。見晴らしのいい丘の頂上で首を上に傾ければ満点の星空が近い。ひっきりなしに落ちていく流れ星に願いごとを三回言うおまじない。彼女は素早く「金金金」と言った。僕は笑った。「だって、願いごとを三回言うには短すぎるよ。流れ星の描く弧は」、彼女はニヒヒと頬を上げた。
僕はぼけえっと空を見上げながら言った。きっと彼女も同じ姿勢だったろう。「あの星、あの星の光ってさ、今見えている姿って、もうずっと前の姿でさ、ずっと前の光なんだよな。何百万何千万何億年前に発せられた光を、今僕らが見ている。とっても遠くて、だけどちょっとジャンプすれば手に届きそうで、とっても昔で、でも今僕らに降り注いでる。不変なようで、不変じゃなくて、いつもあるようで、ふっと消えてなくなったりして。おれにとって○○はそんな感じ」
「なにそれ」
「おれにもわかんねえ。まあ楽しけりゃいいだろ」

数日後、ふられた。彼女が流れ星に願ったことが叶ったんだと思う。