微笑シリーズ。幽霊と殺人と携帯電話と刑事
「……はっ…うん?なんか体が軽いな…ええっと、なにしようとしてたんだっけ、つうかここはどこだ?…うわっ、周り警官だらけじゃん。おれなんかしたか?…あの、あ、あれ?あのお…あれ?無視されんな…まあいいや、帰ろう。…いて、なんだよ道の真ん中に…シート被って…シート?まさか、死体!?死体か!?うわっごめんなさいごめんなさい足元が暗くてごめんなさいごめんなさい。………キョロキョロ、ちょっと見てみようかな、本当に死体かどうか確かめなけりゃ気分悪いし。これが死体じゃなかったらおれ謝り損だからね。どれどれ…ペラ、ああ人間か、先程はすみませんでした。成仏くださいってええ!?ペラ、…おれ?こいつひょっとして、おれ?おれかこれ?……ペラ…おれ…おれだ…おれじゃん!うわっ頭から血出てんじゃん!頭から血出てる!お母さーん!違う!早く救急車!早く救急車呼んだげて!この子死んじゃうよ!…………死んじゃう?もう死んでるんじゃ…そんな…じゃあおれは一体なんなんだ…待てよ、記憶を整理しよう。おれは、そうコンビニに行こうとして部屋を出た。うん。そうだ、そしたら階段で足を踏み外して、転げ落ちた。そうだ転げ
落ちたんだようん。そして、痛かったけど恥ずかしかったからふらふらとコンビニに向かって……その途中で…死んだ?…まさか…じゃあなにおれ幽霊?すいませーん!あのお!無視されるのはおれが幽霊だから!?気づかれてないから!?おれ幽霊!?幽霊なの!?地縛霊ってやつ!?…もう笑うしかねえな…戻れねえかな…こう、体重なり合わしたら…えいや、ぐは!いてえ!あばら打った!いってえ、なんだよ!一人剣山みたくなっちまったよ!いってえ…幽霊なのにいてえって!幽霊なのにいてえって!」
パトカーのサイレン
「うん?あれは、刑事?」
『おう、お疲れさん、おう、おう。ふむ、ここが今回の事件現場か』
「事件現場?ただの事故ですけど…まあでも不審な死体だからなあ」
『どれ、ガイシャの顔は、なんまんだぶなんまんだぶ、ええ、ペラ……貧相、と』
「おい!初対面でいきなりそんなこと言うなよ!聞こえてますから!気分悪いな!関係ないだろ!」
『うん?』
「なんだ?何か不審な点が?つっても事故なんだけど」
『ペラ…やはり貧相な顔だな』
「二度見すんなよ!死体を二度見すんな!いやさっきおれもしたけどあれは本人特権だろ!本人特権ってなんだよ。血の気がひいてるからそう見えるだけだろ」
『ヌフフ』
「笑ってんじゃねえよ!おもしろくもなんともねえよ!」
『写メしとこ』
「はあ!?なんでだよ!撮るなよ!」
『なんまんだぶなんまんだぶ』
「それ唱えてもおれ許してないよ!確かに届いてるけど全然成仏しないよ!あ、撮りやがった!ケータイ刑事か貴様は!宮崎あおいと堀北真希を返せ!…なに言ってんだおれ…」
『ええっと、ポチポチ』
「…なにメールしてんだこいつ、覗いてもバレねえよな、不幸中の幸いってやつか、不幸がでかすぎて全然取り返した感ないけど」
『(後ろに回った「」を追い払うよう腕を振る)』
「うわ!…見えてるのか?…うわまた。…あの」
『ああもう』
「えっ?あの聞こえてますか?」
『うるせえなあ』
「聞こえてる!?あ、あのですね。僕がこの死体の持ち主でありまして、持ち主?まあいいや、持ち主でありまして、この件は事件ではなくただの事故で」
『しつこいなあ』
「は?」
『パン。よっしゃ』
「蚊!?蚊か!?蚊かよ!蚊かあ…笑うしかねえな、カーカッカッカッカッってなんだよこのおれのテンション!…しかし蚊のせいか…ベタな勘違いだなまた」
『ポチポチ』
「ああ、ええっと、なになに、“今日の被害者です。みんなはどう思いますか?”ってなにこいつ、ブログ!?ブログにアップする気なの!?どう思いますかっていきなり死体の顔写真だろ?我がことながらグロ過ぎやしないか?」
『ポチポチ』
「うん?“ちょーウケるよね”、はあ!?ウケねえよ!ウケるウケないとかの問題じゃねえだろ!ネットの闇かよ!」
『ポチポチ』
「なんだよ。ええ“彼氏には無理って感じ”だあ!?ネカマ!?ネカマかよ!こんなおっさんがネカマかよ!なに“ちょータヒってるし”、タヒってるじゃねえよ!そんなとこで若者言葉使うな!設定若いな!しかしこんなおっさんが…まさしくネットの闇だ。これからは気をつけよう。あ、おれもう気をつけなくてもいいんだ。タヒってるからな。へっ…」
『ポチポチ』
「“実はこの件、殺人事件らしいです。キャー”、キャーって、キャーってお前、痩せたブルドックみたいな顔してなにやってんだよ!仕事しろよ!それに殺人じゃねえよ!」
『よしと、どれ』
「送り終わって自分のブログ確認してるよ。なに、はあ!?ブログのタイトル“リアル女子高生ケータイ刑事の特報最前線”だあ!?最前線過ぎるだろ!あ、昨日のアクセス数…5、…5ってほぼ自分のアクセスだろ。さっきみんなはどう思いますかって書いてたけど…痛すぎるだろ。世間はもう少しこの特報に関心を寄せたげて!そして今すぐ問題になってこいつを衆目にさらしあげてくれ!」
『ふーむ。おーい!ガイシャの情報は?ふむ。名前は高橋ユウジ、26才、派遣社員』
「うん」
『血液型はAと、Aか』
「なんだよ」
『…ふぅ…A型か…ABに変えられんか?』
「変えられねえよ!なんで変える必要があるんだよ!意味がわかんねえ!」
『ああ、いやな、ここに向かってる時に病院の前を通ったら、AB型の血液が足りねえってやってたんだよ』
「はあ、なるほど。ってだからといって!だからといってだよ!理由があればいいってもんじゃねえだろ!そもそも変えらんねえし!」
『ああ、なるほどな』
「部下も“O型だったら良かったのですけどね”じゃねえよ!なに言ってんだよ!仕事しろ!」
『まあ、おれがABなんだけどね。ハハハ』
「お前えぇ!おれのことはいいから早く病院に戻れ!」
『なにぃ!?』
「なに!?」
『中学2年の時、夏休み明けにデビューを果たそうと髪を金髪にするも、そのことを誰にも触れられなかったって!?』
「なんでそんな個人情報が伝わってんだよ!」
『それは確かかね』
「確かだよ!悪かったな!結局、校則に違反してるのに怒られるんじゃなくて教師からあわれみの眼差しを受けて泣きながら家で丸刈りにしたんだ!」
『同級生の証言か』
「誰がチクりやがったちくしょう!」
『確認するぞ?』
「しなくていいよもう」
『友人じゃなくて同級生から、なんだな?』
「重箱の隅をつつくような表現の暴力きたあ!そこを確かめるのかよ!悪かったな中学の時に友達いなくて!気分悪いよ、真綿で首を絞められているようだよ!」
『なるほどな、では、情報から推察するに、このヤマは中学時代の衝撃的な体験を苦にした自殺だな』
「早合点過ぎるよ!今更そんなことを苦に自殺してたまるか!でもまあ殺人事件よりは自殺の方が近い、かなあ」
『ふむ。こいつの家族には知らせたか?』
「家族……」
『忘れてたか、しょうがないな』
「おい!おかしいだろ順番!中学の友人でもない同級生に連絡しておいて家族に知らせないって。だけど…」
『おうどうした?なに?こいつの両親は以前に事故で………』
「ああ…………」
『……そうか…』
「……」
『その両親は欧米人か?』
「違うよ!そんなに金髪事件が気になってるの!?関係ないよ!死んだの中学時代じゃなくて一昨年だし」
『そうか…ペラ…なあ、高橋ユウジ、高橋君、いや、ユウジ君』
「なんだよ急に死体に話しかけたりなんかして」
『若くして孤独の味を知るなんて、つらかったろうなあ…頑張ったんだろうなあ…』
「…まあ、つらかったけど、上を向いてさ、上を向いて歩いていこうって、昔カラオケにいくとオヤジはいつも歌ってさ、上を向いて」
『中学時代なんか人生に於いてほんの一瞬でしかないのに』
「まだ金髪ひきずってんのかよ!損した気分だよ!」
『はあ…家族もなく、か』
「…」
『もう遅いかもしれないが、ユウジ君さえよければ私のことをお父さんと思ってくれていいぞ』
「なに言ってんだこいつ!よくねえよ!やだよ!ネット上で女子高生演じてるオヤジなんて!」
『ユウジ!ガバッ』
「抱くな抱くな!見てて気持ち悪いよもう!」
『…こんなに大きくなって』
「前に会ったことねえけど!」
『ここもこんなに立派になって』
「やめろ!息子の息子に触るな!なにやってんだよ!やめろ!やめてくれ!」
『へっお父さん譲りだな』
「そんなわけあるか!」
『ユウジ!…くう…しかしおれならユウジとは名付けないな』
「知らねえよ」
『タカシ…お前はタカシ…タカシだったな?』
「だったなってお前」
『タカシ!』
「勝手に名前変えてんじゃねえよ!親からもらった大切な名前だぞバカヤロー!」
『ごめんな、お前にはつらい思いをさせてばっかりで、うう、お父さんが金髪じゃないばかりに』
「だから!なんなんだよ!お前にとって金髪ってなんなんだよ!離れろ!金髪からもおれの体からも!」
『おいおいおいおーいおいおいおい』
「泣いてるよ。どうしたらそんなに感情移入できんだ?」
『おいおいおい…おいおいおいおい!おい!おい!気合いだあ!』
「アニマル浜口スイッチ入っちゃったよ!どんなお父さんスイッチだ!」
『気合いがあればなんでもできる!』
「アントニオ混ざっちゃったよ」
『気合いがあれば殺人事件も解決できる!』
「それはそうかもしれないけどおれ殺されてねえし」
『気合いがあれば、毎朝テントをはれる!』
「下ネタかよ。インポかお前」
『気合いがあれば…なに?うん、うん、うん?ああ、うん。えっ、階段から?傷口とも一致…ただの事故…』
「よかった。警察自体はまともで」
『どうすんだよそれ!』
「なに文句言ってんだこいつ」
『さっきブロ…ぐふんぐふん…さっきブロディおじさんに殺人事件だって言っちゃったよ!』
「ブロディおじさんって誰だよ!ブログって言おうとしたからってブロディおじさんって」
『ブロディおじさん?おれこう見えてハーフだからね』
「だからどうしたって話だよ。言い訳になってねえよ」
『おじさんは金髪で』
「金髪はもういいよ。ほんと」
『なんとか殺人の方向で進められないかね』
「できねえだろ!なんでお前はそんなにも事実を変えたがる!ネカマだし!」
『そうか…じゃあ引き上げようか…ああこいつ?ほっとけほっとけ、おれ達には関係ないよ』
「息子とまで思ったのにそれかよ。切り返し早いな。まあおれはそっちのがいいけど」
『はああ…ピピピ…あ、ブログにコメントが』
「なに?どれどれ」
『ポチポチ』
「なに“タヒるってタヒ語じゃん。お前高校生じゃねえだろ。キモいよおっさん”、うわっバレちゃった」
『ピピピピピピピピピピピピピピピ』
「うわっ、急にコメントが…今頃になって急に炎上してる!遅いけどそれでいいぞ世間!」
『ポチっと』
「うわ電源切りやがった」
『もう…やめちまおう…』
「……………帰ってった………おれは、おれはどうなるの!?誰か!誰か!お母さん!助けて!お父さん!」
『呼んだかねタカシ!』
「お前は!どうして!?」
終わり。自殺して幽霊になったんだよ刑事は。最初は冤罪ものにして、なぜか第三者が私がやりましたと矛盾しながらも言い張りるってものを考えてたんだけど、二人じゃできねえなって気づいた。おれ登場人物が三人以上になるとわけがわからなくなるから。つまんねえなあ。
落ちたんだようん。そして、痛かったけど恥ずかしかったからふらふらとコンビニに向かって……その途中で…死んだ?…まさか…じゃあなにおれ幽霊?すいませーん!あのお!無視されるのはおれが幽霊だから!?気づかれてないから!?おれ幽霊!?幽霊なの!?地縛霊ってやつ!?…もう笑うしかねえな…戻れねえかな…こう、体重なり合わしたら…えいや、ぐは!いてえ!あばら打った!いってえ、なんだよ!一人剣山みたくなっちまったよ!いってえ…幽霊なのにいてえって!幽霊なのにいてえって!」
パトカーのサイレン
「うん?あれは、刑事?」
『おう、お疲れさん、おう、おう。ふむ、ここが今回の事件現場か』
「事件現場?ただの事故ですけど…まあでも不審な死体だからなあ」
『どれ、ガイシャの顔は、なんまんだぶなんまんだぶ、ええ、ペラ……貧相、と』
「おい!初対面でいきなりそんなこと言うなよ!聞こえてますから!気分悪いな!関係ないだろ!」
『うん?』
「なんだ?何か不審な点が?つっても事故なんだけど」
『ペラ…やはり貧相な顔だな』
「二度見すんなよ!死体を二度見すんな!いやさっきおれもしたけどあれは本人特権だろ!本人特権ってなんだよ。血の気がひいてるからそう見えるだけだろ」
『ヌフフ』
「笑ってんじゃねえよ!おもしろくもなんともねえよ!」
『写メしとこ』
「はあ!?なんでだよ!撮るなよ!」
『なんまんだぶなんまんだぶ』
「それ唱えてもおれ許してないよ!確かに届いてるけど全然成仏しないよ!あ、撮りやがった!ケータイ刑事か貴様は!宮崎あおいと堀北真希を返せ!…なに言ってんだおれ…」
『ええっと、ポチポチ』
「…なにメールしてんだこいつ、覗いてもバレねえよな、不幸中の幸いってやつか、不幸がでかすぎて全然取り返した感ないけど」
『(後ろに回った「」を追い払うよう腕を振る)』
「うわ!…見えてるのか?…うわまた。…あの」
『ああもう』
「えっ?あの聞こえてますか?」
『うるせえなあ』
「聞こえてる!?あ、あのですね。僕がこの死体の持ち主でありまして、持ち主?まあいいや、持ち主でありまして、この件は事件ではなくただの事故で」
『しつこいなあ』
「は?」
『パン。よっしゃ』
「蚊!?蚊か!?蚊かよ!蚊かあ…笑うしかねえな、カーカッカッカッカッってなんだよこのおれのテンション!…しかし蚊のせいか…ベタな勘違いだなまた」
『ポチポチ』
「ああ、ええっと、なになに、“今日の被害者です。みんなはどう思いますか?”ってなにこいつ、ブログ!?ブログにアップする気なの!?どう思いますかっていきなり死体の顔写真だろ?我がことながらグロ過ぎやしないか?」
『ポチポチ』
「うん?“ちょーウケるよね”、はあ!?ウケねえよ!ウケるウケないとかの問題じゃねえだろ!ネットの闇かよ!」
『ポチポチ』
「なんだよ。ええ“彼氏には無理って感じ”だあ!?ネカマ!?ネカマかよ!こんなおっさんがネカマかよ!なに“ちょータヒってるし”、タヒってるじゃねえよ!そんなとこで若者言葉使うな!設定若いな!しかしこんなおっさんが…まさしくネットの闇だ。これからは気をつけよう。あ、おれもう気をつけなくてもいいんだ。タヒってるからな。へっ…」
『ポチポチ』
「“実はこの件、殺人事件らしいです。キャー”、キャーって、キャーってお前、痩せたブルドックみたいな顔してなにやってんだよ!仕事しろよ!それに殺人じゃねえよ!」
『よしと、どれ』
「送り終わって自分のブログ確認してるよ。なに、はあ!?ブログのタイトル“リアル女子高生ケータイ刑事の特報最前線”だあ!?最前線過ぎるだろ!あ、昨日のアクセス数…5、…5ってほぼ自分のアクセスだろ。さっきみんなはどう思いますかって書いてたけど…痛すぎるだろ。世間はもう少しこの特報に関心を寄せたげて!そして今すぐ問題になってこいつを衆目にさらしあげてくれ!」
『ふーむ。おーい!ガイシャの情報は?ふむ。名前は高橋ユウジ、26才、派遣社員』
「うん」
『血液型はAと、Aか』
「なんだよ」
『…ふぅ…A型か…ABに変えられんか?』
「変えられねえよ!なんで変える必要があるんだよ!意味がわかんねえ!」
『ああ、いやな、ここに向かってる時に病院の前を通ったら、AB型の血液が足りねえってやってたんだよ』
「はあ、なるほど。ってだからといって!だからといってだよ!理由があればいいってもんじゃねえだろ!そもそも変えらんねえし!」
『ああ、なるほどな』
「部下も“O型だったら良かったのですけどね”じゃねえよ!なに言ってんだよ!仕事しろ!」
『まあ、おれがABなんだけどね。ハハハ』
「お前えぇ!おれのことはいいから早く病院に戻れ!」
『なにぃ!?』
「なに!?」
『中学2年の時、夏休み明けにデビューを果たそうと髪を金髪にするも、そのことを誰にも触れられなかったって!?』
「なんでそんな個人情報が伝わってんだよ!」
『それは確かかね』
「確かだよ!悪かったな!結局、校則に違反してるのに怒られるんじゃなくて教師からあわれみの眼差しを受けて泣きながら家で丸刈りにしたんだ!」
『同級生の証言か』
「誰がチクりやがったちくしょう!」
『確認するぞ?』
「しなくていいよもう」
『友人じゃなくて同級生から、なんだな?』
「重箱の隅をつつくような表現の暴力きたあ!そこを確かめるのかよ!悪かったな中学の時に友達いなくて!気分悪いよ、真綿で首を絞められているようだよ!」
『なるほどな、では、情報から推察するに、このヤマは中学時代の衝撃的な体験を苦にした自殺だな』
「早合点過ぎるよ!今更そんなことを苦に自殺してたまるか!でもまあ殺人事件よりは自殺の方が近い、かなあ」
『ふむ。こいつの家族には知らせたか?』
「家族……」
『忘れてたか、しょうがないな』
「おい!おかしいだろ順番!中学の友人でもない同級生に連絡しておいて家族に知らせないって。だけど…」
『おうどうした?なに?こいつの両親は以前に事故で………』
「ああ…………」
『……そうか…』
「……」
『その両親は欧米人か?』
「違うよ!そんなに金髪事件が気になってるの!?関係ないよ!死んだの中学時代じゃなくて一昨年だし」
『そうか…ペラ…なあ、高橋ユウジ、高橋君、いや、ユウジ君』
「なんだよ急に死体に話しかけたりなんかして」
『若くして孤独の味を知るなんて、つらかったろうなあ…頑張ったんだろうなあ…』
「…まあ、つらかったけど、上を向いてさ、上を向いて歩いていこうって、昔カラオケにいくとオヤジはいつも歌ってさ、上を向いて」
『中学時代なんか人生に於いてほんの一瞬でしかないのに』
「まだ金髪ひきずってんのかよ!損した気分だよ!」
『はあ…家族もなく、か』
「…」
『もう遅いかもしれないが、ユウジ君さえよければ私のことをお父さんと思ってくれていいぞ』
「なに言ってんだこいつ!よくねえよ!やだよ!ネット上で女子高生演じてるオヤジなんて!」
『ユウジ!ガバッ』
「抱くな抱くな!見てて気持ち悪いよもう!」
『…こんなに大きくなって』
「前に会ったことねえけど!」
『ここもこんなに立派になって』
「やめろ!息子の息子に触るな!なにやってんだよ!やめろ!やめてくれ!」
『へっお父さん譲りだな』
「そんなわけあるか!」
『ユウジ!…くう…しかしおれならユウジとは名付けないな』
「知らねえよ」
『タカシ…お前はタカシ…タカシだったな?』
「だったなってお前」
『タカシ!』
「勝手に名前変えてんじゃねえよ!親からもらった大切な名前だぞバカヤロー!」
『ごめんな、お前にはつらい思いをさせてばっかりで、うう、お父さんが金髪じゃないばかりに』
「だから!なんなんだよ!お前にとって金髪ってなんなんだよ!離れろ!金髪からもおれの体からも!」
『おいおいおいおーいおいおいおい』
「泣いてるよ。どうしたらそんなに感情移入できんだ?」
『おいおいおい…おいおいおいおい!おい!おい!気合いだあ!』
「アニマル浜口スイッチ入っちゃったよ!どんなお父さんスイッチだ!」
『気合いがあればなんでもできる!』
「アントニオ混ざっちゃったよ」
『気合いがあれば殺人事件も解決できる!』
「それはそうかもしれないけどおれ殺されてねえし」
『気合いがあれば、毎朝テントをはれる!』
「下ネタかよ。インポかお前」
『気合いがあれば…なに?うん、うん、うん?ああ、うん。えっ、階段から?傷口とも一致…ただの事故…』
「よかった。警察自体はまともで」
『どうすんだよそれ!』
「なに文句言ってんだこいつ」
『さっきブロ…ぐふんぐふん…さっきブロディおじさんに殺人事件だって言っちゃったよ!』
「ブロディおじさんって誰だよ!ブログって言おうとしたからってブロディおじさんって」
『ブロディおじさん?おれこう見えてハーフだからね』
「だからどうしたって話だよ。言い訳になってねえよ」
『おじさんは金髪で』
「金髪はもういいよ。ほんと」
『なんとか殺人の方向で進められないかね』
「できねえだろ!なんでお前はそんなにも事実を変えたがる!ネカマだし!」
『そうか…じゃあ引き上げようか…ああこいつ?ほっとけほっとけ、おれ達には関係ないよ』
「息子とまで思ったのにそれかよ。切り返し早いな。まあおれはそっちのがいいけど」
『はああ…ピピピ…あ、ブログにコメントが』
「なに?どれどれ」
『ポチポチ』
「なに“タヒるってタヒ語じゃん。お前高校生じゃねえだろ。キモいよおっさん”、うわっバレちゃった」
『ピピピピピピピピピピピピピピピ』
「うわっ、急にコメントが…今頃になって急に炎上してる!遅いけどそれでいいぞ世間!」
『ポチっと』
「うわ電源切りやがった」
『もう…やめちまおう…』
「……………帰ってった………おれは、おれはどうなるの!?誰か!誰か!お母さん!助けて!お父さん!」
『呼んだかねタカシ!』
「お前は!どうして!?」
終わり。自殺して幽霊になったんだよ刑事は。最初は冤罪ものにして、なぜか第三者が私がやりましたと矛盾しながらも言い張りるってものを考えてたんだけど、二人じゃできねえなって気づいた。おれ登場人物が三人以上になるとわけがわからなくなるから。つまんねえなあ。