微笑シリーズ。ファミレス野生変 | からだに恥をかく体操〜えんぴつみがき〜

微笑シリーズ。ファミレス野生変

「お、もうこんな時間か、うわぁ、時間知ったら急に腹へってきたな。お、ちょうどファミレス発見。よし」
『いらっしゃいませ、ご注文は?』
「おれ別にレジ前のおもちゃスペースで食べないけど」
『あ、これは失礼致しました。わたくしごとではありますが、わたくし先日までハンバーガー屋さんで働いてまして』
「ああ、なるほどね、ま、いいんだけどね」
『はあ、では、ご注文は?』
「この場所で食うことをよしとしたわけじゃないよ!?お前の習慣からくる小さなミスをよしとしたわけで。こんなところで皿手に持って食ってたら他のお客さんに笑われちゃうだろ」
『すみません』
「うん、まあ、勘違い、思い込みって人間をびっくりするような領域に誘うからね」
『笑い袋は当店では扱っていません』
「そこまでして笑われたくねえよ!つうか笑われたくねえんだよ誰にも!なんなんだよ笑い袋ってお前、聞き間違えにもほどがあるだろ」
『すみません。なんせお昼時、猫の手も借りたいほどで』
「まあなあ、いいよいいよ。早く案内してよ」
『では、皿洗いなら時給800円で』
「おれに働かすな!おれは客だ!」
『は、お客様志望で』
「志望ってどういうことだよ!なんだよ、この店は客の一人一人に履歴書書かせて面接受けさせるのかよ!」
『そんなバカな』
「おれのセリフだよ!」
『は、いや、すみません。わたくしぼーっとしてまして』
「相当だぞ」
『なんせ猫の手も借りたいほど、あ、欧米ではウサギの後ろ足を切り取って干したものが幸運のお守りになるとか』
「ああ、ラビットフッドな」
『猫の手も』
「怖いよ!それ以上言うな!」
『は、すみません。わたくし先日までハンバーガー屋さんで働いてまして』
「どう猫とハンバーガー屋さんが繋がる!?」
『はあ、前の店では猫の』
「言うな!聞きたくねえわ。知りたくもねえ。どんな都市伝説だよ」
『都市現実ですけどね』
「都市現実!?」
『あ、お席のご案内でしたね。すみません。なんせ目が回るほど忙しくて。もうぐるぐるぐるぐる。こう』
「うん、上上下下左右左右」
『BA!』
「コナミコマンド!?お前の脳みそはコナミで作られたのかよ!」
『BA!』
「乳首つまむな!」
『わたくしの左乳首はキャンセルボタンなんですよ』
「知るか!」
『なんでもキャンセルできますからね、つままれると』
「例えばなにをキャンセル出来るんだよ」
『人間関係とか』
「どっちかって言うとそれリセットボタンだろ!」
『ははは、わたくしのリセットボタンは心臓にありますよ』
「生々しいよ!なんだよ!つうか早く案内しろよ!腹へってんだよ!」
『………』
「左乳首をつまむな!おれとの人間関係はキャンセル出来ねえよ!おれが客である限りな!」
『は、すみません。なんせてんてこ舞いの慌ただしさで』
「忙しいのはわかったよ!」
『てんてこ舞い♪』
「あ!?」
『ほら、こんなに忙しい』
「てんてこ舞いになってる時に実際にてんてこ舞い(?)を踊る余裕があるならそれはてんてこ舞いじゃねえよ」
『お客様は喫煙席と禁煙席どちらで?』
「無視かよ」
『あ、すみません。なんせお昼時ということもありまして』
「忙しさはわかったって!わかったって!早く案内しろ!」
『いや、お昼時で現在禁煙席しか…しか空いてませんけどそちらでよろしいですか?』
「ああ、おれたばこ嫌いだからいいよ。メシ食ってる隣でたばこ吸う奴の気がしれねえ」
『それは、におい、でですか?』
「え?ああ、まあ、においっつうかもうたばこの全部がダメだね」
『はあ、では禁煙席しか空いてませんがよろしいですね?』
「だから禁煙でいいって」
『わかりました。ではこちらへ。この扉を開けて中へどうぞ』
「扉?へー、完全に分煙してるんだな。いいじゃない」
ガチャ
「…………すいませーん!」
ガチャ
『は、お呼びで』
「お呼びで、じゃねえよ!なにここ!?」
『え?禁煙席しかでございますが』
「いやいやいやいや、鹿いるじゃん鹿!なにこれ!?」
『は?禁煙席鹿でございますから、鹿がいるのも当然かと』
「禁煙席鹿!?禁煙席鹿!?」
『あのお客様、他のお客様の迷惑になりますので扉を閉めさせて頂いてよろしいですか?』
「ああ!?…くさっ!くせえ!鹿くせえ!」
ガチャ
「…くせえなっておれ取り残されてる!違うよ!すいませーん!」
ガチャ
『は、ご注文お決まりですか?』
「違うよ!鹿!鹿!なにこの鹿!?」
『はあ、禁煙席鹿でございます』
「ああ、禁煙席鹿ね」
『ちなみにメスなんですよ。お客さん、女の子だからといって手を出しちゃいけませんよ』
「ははは、目の前にレディがいるのに手を出すなだって?君はおれに呼吸をするなと言うのかね。はははって違う!手なんか出すか!」
『安心しました。注意して下さい。指もってかれますからね』
「結構凶暴!もってかれるんだ指」
『指以外にも、彼女は鹿界の阿部定として有名ですからね』
「誰がしゃぶらせたんだ誰が!」
『で、ご注文は?』
「こんなところでメシ食えるか!こいつ糞尿垂れ流しじゃねえか!」
『そんな嫁入り前の娘をさして』
「うるせえ!鹿じゃねえかよ鹿!くせえんだよ!もんもんと生くせえ!なんでファミレスで鹿飼ってるんだよ!衛生管理に問題ありだろ!こんなところでメシ食えるか!たばこのがましだよ!ああ!?こんなところでパスタなりステーキなり食って満足すると思うのか!?」
『ポテトもいかがですか?』
「癖癖!癖でてるよ前のバイトの癖が!くせえし癖出てるしもうなんなんだよ!」
『あ、言い忘れてました』
「たくさん言い忘れてるよ!」
『こちら禁煙席鹿では普通の席とメニューが異なりまして』
「普通の席ってお前、普通の席ってお前」
『ご注文は草とせんべいしか承っていません』
「それおれのメシじゃなくて鹿のエサだろ!」
『はあ、お客様が望むなら鹿肉のステーキも』
「鹿肉ってお前」
『今なら解体ショー付きでございます』
「もういいよ」



終わり。禁煙席鹿はおもしろい。あと都市現実。都市現実っていいね。信じるか信じないか以前にそれが現実だという都市現実。川に囲まれた足立区は荒川土手が崩壊すると数時間で沈むとかが都市現実かな。あと足立区は地盤が緩いから地震で揺れやすいとか。足立区が都市かどうかは議論の余地があるが。あなたの町の都市現実お待ちしております。あ、あと最近ゲリラ豪雨や雷がひどいのはおれが西新井大師(鎮雷の寺、“関東”三大師と大師線で有名。あと参拝客賑わう正月にはノミの駐車場屋さんが現れる)の池にいる亀を盗んだからなんだ。これは都市現実じゃなくて誇大妄想。一応言っときますけど盗んでません。ちなみに裏設定として喫煙席ノミっていうノミだらけの場所もある。禁煙席鹿の鹿のノミを喫煙席ノミに流用してるんだなあ。鹿の部分が短いのは実際のステージに生きた鹿を持ち込めないから。もちろん死んでる鹿も持ち込めない。いや、待てよ、例えば漫才をしている二人の横にハエをブンブンいわせて発酵現在進行中の死んでる鹿が佇んでいたとしたらそれは…おもしろい、か?