微笑シリーズ。流れ行くさらさら | からだに恥をかく体操〜えんぴつみがき〜

微笑シリーズ。流れ行くさらさら

『腹黒い奴ってのはげびた笑い方をするよな』
「漫画の読みすぎじゃないか?」
『現実でだ。腹黒いっつうか、おびえてる奴な。つっこまれたら終わり、みたいな奴』
「つっこまれたら?」
『人を騙そうとしてる奴とか、ほぼ悪徳商売であるということを自覚してるセールスマンとか』
「ああ」
『げぶぁぶぁぶぁぶぁ、ってさ』
「どう発音したのかもわかんねえよ。ひっひっひっみたいなのじゃなくて?」
『そんな笑い方のセールスマンは確実に、って危ない。乗せられて危うくそんな奴は喪黒福造じゃねえか、笑ゥせぇるすまんじゃねえかって言っちゃうところだった』
「乗せるつもりはなかったけど言っちゃってんじゃねえか」
『ひっひっひっなんて笑う奴は魔女か、あとは悪いおじいちゃんおばあちゃんだろ』
「まあ、なあ。鬼ババとか、悪巧みしてる片眼鏡の老執事とかな」
『ひっひっひっなんて笑うそんな奴現実にはいねえよ。あ、おれの田舎のばあちゃんはそう笑うな』
「身近にいるんじゃねえかよ。でも確かにいるな。そんなお年寄り」
『ずんだ餅を食う前とかひっひっひって笑ってたもんな』
「笑うほど好きなんだな。ずんだ餅が」
『あと、世界中を恐怖に陥れようとした時なんかも』
「安易だよ!安易過ぎるだろそれ!」
『………ひっひっひっ』
「やめろ!」
『しかし、セックスしてる時にひっひっひって言われたら』
「なんだよそれ!?言われたらなんだよ」
『イヤだよな』
「正解だよ!なんだそれ」
『それでできた子供もそう笑うからね』
「一個前に戻ろうか」
『は?』
「いや、子供が生まれた一個手前の出来事に戻ればひっひっひっチャンスあるだろ」
『ああ、ひっひっひっチャンスな。ひっひっひっチャンスってなに?』
「ほら、出産時の呼吸法で、な、あるだろ、ほら」
『ひっひっひっチャンスってなんだよ』
「ラマーズ法だろうが!ひっひっふーひっひっふーのひっひっひっチャンス到来してただろ!」
『ひっひっひっチャンスがなんなのか知らないけど、ラマーズ法がチャンスだとおれは思わなかったな』
「…そうか。ならいいんだ」
『よくないよ。おれがもう一回ひっひっひって笑ってお前が、お前がその子供かよおばあちゃんがそうだから!?みたいな展開がつぶれたもの』
「そうか。考えてんだな。…しかしさ」
『あ、ひっひっふーじゃなくて、ひっひっひーって呼吸法だったらおもしろいね。いつ吐くんだよみたいな』
「それだろぉ!ひっひっひっチャンス活用してるじゃん!」
『いや、おもしろくはないな。初産の人なんかパニクって本当にそういう呼吸しちゃって気絶するってのはよくある話なのかもしれない。これは笑いごとじゃないな』
「そう言われたらあれだろ、何も言えないよ」
『助産師あるあるだよな。助産師にはうけるかもしれない』
「どっちなんだよお前は!うけちゃダメだろ!」
『いや、いくら生命を扱うお仕事でも、助産師さんも人間だからね。コンビニの店員が客にあだ名つけるみたいなもんでさ。客の立場からすりゃイヤだけど、じゃあおれが店員サイドになったらあだ名をつけないかって言ったらそれはまた別の話だろ。緊張と緩和だよ。人間は機械にゃなれねえんだ。吐き出せるもんは吐き出さねえと。そして吐き出すときは後ろめたさを消す勢いで笑わないといけないのが人間だよ。笑う動物は人間だけだって言うだろ?笑うことは素晴らしいことなんだって。でも世の中はなんでも対になってるんだ。人間だけがやることなんてたくさんあるだろ。本能以外っつってもいい。笑うことってのは、本能に根ざした活動以外のもの、それと対になってる。本能ってのは三大欲だよな。食って寝てやる。それだけの生活をしてみなよ。働かないよもちろん。働くってのは本能的ではないからね。動くことは本能であっても働くってのは本能ではないから。ほら、そいつは笑ってますか?笑ってないだろ?笑う必要がないんだ。吐き出すものがないからね。だから笑いってのは本能以外の部分に基づくものなんだよ。あるあるネタなんかまさにそうだよな。エロあ
るあるだって中だしまでいくと笑えないだろ?ぜんぎとか体位は本能ではないからね。だすことに意味があるんだから。食事だってそうだよ。恋人が死んだ夜にも腹は減るって笑えますか?だから笑いってのは本質的に誰かを傷つける。罵倒だったり差別だったり。それはしょうがないんだ。罵倒したり差別したりすることを“隠す”のは人間だけだからね。だからといっておれは差別主義者ではないことを強く言っておくけど、じゃあなにかを差別していないかといったらそれはまた別の話になってくるから。それで』
「長えよ!もういいよそんな話は。なんでそうなった」
『というわけでげびた笑い方をする奴は』
「そこに繋がるのかよ」
『無駄に明るく相槌笑いする奴ってのは、確実に裏で後ろめたいことをしてるって話だよね?』
「おれは知らねえけど!?」
『じゃあカマンベールチーズについて話そうか』
「終わり!?そして急展開!」
『なんなんだろうな。カマンベールチーズって………』
「………それだけ!?こっちも終わりなの!?」
『うまそうでもまずそうでもねえよな、カマンベールチーズ』
「うまいだろ」
『そうだっけ?』
「いや、おれに聞かれてもそこはお前次第のところあるからってなにこのふわふわ!すごいふわふわ!ふわふわマンか!カマンベールだけに!?」
『じゃあ昨日やってたケビン・ベーコンの映画の話しようぜ』
「じゃあってなんなんだよ!」
『ところでこの前テレビでミッションインポッシブル3やってて、ちら見してたんだけど』
「どれ!?お前どの話すんの!?展開が早いよ!」
『げぶぁぶぁぶぁぶぁ!』
「なんでだよ!なんで今げびた笑いした!」
『Mi3ってさ、なんか一生懸命予算を使い切りましたってだけのとてもおもしろい映画でしたね』
「うう、どっちだよ!ほめてんのか貶してんのか!」
『ほめても貶してもねえよ。いや、ほめてるかな』
「だからどっちだよ!2択が3択になっちゃったし!?」
『ああいう、年度末の道路工事的な、いや、余ってる部費を無理矢理使い切る将棋部の方が』
「どっちだよ!いや、どっちでもいいだろ!おんなじだよその喩えの意味するところ」
『ああいう金のかかった映画から金のかかった新技術が生まれたりなんかしてさ。その金のかかった新技術を金のかかってない映画が金のかからない旧技術として。そうやって映画技術が発展したり、時には技術見本市みたいになって衰退していくんだろ?』
「だからどっちなんだよ!つうかおれに訊くな!」
『主役のトムン・ベルールは』
「トム・クルーズな!カマンベールひきづってんじゃねえ!」
『彼の演技はいいのか悪いのか』
「だから!はっきりしろよ!」
『どうなんですか?』
「おれに訊くなぁ!主体性を持て!」
『昨日テレビでやってたワンピース』
「ケビン・ベーコンからワンピースに!?」
『ワンピースってさ。どこかひねくれた大人がハマるよな。それとまっすぐな子供』
「どっちの話したいんだよ!ひねくれた大人とまっすぐな子供って守備範囲広いな!話を絞れ!」
『ところで昨日深夜にやってたケビン・ベーコンの映画なんですけど』
「なんなんだよ!」
『あれなに?』
「おれに聞かれてもって何回言わせりゃいいんだよ」
『お前なぁ、少しは主体性を持てよ』
「お前が言うか?」
『いや、そんなことおれに聞かれても』
「じゃあ誰に聞けばいいんだよ!」
『ケビン・ベーコン扮する、あれ、あの役柄は、なんつうの、キャンプガイドでいいかな?山岳ガイドと言うのかな?』
「その映画の内容訊いたわけじゃねえよ!どっちでもいいし!」
『ま、アメリカの子供はそんなに魚をさばくのがイヤか、って内容の』
「どんな内容の映画だよそれ」
『魚をさばくのがイヤだって言って聞かないガキがケビン・ベーコン扮するガイドを崖から突き落として成長するっていう、ジョジョでいうなら5部のペッシ的な話』
「理解しちゃったんだ」
『なんか長くなったから話のオチは割愛して』
「理解できねえなその言動には」
『いやさあ、言った時には既に終わってるから』
「オチも!?言ってもねえのに!?」
『いや、だからオチを言ったらそれはもう行動は終わってるから。終わったあとに言うことになるから』
「もういいよ」
『よくないよ』
「ああ!?」
『みなさんにお知らせがあるんだ』
「こんな過疎ブログで!?」
『いいだろ』
「いいけど」
『おれ次の微笑シリーズは女の子ウケするやつ書きたいんだよね』
「才能棚にあげてまた途方もねえことを」
『女の子におもねりたい時期ってあるじゃん?』
「…知らねえけど」
『だからさ、おれにヒントをください。女はこういうのが好きよってのをください。ヒントくれないと今回みたいな、一体全体何をしたいのかわからない独りよがりになります。ただし、誰々みたいなの、とかはやめてください。おれ最近のネタ番組観てないからわかりませんし出来ません。というわけでよろしく』
「本気か!」



終わり。そのケビン・ベーコンの映画タイトルは「グレート・ストリーム」ね。観るときは時間帯に気をつけて。深夜か二日酔いで寝込んでる昼かだね。あ、あとお知らせだけど、随時悩み相談も受け付けてるよ。公開前提で。ただリアルに重い悩みには一切答えないからね。って本気か!