微笑シリーズ。恋と故意。 | からだに恥をかく体操〜えんぴつみがき〜

微笑シリーズ。恋と故意。

「もう駄目だぁ」
『なんだよ、どうした』
「あー、昨日彼女にふられてな」
『そんな夢を見たと、お前どんだけ彼女を大切にしたいと思ってるんだよ!』
「え?いや、なんでだ?この短い問答の中でどうしてそこまで噛み合わなかった?違うよ」
『どこから?』
「もうめんどくさいよ。そうだな、夢じゃなくて現実でふられたんだよ。ま、でも夢ならよかったのにな」
『彼女にふられたと』
「そうなんだよ。あー、ショック」
『だろうね』
「…うん。もう、うん、としか言えないけど」
『どうしてふられたか訊いてほしいのか?』
「そ、そうだな、ちょっと聞いてほしいかな」
『じゃあ、どうして女は男をふるのかな?』
「話が大きくカテゴライズされちゃったよ。もっとミクロでいいんだ、おれの場合の話で」
『大体よぉ』
「なに?」
『おれお前に彼女いただなんて初耳だぜ?』
「えっ、そうだっけ?」
『耳といえば、王様の耳はロバの耳ってあるだろ?』
「突然なんだよ。わけわかんねえよ」
『あれ、とっても不思議なお話だよねぇ。ところで彼女がいるならいるで言ってくれりゃよかったのに』
「ところで扱いされちゃったよ。大して王様の耳はロバの耳にも何かあるわけでもなく」
『隠してたの?』
「いや、隠してたわけじゃないけど」
『じゃあなんでわざわざ王様は耳のこと秘密にしてたんだよ』
「そっち!?ほんとにところで扱いになってたのかよ!おれと彼女の話じゃなかったっけ!?」
『ロバの耳ぐらいつけさせてやれよ!いいじゃねえか!』
「いいかな?おれの話に戻って」
『いいよ』
「いいんだ、しかもすごく軽い感じで」
『お前に彼女がいるって知ってたらなあ』
「は?」
『おれもペアルックしたのに』
「え?」
『いや、おれもお前とペアルックしたのにな、って』
「なんでだよ!なんでおれとお前がペアルックしなきゃならないんだよ!」
『笑われたっていいじゃない』
「お前はな!おれはイヤだよ!」
『二人の青春じゃないですか』
「だからなんでだよ!しかも今時ペアルックってお前、玉置と石原ペアぐらいしか思いつかねえよ」
『ざ・たっちとか』
「双子だからだろ!」
『あと、ジャイアンとブタゴリラとか』
「あれはペアルックというかキャラがかぶってるだけだろ!」
『パンダとシマウマとか』
「それに至ってはもうペアとかルックの話じゃないだろ!白黒だから!?」
『コロンブスと玉子とか?』
「おれに訊かれても知らねえよ!なんでおれに彼女がいるからってお前とペアルックしなきゃいけないんだよ!」
『でもさ、おれとお前の彼女がペアルックだったらおかしいだろ』
「おかしいなそれは!おかしいどころか彼女の浮気を疑うよ!」
『いや、彼女の浮気を疑うのはおれの方だろ!』
「そりゃそうだ!ペアルックする程の仲だもんなお前らは!って違うだろ!」
『は?』
「彼女とお前付き合ってねえし!大体ペアルックってなんだよペアルックって」
『あ、どうする?』
「ああ!?なんだよ」
『この話、実はおれとお前の彼女が付き合いだしたことでお前がふられたって話にする?』
「そんなこと今言うなよ!しらけちゃうだろ!」
『じゃあ、最初の予定通りで』
「やめろよそういうの」
『最初の予定通り、彼女が実はおれだったという線で』
「そうだったの!?そんな話になる予定なのこの話!?」
『もう、いけずぅ』
「気持ち悪いよ!急に彼女ぶるな!つうか古いだろ。いけずってお前、今時ちびまる子ちゃんしか言わないぞ。やめろ」
『じゃあどうすんの?』
「とりあえず話をもとに戻そうぜ」
『ああ、お前があれだよ、彼女にふられた原因が』
「ペアルックじゃないぞ!ペアルックするしないでふられたわけじゃない!ペアルック問題でふられたわけじゃない!」
『知ってるよそのぐらい!だっておれが』
「彼女じゃない!断じてお前はおれの彼女じゃない!」
『……ひどい』
「やめろ!そのラインやめろ!」
『わかったよ。しょうがねえな。それにペアルックするしないで別れるカップルなんていないだろ。どこの星の住人だよ』
「それは地球でいいだろそこまでいくと。話がでかいんだよ」
『どうせあれだろ?お前に原因があるんだろ?』
「いや、実は原因っつう原因はわかんねえんだけど」
『どうせお前のBDだろ?』
「DVな。ドメスティックバイオレンス。BDじゃバックドロップになっちゃうだろ」
『ああ、BDDVな』
「そんな荒技繰り出さねえよ!たまに聞くけど!」
『えっ、BDDVを?』
「いや、プロレスファンの彼氏がプロレス技をかけてくるのがイヤだっていう話」
『ああ、足四の字とかな。むしろほんとはかけられたいんだけどな彼女に』
「いた!?ここにいた!?」
『おれはここにいるけども。あ、私はここにいるけども♪』
「テルマの替え歌!?素敵な歌が一気にイヤな歌になっちゃってるだろ。なんだよ、私はここにいるけどもって」
『ほにゃらららら待ってるけども♪』
「けどもなんだ!つうか歌詞知らねえのかよ。替え歌なんだから知らなくても適当につけりゃよかったのにな!」
『待ってるけども、セックスはちゃんとする』
「最低だな」
『けども?』
「めんどくさいよ!」
『テルマ?』
「意味わかんねえよ!」
『しかしよぉ、お前見損なったよ。DVだなんて』
「してない!おれはしてないよ!」
『じゃあなんでふられるわけ?』
「だからわかんねえって!つうかDVしかふられる原因ないの!?」
『他に何があるんだよ』
「お前、どんだけ恋愛に対して純粋なんだよ。好きな人同士がどうして別れなきゃいけないの?みたいな」
『だってそうだろ?』
「いやまあそうだけど、あるだろ、価値観の違いとか性格の不一致とかで相手に嫌気がさすことぐらい」
『ああ、マンネリとか』
「そうだよ、それに男に甲斐性がないとか、他に好きな人ができたとか、」
『ああ、彼氏の相方の方がかっこいいとか、彼氏の相方大好きとか、彼氏の相方に抱かれたいとか』
「なんでそうなる!相方のいる彼氏なんかそうはいないぞ!」
『まあでも、彼氏の友達の方がって話だよ』
「それは、あるけども」
『けども?』
「めんどくさいよ!」



終わり。ふられた理由は「携帯が料金未払いで繋がらない時があるから」ですね。昨日じゃないけどおれの実話です。ま、単純に飽きられただけでしょう。甲斐性ねえし。恋愛にゲーム感覚のうわついた駆け引き持ち込むの断固反対!いい気になってんじゃねえ!