風光る | からだに恥をかく体操〜えんぴつみがき〜

風光る

潮風光る浜辺に西陽が射して、俺は一人よろめいていた。
大事な瞬間とため息、わかりやすい時間のはずなのに。
砂浜に埋まる思い出、寄せては引く駆け引き。
子供の頃に好きだった、少し怖いおとぎ話。
好きなだけじゃ駄目なのかい?俺は君の返事を待つ。
それだけでもいいのだけれど、それだけでもいいのだけれど。
あの時俺は本棚を整理して、母と読んだ絵本を見つけた。
救いようの無い不気味なストーリー、願いのひとつも叶わずに、
死んでいった。強欲の末路かい?繰り出す教訓かい?
俺の魂は、いつか光を纏うのかい?いつも待ちぼうけ。
死にたがりの男は、君を辛くさせただけじゃないのか。
もう死にたいよ。そればかり呟いて。
明日の予定さえ、君に任せてばかりだった。
犬は犬であるのだからそう、犬は猫であった試しがない。
時は流れ消えて行くものだからそう、時は巻き戻された試しがない。
わかっているよ。そんなことわかっている。
だけれど俺は、理解したフリで君の全てから逃げていた。
日々よ、よろめき過ぎた日々よ。俺の中で君のイメージが消えない。
愛と、まとわりついた憂鬱。俺のせいだと君が言ってくれたらどんなに。
色めき立つ春の気配。彩り鮮やかに輝く幸福の亡骸。君はまばゆいほどに笑ってた。映画のワンシーンみたく背中に夕陽が、格好をつけろと俺の背中を押して、君に告げた言葉は。
曖昧に惑う俺の目と、ありふれた言葉に力無く。最後まで守り抜くことも出来ず、今俺は呆然と立っている。砂浜に。夕陽が射して。後ろも振り向けず、ただ海を波をしぶきを磯辺を見ている。立っていることの意味も忘れまた部屋に帰るのか。俺は。今日も愚鈍なる時をただ過ごし生きる意味から瞳をそらし明日を迎えるのか。俺は。俺は。
日々よ、よろめき過ぎた日々よ。俺の中で君のイメージが消えない。
最後は、ベッドの上で泣いてた、君を見た時俺は鍵を握りしめ動けなかった。
日々よ、よろめき過ぎた日々よ。俺の中で君のイメージがもう消えない。
逢いたい、半月の光照らす風の音がせつない。
俺は涙流してた。知らずうちに涙を流していた。矛盾無く吹く風が俺を包み込んでいる。明日俺は何を思う。日々よ、よろめき過ぎた日々よ。俺の中で君のイメージが消えない。消えない。