春になれば
なんだろうこの匂い、懐かしい匂いだ。
僕はつくことのないテレビにしがみついてさ、バカみたい。
君を裏切り続けた報いが今、春が近いこんな晴れた日に。
君が望むことは難しくってさ、なんて、バカだった。素直になればそれだけだった。
この匂い、思い出せないよ。君がいないこの部屋に香る。なんでだろう。
狭いワンルームに春の匂いがせつない。少ししょっぱくて、つんとして。
タバコの煙でごまかしてみた、ごまかされただけだった。
君の作る料理はどれも薄味で、僕はいつも醤油をかけていた。君の心にも醤油をかけてたんだろう、君の気持ちもわからずに。
この匂いなんだろう、いつか嗅いだ匂い。思い出せないよ。君なら教えてくれるかな。
バカみたいに歩き回って、気がつけば背を向けていた。僕の背中を君はどう見ていたのだろう。
メールが来るまで気がつかなくてさ、その時僕は本を読んでた。トルストイ。次の日捨てた。
傷だらけのあの部屋にらしくないカーテンつけて、そこだけ輝いて見えた。たまに月を見たり、夢を語りあったり。
すがるものができることを愛することというのなら僕はなんて頼りないのだろう。君を、歩き回って探していた見つかるはずもない町の陰溜まり。君の名前をそっとつぶやくと犬に聞き取られ吠えられ逃げた。春の日差しが僕をいたずらに照らして、できた影はちっぽけに見えた。
この匂い、胸に突き刺さる。痛みか悲しみか慟哭か、それでも腹は減ってさ、落ち込む。
君の作る料理はどれも鉄分重視で、レバーが食えない僕は文句を言った。
あれから僕は何も変わっていないんだろ、そう思うと死にたくなる。離れ離れにも慣れて、だけどときめきが足りなくて。
そりゃそうだ。僕は子供で君がいなけりゃ虚勢も張れなかった。
ありがとう。つぶやいてもむなしい。
僕はシンプルに生きていたいと言うくせにだらだらと付け加えてさ。使いすぎた言葉は曖昧に変わって伝わらない。伝わらない。君の言う一言で、僕の世界がぶっ壊された気になってそして抗えなくて。うだうだと垂れ流す度に想いはどこか遠のいて。ストレートな言葉から逃げて君を困らせた。そればっかり。嫌な奴なのに。君は側にいてくれたのに。
疲れて帰ると魚を焼いてて、骨を取るのが面倒くさくて喧嘩になった。バカみたい。
君の服に染み付いていた匂い。君がいるといつも。気がつかない程に毎回。何の匂い?。聞いたら君は笑ってさ。匂いじゃなくて香りって言いなさい。笑ってさ。
この匂い。君がいつか僕に運んできた匂い。それだけはわかるのに。
部屋に帰ると寂しくてレバーを炒めてみた。やっぱり食べられなかった。僕は多分ずっと食べられない。
四の五の言わずに逞しく。生活に見た春。二人歩いた町にまた春が来て、空に浮かぶあの雲に性懲りもなく名前をつけて。サボテンの影にそっと写真を置いて、ぬいぐるみを投げつけた。わからない。僕はわからない。
心に流れるメロディーをそのまま口ずさみ、君は鼻歌でさりげなく。僕は続きが気になって。猫の喧嘩みたくなった。君の声が好きでさ。響きを聴いていると幸せがそこにあった。なんてことはない幸せがそこにあった。
この匂いなんだろう。春になると繰り返すのかな。いつか思い出すかな。思い出したら何か変わるかな。変わるのは怖いな。
君のいない僕の時間に春の風は何を運ぶだろう。君の口ずさんでいたメロディー。へんてこな歌詞をつけて笑った。
僕を必要としないメロディーそこにあってむなしい。いくつもの景色重ね合わせていた。君は船に乗ってさ。消えてなくなった。
妥協することが成長と言われ僕は吸い込まれて抜け出せない。目線を変えて死に体になって生きて息づくこともなく僕はさしあたり毎日を生きている。明日が来ることにがっかりしてみた。抜け出せない現状に不思議と妥協を見つけてきてはその気になって苦笑いさ。
慣れてしまえばこの匂いみたく、いつしか気がつかなくなって忘れちまうんだろ。そっと吹く風が新しい時間を運んで、空に雲が流れて消えて。歌っては消えたメロディー。へんてこな歌詞をつけてこれが僕達なんだと誇らしげに笑った日々も、一緒になって消えてしまうのだろう。消えてしまうのだろう。
僕はつくことのないテレビにしがみついてさ、バカみたい。
君を裏切り続けた報いが今、春が近いこんな晴れた日に。
君が望むことは難しくってさ、なんて、バカだった。素直になればそれだけだった。
この匂い、思い出せないよ。君がいないこの部屋に香る。なんでだろう。
狭いワンルームに春の匂いがせつない。少ししょっぱくて、つんとして。
タバコの煙でごまかしてみた、ごまかされただけだった。
君の作る料理はどれも薄味で、僕はいつも醤油をかけていた。君の心にも醤油をかけてたんだろう、君の気持ちもわからずに。
この匂いなんだろう、いつか嗅いだ匂い。思い出せないよ。君なら教えてくれるかな。
バカみたいに歩き回って、気がつけば背を向けていた。僕の背中を君はどう見ていたのだろう。
メールが来るまで気がつかなくてさ、その時僕は本を読んでた。トルストイ。次の日捨てた。
傷だらけのあの部屋にらしくないカーテンつけて、そこだけ輝いて見えた。たまに月を見たり、夢を語りあったり。
すがるものができることを愛することというのなら僕はなんて頼りないのだろう。君を、歩き回って探していた見つかるはずもない町の陰溜まり。君の名前をそっとつぶやくと犬に聞き取られ吠えられ逃げた。春の日差しが僕をいたずらに照らして、できた影はちっぽけに見えた。
この匂い、胸に突き刺さる。痛みか悲しみか慟哭か、それでも腹は減ってさ、落ち込む。
君の作る料理はどれも鉄分重視で、レバーが食えない僕は文句を言った。
あれから僕は何も変わっていないんだろ、そう思うと死にたくなる。離れ離れにも慣れて、だけどときめきが足りなくて。
そりゃそうだ。僕は子供で君がいなけりゃ虚勢も張れなかった。
ありがとう。つぶやいてもむなしい。
僕はシンプルに生きていたいと言うくせにだらだらと付け加えてさ。使いすぎた言葉は曖昧に変わって伝わらない。伝わらない。君の言う一言で、僕の世界がぶっ壊された気になってそして抗えなくて。うだうだと垂れ流す度に想いはどこか遠のいて。ストレートな言葉から逃げて君を困らせた。そればっかり。嫌な奴なのに。君は側にいてくれたのに。
疲れて帰ると魚を焼いてて、骨を取るのが面倒くさくて喧嘩になった。バカみたい。
君の服に染み付いていた匂い。君がいるといつも。気がつかない程に毎回。何の匂い?。聞いたら君は笑ってさ。匂いじゃなくて香りって言いなさい。笑ってさ。
この匂い。君がいつか僕に運んできた匂い。それだけはわかるのに。
部屋に帰ると寂しくてレバーを炒めてみた。やっぱり食べられなかった。僕は多分ずっと食べられない。
四の五の言わずに逞しく。生活に見た春。二人歩いた町にまた春が来て、空に浮かぶあの雲に性懲りもなく名前をつけて。サボテンの影にそっと写真を置いて、ぬいぐるみを投げつけた。わからない。僕はわからない。
心に流れるメロディーをそのまま口ずさみ、君は鼻歌でさりげなく。僕は続きが気になって。猫の喧嘩みたくなった。君の声が好きでさ。響きを聴いていると幸せがそこにあった。なんてことはない幸せがそこにあった。
この匂いなんだろう。春になると繰り返すのかな。いつか思い出すかな。思い出したら何か変わるかな。変わるのは怖いな。
君のいない僕の時間に春の風は何を運ぶだろう。君の口ずさんでいたメロディー。へんてこな歌詞をつけて笑った。
僕を必要としないメロディーそこにあってむなしい。いくつもの景色重ね合わせていた。君は船に乗ってさ。消えてなくなった。
妥協することが成長と言われ僕は吸い込まれて抜け出せない。目線を変えて死に体になって生きて息づくこともなく僕はさしあたり毎日を生きている。明日が来ることにがっかりしてみた。抜け出せない現状に不思議と妥協を見つけてきてはその気になって苦笑いさ。
慣れてしまえばこの匂いみたく、いつしか気がつかなくなって忘れちまうんだろ。そっと吹く風が新しい時間を運んで、空に雲が流れて消えて。歌っては消えたメロディー。へんてこな歌詞をつけてこれが僕達なんだと誇らしげに笑った日々も、一緒になって消えてしまうのだろう。消えてしまうのだろう。