“コスメティックもろざし”楽しい学校〈七十〉 | からだに恥をかく体操〜えんぴつみがき〜

“コスメティックもろざし”楽しい学校〈七十〉

一向に画面は変わらない。時計の針の音が聞こえる。
3人はなにも口に出さない。ピリピリした静寂を携帯電話の着信音が崩す。
ピロロロロ、ピロロロロ。
こんなときに知子は、
「着メロ、標準のにしといてよかったわ。ナイス私」
と、思った。こんな時になにを…いや、こんな時だからこそ心がバランスを求めるのだ。
携帯電話を開く。非通知着信。
「はい」
「あっ、もしもし?加府知子さんですか?」
「そうですけど…どちらですか?」
「加府さん。こちらは警察です。落ち着いて聞いてください。ついさっき加府信蔵さんがテレビの生放送中に何者かによって拉致されました」
「私もテレビを観てました」
知子は落ちついている。頭の中が重く渇いている。神経が研ぎ澄まされている状態に近い。
「つきましてはあなたを保護並びに捜査に協力してほしいのですが…今どちらにいらっしゃいますか?」
「友達の家です」
「そうですか。ではとりあえず自宅に帰ってきてください。時間はどのくらいかかりますか?」
「1時間ぐらいです」
「わかりました。私共はすでにお宅の前にいますからなるべく早く来てください」
「はい、わかりました」
相手が電話をきった。
「なんか家に帰ってこいって…警察が」
「警察か…」
ミチコが言う。
「知子大丈夫?私達も行くよ」
と、B子。
「…そうね。そうしてもらうと助かるわ……」
知子は笑顔をつくったが、当然顔色は悪い。
「じゃあ行こう」
ミチコはカバンを手にとって部屋を出てった。ミチコの両親は実家に帰省していて不在だ。だからこそミチコんちでバカ騒ぎしようということになったのだ。しかし今バカ騒ぎどころではない騒ぎが始まった。
酒はひとりビール缶一本ほど、酒の力というよりも場の雰囲気とテンションの力で酔っていた。足取りたしかに駅へ。タクシーより電車のほうが確実だ。
駅のホームでB子が、
「今、私達が襲われる可能性もあるんじゃない?」
と、言った。
「今は知子んちに行く!それだけ!」
ミチコが強く言った。
電車は滞りなく知子んちの最寄り駅へ。3人は東口の商店街を駆け抜ける。
この道にはかつて3人が通っていた学校がある。
ちょうど学校の正門前にさしかかった時、3人の前にがたいのいい色黒の男が立ちふさがった。
B子が言った、
「今私達が襲われる可能性もあるんじゃない?」
という言葉が3人の脳裏をよぎる。とっさに3人は身構える。
「知子さんですか?さきほど電話をしたものです」
その男は言った。
「あぁ、警察の方ですか」
3人はほっと息をついた。
「そちらのふたりは?」
「友達です。ついてきてもらいました。まずかったですか?」
「……いえ、とんでもない。ではこちらへどうぞ。こちらの学校に関係者のみなさんに集まってもらいましたので」
と、言ってスタスタと校内に入っていった。
3人も続き、久しぶりの校内へ。
「……知子?」
校内へ入っていく知子達を遠くから見ていた人物があった。