“コスメティックもろざし”(二十二)
ドン
しっかり腰を落とした熊若丸は芽賀を両手で押し出した。
体勢の崩れている芽賀は為す術もなく土俵を割る。
「ぬぅ」
根来と芽賀、同時に憤怒の声を漏らす。
熊若丸は手を止めた。
「勝った」という思いと自分の新しい相撲の完成に打ち震えていた。
だがしかし、勝負はまだ終わっていなかったのだ。
芽賀は動きの止まった熊若丸の両まわし、着けているのはジャージであるが、を取ると一気に頭上へ持ち上げる。持ち上げるというよりもふわっと投げられたように感じた。それと同時に2、3歩前へ走り、おもいきり熊若丸を土俵に叩きつけた。
ゴゴン
熊若丸は背中を、次に後頭部を土俵に打ちつけた。
パワーボムだ。
熊若丸は決して受け身が取れないわけではない。しかし油断していたところに突然仕掛けられ、しかも相撲では受けたことのない技に受け身のタイミングを合わせることが出来なかった。
ましてや衝撃を吸収するマットの上ではなく固い土、コンクリートのように固い場所に、芽賀の象の鼻よりも太い両腕から繰り出される力によって、である。
それでも熊若丸は手足をジタバタさせている。しかしその手足に力は無く、明らかに焦点の合っていない目は空を漠然と見つめている。
「おいおい、言わなかったか?俺は力士じゃないんだぜ、ただの根来さんのSPさ。いったいいつ勝負が決まったんだよ?」
芽賀は喋りながら熊若丸をまたぎ、顔を覗き込む。
「へっ、飛んじまったかい?…でもまだ終わりじゃないよな」
芽賀は両腕で熊若丸の首をつかみ、またしても一気に頭上へと持ち上げる。
「ほら、逃げないと死んじまうぜ」
熊若丸は漁師の肩からぶら下げられたタコみたいに、
ぶらぁん
としている。
「…………ふん、あっけないもんだな」
芽賀は両腕に力を込めた。
メリメリ
熊若丸の首の骨が軋む。
そして、
バキッ
竹を割ったような音が静かな稽古場に響いた。
続
しっかり腰を落とした熊若丸は芽賀を両手で押し出した。
体勢の崩れている芽賀は為す術もなく土俵を割る。
「ぬぅ」
根来と芽賀、同時に憤怒の声を漏らす。
熊若丸は手を止めた。
「勝った」という思いと自分の新しい相撲の完成に打ち震えていた。
だがしかし、勝負はまだ終わっていなかったのだ。
芽賀は動きの止まった熊若丸の両まわし、着けているのはジャージであるが、を取ると一気に頭上へ持ち上げる。持ち上げるというよりもふわっと投げられたように感じた。それと同時に2、3歩前へ走り、おもいきり熊若丸を土俵に叩きつけた。
ゴゴン
熊若丸は背中を、次に後頭部を土俵に打ちつけた。
パワーボムだ。
熊若丸は決して受け身が取れないわけではない。しかし油断していたところに突然仕掛けられ、しかも相撲では受けたことのない技に受け身のタイミングを合わせることが出来なかった。
ましてや衝撃を吸収するマットの上ではなく固い土、コンクリートのように固い場所に、芽賀の象の鼻よりも太い両腕から繰り出される力によって、である。
それでも熊若丸は手足をジタバタさせている。しかしその手足に力は無く、明らかに焦点の合っていない目は空を漠然と見つめている。
「おいおい、言わなかったか?俺は力士じゃないんだぜ、ただの根来さんのSPさ。いったいいつ勝負が決まったんだよ?」
芽賀は喋りながら熊若丸をまたぎ、顔を覗き込む。
「へっ、飛んじまったかい?…でもまだ終わりじゃないよな」
芽賀は両腕で熊若丸の首をつかみ、またしても一気に頭上へと持ち上げる。
「ほら、逃げないと死んじまうぜ」
熊若丸は漁師の肩からぶら下げられたタコみたいに、
ぶらぁん
としている。
「…………ふん、あっけないもんだな」
芽賀は両腕に力を込めた。
メリメリ
熊若丸の首の骨が軋む。
そして、
バキッ
竹を割ったような音が静かな稽古場に響いた。
続