“コスメティックもろざし”(二十一)
不意をつかれた芽賀は熊若丸の突っ張りに対応出来ずもらい続けている。
熊若丸は自分の足が二度と事故以前の力強い足に戻ることはないと、医者の説明や歩くことすらままならぬリハビリの日々から悟った。足にかかる負担を減らすため体重も落とさなければならない。これらは相手を力でねじ伏せる熊若丸にとって“相撲”を失ったに等しい。
相当のショックを受けたはずだが、熊若丸はリハビリ中スーパーポジティブシンキングの波を泳いでいた。
上半身は無事だ。ならば上半身を鍛えて勝ってやる。
熊若丸は突っ張りに活路を見いだした。
そうと決めたらあとは行動するのみ。熊若丸は毎日突っ張りの稽古をした。
手に10キロ(熊若丸にとっては常人の1キロぐらいの重たさ)のダンベルをくくりつけて空中を張る。それを延々と繰り返す。リハビリが進み、なんとか足を使えるようになると、医者からは反対されたが、足を使いシャドーボクシングのように動いた。全身を使った動きのほうが時間を効率よく使える気がしたからだ。そのほか腹筋や背中のトレーニングもでたらめにやり続けた。連日床いっぱいに汗だらけである。
そして日々が過ぎ、相撲を再開する時がきた。
熊若丸は見事50キロの減量に成功しヘビー級ボクサーのような体になっていた。
ただし、腹まわりはその倍はある。多少皮下脂肪もあるが腹筋がぶ厚いのだ。
この日々の成果が今日結実した。
熊若丸の突っ張りは激しさを増し、芽賀の顔、顎、肩、胸に襲いかかる。
バコバコバコバコバコバコバコバコバコバコバコバコバコバコバコ
この男はこと相撲になると手加減というものを知らない。常人ならば何度死んだかわからない。
完全に体が浮いてしまった芽賀は、それでもなんとか体重を熊若丸のほうへかけるのだが、徐々に後ろに下がってゆく。
芽賀の相撲勘の悪さをけなすべきか、それとも突っ張り、張り手の嵐を浴び続けても倒れないスーパータフを褒めるべきか。
ついに芽賀の足が俵に触れる。
「勝った」
勝利を確信した熊若丸はとどめの一撃を放った。
続
熊若丸は自分の足が二度と事故以前の力強い足に戻ることはないと、医者の説明や歩くことすらままならぬリハビリの日々から悟った。足にかかる負担を減らすため体重も落とさなければならない。これらは相手を力でねじ伏せる熊若丸にとって“相撲”を失ったに等しい。
相当のショックを受けたはずだが、熊若丸はリハビリ中スーパーポジティブシンキングの波を泳いでいた。
上半身は無事だ。ならば上半身を鍛えて勝ってやる。
熊若丸は突っ張りに活路を見いだした。
そうと決めたらあとは行動するのみ。熊若丸は毎日突っ張りの稽古をした。
手に10キロ(熊若丸にとっては常人の1キロぐらいの重たさ)のダンベルをくくりつけて空中を張る。それを延々と繰り返す。リハビリが進み、なんとか足を使えるようになると、医者からは反対されたが、足を使いシャドーボクシングのように動いた。全身を使った動きのほうが時間を効率よく使える気がしたからだ。そのほか腹筋や背中のトレーニングもでたらめにやり続けた。連日床いっぱいに汗だらけである。
そして日々が過ぎ、相撲を再開する時がきた。
熊若丸は見事50キロの減量に成功しヘビー級ボクサーのような体になっていた。
ただし、腹まわりはその倍はある。多少皮下脂肪もあるが腹筋がぶ厚いのだ。
この日々の成果が今日結実した。
熊若丸の突っ張りは激しさを増し、芽賀の顔、顎、肩、胸に襲いかかる。
バコバコバコバコバコバコバコバコバコバコバコバコバコバコバコ
この男はこと相撲になると手加減というものを知らない。常人ならば何度死んだかわからない。
完全に体が浮いてしまった芽賀は、それでもなんとか体重を熊若丸のほうへかけるのだが、徐々に後ろに下がってゆく。
芽賀の相撲勘の悪さをけなすべきか、それとも突っ張り、張り手の嵐を浴び続けても倒れないスーパータフを褒めるべきか。
ついに芽賀の足が俵に触れる。
「勝った」
勝利を確信した熊若丸はとどめの一撃を放った。
続