“コスメティックもろざし”力士対空手(十三)
ごっ
熊若丸の拳は当たった。しかしそれはぬらりひょんの頭ではなく、脚に。しかもぬらりひょんの脚ではなく別の誰かの脚に当たり熊若丸が放った地鳴りのするような拳を空中で受け止めたのだ。
その脚は続けざまに槍のような蹴りを熊若丸のわき腹へ突き刺した。それと同時に、
ぼくっ
という鈍い音がした。
熊若丸は怒髪天を衝くという表情で脚の持ち主をにらみつける。
そこには黒いスーツを着て短い髪を赤色に染めた色黒の、見るからに精悍でスーツ越しにもよく鍛えられていることが伝わってくる引き締まった身体をもった、男がいた。
「最初からいたのに、気がつかなかったのかい?とんでもなく鈍い男だねぇ。彼は加藤といって私のSPだよ。一昨年空手の世界大会で優勝してねぁ、たいして大きくもない体でロシアやブラジルの190センチ、100キロを超える怪物達をばったばったとなぎ倒してねぇ、爽快だったねぇ、まったく、はははっ」
ぬらりひょんは身振り手振りを交え嬉しそうに話した。
熊若丸はぬらりひょんを無視して、その加藤と呼ばれた空手の世界チャンピオンをにらみ続けている。
「そのあとすぐひょんなことから私のSPになってくれてねぇ、一生懸命働いてくれているのだよ。ほら、現に今も私を突然暴力をふるってきた怪物のような悪漢から護ってくれた、はははっ、よく働いてくれるねぇ、まったく、ねぇ」
熊若丸は加藤から目を離さない。いや加藤の体全体から陽炎のように放たれる殺気から目を背けることなど出来なかった。
「ところで加藤君、私はまだこの怪物に襲われている最中だよ。今にも殺されてしまいそうだ、ねぇ」
笑っていたぬらりひょんの言葉が低く、落ち着いたものに変わった。
「さぁ、どうかしましたか?早く護りなさい、私を護るためにその悪漢を無力化しなければならないのならば殺したっていいんだよ」
ぬらりひょんが喋り終わるのと同時に熊若丸と加藤との間にあった“気の渦”を切り裂く、居合い斬りのような加藤の蹴りが熊若丸の顔面にむかって放たれた。
続
熊若丸の拳は当たった。しかしそれはぬらりひょんの頭ではなく、脚に。しかもぬらりひょんの脚ではなく別の誰かの脚に当たり熊若丸が放った地鳴りのするような拳を空中で受け止めたのだ。
その脚は続けざまに槍のような蹴りを熊若丸のわき腹へ突き刺した。それと同時に、
ぼくっ
という鈍い音がした。
熊若丸は怒髪天を衝くという表情で脚の持ち主をにらみつける。
そこには黒いスーツを着て短い髪を赤色に染めた色黒の、見るからに精悍でスーツ越しにもよく鍛えられていることが伝わってくる引き締まった身体をもった、男がいた。
「最初からいたのに、気がつかなかったのかい?とんでもなく鈍い男だねぇ。彼は加藤といって私のSPだよ。一昨年空手の世界大会で優勝してねぁ、たいして大きくもない体でロシアやブラジルの190センチ、100キロを超える怪物達をばったばったとなぎ倒してねぇ、爽快だったねぇ、まったく、はははっ」
ぬらりひょんは身振り手振りを交え嬉しそうに話した。
熊若丸はぬらりひょんを無視して、その加藤と呼ばれた空手の世界チャンピオンをにらみ続けている。
「そのあとすぐひょんなことから私のSPになってくれてねぇ、一生懸命働いてくれているのだよ。ほら、現に今も私を突然暴力をふるってきた怪物のような悪漢から護ってくれた、はははっ、よく働いてくれるねぇ、まったく、ねぇ」
熊若丸は加藤から目を離さない。いや加藤の体全体から陽炎のように放たれる殺気から目を背けることなど出来なかった。
「ところで加藤君、私はまだこの怪物に襲われている最中だよ。今にも殺されてしまいそうだ、ねぇ」
笑っていたぬらりひょんの言葉が低く、落ち着いたものに変わった。
「さぁ、どうかしましたか?早く護りなさい、私を護るためにその悪漢を無力化しなければならないのならば殺したっていいんだよ」
ぬらりひょんが喋り終わるのと同時に熊若丸と加藤との間にあった“気の渦”を切り裂く、居合い斬りのような加藤の蹴りが熊若丸の顔面にむかって放たれた。
続