“コスメティックもろざし”前夜祭(4)
知子は産まれてから18年目、初めて自暴自棄に陥いることになる。
思えば朝からツイてなかったのだ。目覚まし時計は時を告げること無く静寂を守った。いつもより力を入れてペダルを踏みしめた瞬間、通りを吹き抜けるビル風が知子のスカートをめくりあげた。「眼福、眼福」後ろから聞こえた声に恥ずかしさと怒りがこみ上げた。
「…………当たり前じゃない、今日のパンツは特別なんだから。うん?そういえばそんな歌があったような……」乙女の心と山の天気は変わりやすい。
「山口桃恵だぁ」
今まさに閉じられようとしている校門に向かって“ 立ち漕ぎ”に切り替えた時、知子はやっとその歌を歌っている歌手の名を思い出した。思い出すと同時に速度を得る気合いを入れる必要があった為つい声に出してしまった。というよりも叫び声に近かった。
突然の叫び声、しかも人名、に驚いたのか、門番は校門を閉める手を止めた。
人1人分の隙間を獲物に狙いを定めた鷹のような猛スピードで通過する事に成功した知子は前ブレーキをかけつつ左手を離し、小さくガッツポーズをした。
「おい、カブトムシ、止まれ」
知子は後ろを振り向いた。まだガッツポーズは原型を留めている。声の主を視界にとらえたとき、知子は思った。
「あぁ、今日はツイてない…」
続
思えば朝からツイてなかったのだ。目覚まし時計は時を告げること無く静寂を守った。いつもより力を入れてペダルを踏みしめた瞬間、通りを吹き抜けるビル風が知子のスカートをめくりあげた。「眼福、眼福」後ろから聞こえた声に恥ずかしさと怒りがこみ上げた。
「…………当たり前じゃない、今日のパンツは特別なんだから。うん?そういえばそんな歌があったような……」乙女の心と山の天気は変わりやすい。
「山口桃恵だぁ」
今まさに閉じられようとしている校門に向かって“ 立ち漕ぎ”に切り替えた時、知子はやっとその歌を歌っている歌手の名を思い出した。思い出すと同時に速度を得る気合いを入れる必要があった為つい声に出してしまった。というよりも叫び声に近かった。
突然の叫び声、しかも人名、に驚いたのか、門番は校門を閉める手を止めた。
人1人分の隙間を獲物に狙いを定めた鷹のような猛スピードで通過する事に成功した知子は前ブレーキをかけつつ左手を離し、小さくガッツポーズをした。
「おい、カブトムシ、止まれ」
知子は後ろを振り向いた。まだガッツポーズは原型を留めている。声の主を視界にとらえたとき、知子は思った。
「あぁ、今日はツイてない…」
続