サビトマトさんヤマカガシ君
ブログネタ:真似したい告白シーンある ? 参加中「つ、つき合って下さい」
サビトマトさんはヤマカガシ君を校舎裏、人気の無い用務員室の前に呼び出し、煙出るまで焼け焦げた恋心を告白した。顔を下に向けもじもじ。何も持ってはいないのに両手をヤマカガシ君に差し出して、その姿はビート板を持って泳ぐ子供のようだ。
「…サビトマトさんさぁ、俺のこと知ってるよね?」
「え?」顔を上げたサビトマトさん。上下左右、揺れ動く黒目。泣きそう。
「こんなことするぐらいなら、多少は俺に探りを入れた、よね?」
「…うん」思い当たる事がある。ヤマカガシ君には好きな人がいると聞いた。
「じゃあさ、知ってるかな?俺には、今、好きな人がいる。しかも、やっとこさ念願叶ってつき合い始めたばかりさ」
「…ごめんね。迷惑だったよね。あはは。馬鹿みたい。いやいや、とんでもない。ごめんね。ごめん。あはは」ぐぐもった声で、しゃくり上がらぬよう、最大限明るく言うと、サビトマトさんは独楽みたくくるりと反転。走り出した。手を股の辺りで振ってさ。制服からはみ出た薄茶色のカーディガンの裾持ってさ。
「ちょっと待って!」ヤマカガシ君の呼びかけにぴたりと止まるサビトマトさん。
「俺がつき合い始めたのは、あの、その」
私って惨めだわ。その時、ガラリと開かれた用務員室の扉。出てきたのはエロジジイこと高橋(57)。
「ああ、なんだ、聞くぅつもりはなかったんだがな」らくだにぼけたジャージの高橋。
「サビトマトちゃんっつったか。俺ぁこのヤマカガシとは仲良くさせてもらっててよ。昨日なんか一緒にラーメン食ったりしてな。こいつぁ回りくどい奴でよ。まったく。いけねえや。サビトマトちゃん。口ぃ出すのもなんだが、こいつの話を思い返してごらん。つき合い始めたばかりって言ったろ?昨日は彼女いないって言ってたぜ。要するに“今”つき合い始めたってことさ。告白成功したんだよ。な?」にんまりした笑顔で高橋はヤマカガシ君に問いかけた。
「え?え?」混乱状態のサビトマトさん。
「さあ、男ならバシッと一つ決めねえか」
「…俺は…君のことが好きだ!」
ヤマカガシ君に見つめられぽっと頬を赤く染める高橋。
夕暮れ。下校する生徒達のざわめき。サビトマトさんは教室に戻る途中、職員室のドアに貼られた「生徒立入禁止」の文字を見つけ殴りつけた。温厚な女教師がそれを見つけ「どうした?」
「どうもこうもねえよ」
心の中で叫んだサビトマトさんであった。