ボツ台本メシ喰うな! | からだに恥をかく体操〜えんぴつみがき〜

ボツ台本メシ喰うな!

「INU。出来は最低。いつものことか」



『起こったことをありのままに話すぜ』
「なにがあった!?」
『まあその前に小話を一つ』
「あっそう」
小話
『ある夫婦が喧嘩してんだ。夫婦喧嘩は犬も喰わないというけど、ギャル曽根ならばどうだ!?ええ!?どうなんだコノヤロー!そんなことはいいんだ。ま、いつも通りといえば夫婦喧嘩なんていつも通り。だけどこの日は違った。おさまりつかなくなって奥さんが家を出るって言い出すまでになった』
奥さん「私この家を出させて頂きます!」
夫「勝手にしやがれコノヤロー!」
『一升瓶投げたりしてね。奥さんは荷物をまとめると玄関へ。すると』
夫「ばかやろう!家を出てくってもんが正面から出ていくとは何事だ!近所に恥をさらす気か!」
『なればということで奥さん裏口から出ていこうとすると』
夫「ばかやろう!何をコソコソしてやがんだ!泥棒か!出てくなら堂々と出ていきやがれ!」
『こう言うわけです。当然奥さんは』
奥さん「じゃあどうすりゃいいってんだい!」
『なんてことになりまして。そこで夫が一言』
夫「出ていかねぇならここに居ればいいじゃねえか」
終わり
『とまぁ、こんな小話あるでしょ』
「ああ、聞いたことあるな」
『本当かよ』
「まあ、頭は一つだからなおれ達」
『そういうことは言うなよ』
「うん」
『おれこの話好きなんだよ。大好き。大好きだぁ!!!』
「わかったから静まれ。まあ、わかるよ。ロマンチックというかさ。滲み出る優しさというか。武士は食わねど高楊枝というか片頬十年というか」
『うるさいよ』
「ごめん」
『で、おれも試してみたいってなるわいなそりゃ』
「そうか?まあいいけど」
『相手は彼女。結婚してないからね』
「そりゃしょうがないな」
『正確にはバツイチだけど』
「うん」
『お前はバツロクだっけ?』
「結婚したことねえよ!バツロクって、どんだけ恋愛体質なんだおれ!」
『まあお前は生まれつきバツサンぐらいの男だからな』
「うるせえ!意味わかんねえけど!」
『ほら、右耳にピアス開けてさ。左耳にピアス開ける時は結婚する時だ、みたいな』
「なんだそれ!結婚ピアスかよ!ちょっとロマンチックじゃねえか!」
『だせえだけだろ』
「……まあよく考えればそうだな」
『で、当然一軒家じゃない。おれぐらいの若さじゃ一軒家つうと実家になっちゃうからね。普通のイメージだと』
「作り話なの?」
『考えるな。感じるんだアァ~ン』
「うぜ」
『場所はマンションになる。つうかならざるを得なかった』
「まあ、でも、いいか。それもしょうがない」
『彼女のマンションで』
「彼女のマンション!?それは駄目だろ!どうあってもお前が出てけってなるだろ!」
『まあいいんじゃない?そこんところは』
「駄目だろ!」
『駄目だろってお前、おれがあの夫婦のどっちをやりたいかって知ってて言ってるわけ?』
「えっ!?まさかお前奥さん役やりたかったの?それなら辻褄合うけど」
『うーん、いや、夫だろ普通』
「なんだよ!じゃあやっぱ駄目じゃねえか!おれの考えてた通りだよ!」
『まあいいんだよ、そんなことは。おれの目的は喧嘩した後のセックスなんだから』
「ああ、まあ、このシチュエーションをしてみたいってわけで本気の喧嘩じゃないもんな、お前のしようとしてることは。確かに喧嘩したあとのセックスは3割増しだからな」
『おれもヒモだから、ヒモとしてイベントの一つも用意しないとなってさ』
「ヒモだったのかよ」
『ヒモ以外にどうやって生きていけって言うんだよ!』
「知らねえよ!勝手に生きていけ!」
『愛がなきゃ生きていけねえよ』
「なに、あの犬飼ってるワイン好きが言いそうなこと言ってんだよ!しかもお前の言う愛はどっちかっていうと母性愛だろ!」
『ああ、私あんたのママじゃないんだからね!ってやつ?』
「そうだよ!」
『ごめん以後気をつけるよママァン、アハァ~ン』
「かける言葉が見つからねえよ!」
『でも家事全般はおれがやってるからなぁ』
「じゃあただのペットか奴隷だ!」
『優秀なヒモだと言ってもらいたい。衣食住付いてたら年間30万円で飼われてやるよ』
「それでいいのかよお前!」
『いいよ』
「いいのかよ!」
『うん』
「じゃあいいよもう!」
『そんなヒモのおれに飼われてるお前は一体なんなんだろうな』
「飼われてるつもりはない!ふざけんな!」
『昨日夢を見たんだ。左手の親指の腹に小さな穴が開いててさ。ニキビ潰した後みたいな。そこから蟻とかハリガネムシみたいなのが延々と出てくる。おれ出てくる虫を一匹一匹潰してたらさ。出てきたんだよ、穴から!ミルワームそっくりのワームが!そいつが元凶なんだよ。穴掘ってんだ。悪戦苦闘の末親指から引っ張り出して、もう大丈夫って左の親指を見ると穴が3つになっててよぉ、蟻がよぉ、蟻の次はミルワームだよ、こっちを見てやがんだ、せせら笑いやがってよぉ、引っ張り出したら引っ張り出される勢いを利用して右の親指に入ってきやがってよぉ、どうすりゃいいんだよぉ、ユング先生!フロイト先生!僕は性的欲求が満たされてないのですか!?王様の耳は食パンですか!?父親と仲が悪いからですか!?葬式には出たくも出てほしくもないからですか!?どうなんですか!?この世はギャグボールの穴みたいなもんですか!?どうなんですか!?そこんところどうなんですか!?』
「あーもうなんなんだよ。こんなことしてるから携帯で打つの面倒くさいってなるんだろ」
『どうなるんだよぉ、一体全体なんだってんだよぉ、眼鏡フレーム曲がるしよぉ』
「うるせえ!早く本題に移れって言ってんだよ!」
『ま、それで喧嘩をするわけだけど、喧嘩をする理由がないんだよな。こんなこと言うのもなんだけど、ほら、おれって所謂O型気質だからさ、いつもは何があっても怒らないしさ。何かあっても“へへへ、すいやせんでげす”なんつってな』
「げすってなんだよげすって!奴隷根性が染み着いてるだけだろ!」
『“へえ、わたしゃしがねぇ馬喰で”』
「もういいんだよ!それに奴隷ってわけじゃねえよ馬喰は」
『喧嘩の種を探すんだけどさ。見つからないんだよな。えへへ』
「うぜえ!」
『しょうがないから彼女が帰ってくるまでオナニーでもしようかな、なんて思ってティッシュを探すと、見つからない』
「なんでこれからセックスをしようとしてる人間がオナニーすんだよ」
『なんか興奮しちゃって』
「中学生か!」
『“あたしゃ山羊のあれしかしらないんでげすよ”』
「やめろって言ってんだよそれ!」
『“その山羊は殿様に献上する…”』
「ぶん殴るぞ!」
『“うまい!よく締まった肉だ”“へえ、よくご存知で”』
「…………死ね!」
『まあいいやもう。でさ。ティッシュが見つからない時ってイライラするでしょ?』
「するな、確かに」
『ない、ない、ない!あーもう!あ、これを喧嘩の種に』
「そうだな」
『帰って来たと同時に、てめえこのやろう!ティッシュはどこだティッシュは!おれはいつもここに置いてるだろうが!いつもだよ!いつもてめえが使った後はどっかにいきやがる!あばずれのくせしてティッシュの管理を怠るとは何事だ!拭かねえのかこの汚れが!って言ってやったんだよ!』
「ひどすぎるだろたかがティッシュで」
『ほら、おれAよりのOだから。割と細かいところも持ち合わせてる』
「なんだそれ!AよりのOってなんだよ!AOだったらA型になるって中学生の時習わなかったか!」
『詳しくはバーナム効果でググれ!』
「わかってんならいいんだ」
『そしたらもう思惑通り喧々囂々の喧嘩だよ』
「そうだろうな」
『ティッシュが無ければ買ってくればいいでしょ!って言われてさ』
「ほう」
『金がねえんだよ!って言い返して』
「弱いわぁ、立場」
『千円やるから買ってこい!って言われて、“へへぇ”』
「また出た!お前の最初の目的を思い出せ!」
『金貰ってティッシュ買いに行こうとすると』
「買いに行っちゃうのかよ」
『ベランダから飛び降りた方が早いだろ!って言われてさ。確かにベランダ側に薬局あるからさ』
「無茶苦茶だな。何階の話だよ」
『三階』
「うわっまた微妙というか、命がかかってるなら迷わず飛ぶぐらいの高さだな」
『迷わず飛んだね』
「命がけかよ!」
『で、買って帰って、まあもちろんエレベーターで帰ったんだけど、帰ったら彼女がティッシュ使ってんだよ』
「見つかったのか」
『テレビの上に置いてあったんだって』
「まあ灯台下暗しと言うし、実際そんなもんだよな」
『ここにあるなら出ていかなくてよかったじゃねえか』
「ああーつまんなかった」



終わり