読んだら損する「運命はテイクアウト」(33)
○○。
○○。(自主規制)
携帯電話で話している。相手はおそらく親。母親。ということは近くに親はいない?
透き通った闇色の薄手のケープを纏いだした空。おあつらえ向きの道。住宅地の裏手。死角。どこからかカレーの匂いはすれども周りには誰もいない。近くにマンションなどの高層物件も見当たらない。多分に希望的観測が含まれるものの、ここだ。ここしかない。千載一遇のシャン・リン・シャン、もといチャンス。
そしてそして、なんともはや、少し先に公園。あの公園とは違う公園だが、もはや運命か。まあ公園の数が多い区なのだが。
僕は標的を抜き去り、公園の下見。薄衣から漏れる陽光と月光と電灯が調和している光の下に二股のすべり台がある以外はトイレしかない公園。誰もいない。神様なんかいやしないんだろう。
自転車を停め、標的を待つ。標的は僕のことなど気付く様子もなく携帯電話での会話に集中、「めんどくさいなぁ」、といった様子で照れ隠し。楽しそう。
標的が公園の入口に付近に差しかかると同時にダッシュ。後ろから標的の口を塞ぐと一気に公園のトイレに連れ込んだ。そして有無を言わさず首に腕を巻きつける。標的の体は数瞬でだらりと力が抜けた。ここで僕は初めて標的の体重を感じた。よいしょっと。宙ぶらりんにする。携帯電話が標的の手からカチンと音を立てて不浄の床に落ちた。携帯電話から声がする。ガーガーザーザー。振動板の雑音。それ程静かだった。離さない。更に力を加える。ポクッ、この音は電波に乗ったろうか。
時間はない。腕を解き標的が息をしていないことを確認すると、僕は何食わぬ顔をして、何気なく自転車に乗り、何とはなしに家路に着く。前みたいに慌てることもなくゆっくり国道に戻った。
轟々と音を立てて僕の僅か数メートル横を突き進む大型トラック。これに巻き込まれれば死ぬ。中央線の遅延、責任を押し付けられて、自殺サイト、混ぜるな危険、夏の暑さ、冬の風呂場、スーサイドボム、正月の餅、塩分の濃いラーメン、狂信者のサティスファクション、通過儀礼、フェイク、露骨な肋骨、ブラックマンバのスピード、アナコンダに呑まれた小さい人、コモドドラゴンの神話、ビタミン不足、棚から落ちてくる大辞林、タバコの不始末、踏み外した足、崖の上の警告、棚から落ちてくるナポレオン、ほっとかれた急性アルコール中毒者、化膿した唇、ひょんなことで死んだ主人公、腹を殴られて、地蔵の頭で、棚の上から落ちてくるバンバン・ビガロ、疲れた表情で白線の外側に立つ女、大した用事もないくせに、肩を掴まれ失敗、新たな希望、振り向けばブサイク、デブでブサイク、ていうか女もブサイク、何があったんだ、これから何が起こるんだ、まあいいや、轟々と横を突っ走って行く大型トラック、僕は一向に気にならない、静かで、とても静かで、ただ静かで、イッてしまいそうだ。途中、赤色灯を点滅させながら走る車だけがリアルだった。
家に帰り飯。僕が働いてる時は僕の好物が出やすい。というか赤飯でも炊くんじゃないかという勢い。カキフライを食べながらも何食わぬ顔している僕。カキフライを食べながらも何食わぬ顔している僕。…………カキフライを食べながらも何食わぬ顔している僕………。カキフライをってしつこいよ脳内の虫みたいな妖精!また出た!虫みたいな妖精!はぁーあ。
シャワーを浴びたら時刻は9時手前。テレビは番組の合間のニュースタイム。
「本日午後7時、東京A区の公園で○○の死体が発見される。警察は殺人事件として捜査を進める方針」
母親は食器洗いに忙しく、兄はパソコンの前でなんかに夢中、父親はパチンコに行った。このニュースに目を、耳を傾ける者はいなかった。僕も大して傾けない。何も感じない。というのは些かに過ぎた。僕にもまだそれなりに心ってものがあるらしい。夜のニュースで被害者のお婆さんが胸下だけ映ってインタビューに応えているのを見て吐いた。それはとても耐え難いもので、僕は二度とこの事件のニュースを観ないと決めた。前回は必死こいてニュースから情報を集めようとしたが、慣れたのだろう。殺人鬼として。
○○。(自主規制)
携帯電話で話している。相手はおそらく親。母親。ということは近くに親はいない?
透き通った闇色の薄手のケープを纏いだした空。おあつらえ向きの道。住宅地の裏手。死角。どこからかカレーの匂いはすれども周りには誰もいない。近くにマンションなどの高層物件も見当たらない。多分に希望的観測が含まれるものの、ここだ。ここしかない。千載一遇のシャン・リン・シャン、もといチャンス。
そしてそして、なんともはや、少し先に公園。あの公園とは違う公園だが、もはや運命か。まあ公園の数が多い区なのだが。
僕は標的を抜き去り、公園の下見。薄衣から漏れる陽光と月光と電灯が調和している光の下に二股のすべり台がある以外はトイレしかない公園。誰もいない。神様なんかいやしないんだろう。
自転車を停め、標的を待つ。標的は僕のことなど気付く様子もなく携帯電話での会話に集中、「めんどくさいなぁ」、といった様子で照れ隠し。楽しそう。
標的が公園の入口に付近に差しかかると同時にダッシュ。後ろから標的の口を塞ぐと一気に公園のトイレに連れ込んだ。そして有無を言わさず首に腕を巻きつける。標的の体は数瞬でだらりと力が抜けた。ここで僕は初めて標的の体重を感じた。よいしょっと。宙ぶらりんにする。携帯電話が標的の手からカチンと音を立てて不浄の床に落ちた。携帯電話から声がする。ガーガーザーザー。振動板の雑音。それ程静かだった。離さない。更に力を加える。ポクッ、この音は電波に乗ったろうか。
時間はない。腕を解き標的が息をしていないことを確認すると、僕は何食わぬ顔をして、何気なく自転車に乗り、何とはなしに家路に着く。前みたいに慌てることもなくゆっくり国道に戻った。
轟々と音を立てて僕の僅か数メートル横を突き進む大型トラック。これに巻き込まれれば死ぬ。中央線の遅延、責任を押し付けられて、自殺サイト、混ぜるな危険、夏の暑さ、冬の風呂場、スーサイドボム、正月の餅、塩分の濃いラーメン、狂信者のサティスファクション、通過儀礼、フェイク、露骨な肋骨、ブラックマンバのスピード、アナコンダに呑まれた小さい人、コモドドラゴンの神話、ビタミン不足、棚から落ちてくる大辞林、タバコの不始末、踏み外した足、崖の上の警告、棚から落ちてくるナポレオン、ほっとかれた急性アルコール中毒者、化膿した唇、ひょんなことで死んだ主人公、腹を殴られて、地蔵の頭で、棚の上から落ちてくるバンバン・ビガロ、疲れた表情で白線の外側に立つ女、大した用事もないくせに、肩を掴まれ失敗、新たな希望、振り向けばブサイク、デブでブサイク、ていうか女もブサイク、何があったんだ、これから何が起こるんだ、まあいいや、轟々と横を突っ走って行く大型トラック、僕は一向に気にならない、静かで、とても静かで、ただ静かで、イッてしまいそうだ。途中、赤色灯を点滅させながら走る車だけがリアルだった。
家に帰り飯。僕が働いてる時は僕の好物が出やすい。というか赤飯でも炊くんじゃないかという勢い。カキフライを食べながらも何食わぬ顔している僕。カキフライを食べながらも何食わぬ顔している僕。…………カキフライを食べながらも何食わぬ顔している僕………。カキフライをってしつこいよ脳内の虫みたいな妖精!また出た!虫みたいな妖精!はぁーあ。
シャワーを浴びたら時刻は9時手前。テレビは番組の合間のニュースタイム。
「本日午後7時、東京A区の公園で○○の死体が発見される。警察は殺人事件として捜査を進める方針」
母親は食器洗いに忙しく、兄はパソコンの前でなんかに夢中、父親はパチンコに行った。このニュースに目を、耳を傾ける者はいなかった。僕も大して傾けない。何も感じない。というのは些かに過ぎた。僕にもまだそれなりに心ってものがあるらしい。夜のニュースで被害者のお婆さんが胸下だけ映ってインタビューに応えているのを見て吐いた。それはとても耐え難いもので、僕は二度とこの事件のニュースを観ないと決めた。前回は必死こいてニュースから情報を集めようとしたが、慣れたのだろう。殺人鬼として。