読んだら損する「運命はテイクアウト」(28)
テレビはニュースを垂れ流している。毎日毎日、飽きもせずにまあ、殺人は起こっている。日常。朝食時の日常。文字通り日常茶飯事。だったのだが、もはや僕にとって途方もなく現実味のあるものになった。捕まえただの否認しているだのの女子アナの言葉が一々胸に刺さりやがる。ちくしょう。避妊を否認して日に日に貧乳をヒニヒニしやがってよぉ(?)。ちくしょう。こっちは殺人事件が現実なんだぞ。ちくしょう。
殺人事件の後は芸能ゴシップ。無性にイライラしてどうしようもないので一旦チャンネルをテレ東に合わせた後消した。やっぱり困った時はテレ東に限る。観てないんだけど。
静かな家の中で、寝ている間に、正確にはたまに目が覚めた僅かな時間と夢を見ていた時、考えていたことを思い出す。誰もいない。誰も見ていない。僕は思いっきりニヤリとした。こういう顔をしたかった。ずっとしたかった。僕の生涯で誰にも見せたことはないであろう生涯最高のニヤリ顔。ふふん。ふふふん。唯一彼女は見た、いや、感じたかもしれない。ふふふん。
いやいやながらもシャワーを浴びて仕事に行く準備。シャワーを浴びてもまだまだ時間はあるので部屋に戻りゲームをする。やりなれたゲーム。たまらなく退屈に感じる。それでも時間を潰すにはなかなかのもので、ぞろぞろと家族は起き出し、8時。午前中に来い、とのことだったので、チャリンコに乗った。ポストに入れるだけ、と言っていたので帽子をかぶった以外はいつもの格好。家と会社はほぼ一直線。途中コンビニに寄りカフェオレを一気飲み。このコンビニの角を曲がればあの公園へ行ける。会社への道中何ヶ所もコンビニはあるが僕はわざわざこのコンビニを選んだ。小山さんが言っていた彼女が最後に寄ったコンビニがここだからだ。駅とは反対の方向だから、きっとなんかお菓子でも買いに行ったのだろう。なにかの支払い、は、違うな。そんな雰囲気は要らない。やっぱりお菓子だ。うん、お菓子に決まり。
空になった紙パックをゴミ箱にぶち込み、チャリンコにまたがる。さて、行くか。後方確認、そして前を見上げた。すると、目の前に見覚えのある軽自動車が左折、すなわちあの公園方向、彼女の家方面へと進んで行った。運転席の主はちらりとしか見えなかった。だがしかし、誰があの巨体を見間違えるか。そして遠ざかるナンバープレートが軽自動車を運転している人物を確実にする。
見られたな。
このコンビニに寄るのは些か性急に過ぎたか。いやしかし、道の途中のコンビニだ。寄ることもあるだろう。いやいや、昨日の今日でこのコンビニに寄るとは些か趣味が悪い人間だ。いやいやいや、考え過ぎだ。何食わぬ顔してればいいのだ。そうだ。昨日みたく何食わぬ顔してりゃいいのだ。何か聞かれても、たまたまです、喉が渇いて、実は少し気になって、等々。やり過ごせる。うん。
昨日のやり取りで果たして僕は小山さんの追跡をかわすことが出来たのだろうか。愚問だ。…たとえ小山さんが僕を疑うことをやめても小山さんの犯人への追跡は終わらない。犯人が捕まる、犯人を捕まえる、その時まで小山さんが止まることはないだろう。昨日言っていた様にあらゆる可能性を探り犯人を探し続ける。そして犯人は誰あろう僕なのだ。
背筋に冷たいものが流れる。背汗か、うなじから小便かけられてるみたい。いや、小便なら温かいはずだってなに考えてんだ僕は。追うものと追われるもの。俺達に明日はない。悲劇、喜劇、茶番劇。昔、物理の授業で習った“仕事量”と意志。小山さんを突き動かす原子の作用。生命の始まりと終わり。ビリヤードみたいに入れ代わる原子。そんなことが次々と頭に浮かんでは消え、半ば現実逃避をしながら僕はひたすらチャリンコを漕いだ。大分ガタがきている愛車は車輪が一回転する度にカランカランと頼りない音を出して僕の僅かなやる気を無くしていった。今日は一日中こいつを漕がなければならない。
殺人事件の後は芸能ゴシップ。無性にイライラしてどうしようもないので一旦チャンネルをテレ東に合わせた後消した。やっぱり困った時はテレ東に限る。観てないんだけど。
静かな家の中で、寝ている間に、正確にはたまに目が覚めた僅かな時間と夢を見ていた時、考えていたことを思い出す。誰もいない。誰も見ていない。僕は思いっきりニヤリとした。こういう顔をしたかった。ずっとしたかった。僕の生涯で誰にも見せたことはないであろう生涯最高のニヤリ顔。ふふん。ふふふん。唯一彼女は見た、いや、感じたかもしれない。ふふふん。
いやいやながらもシャワーを浴びて仕事に行く準備。シャワーを浴びてもまだまだ時間はあるので部屋に戻りゲームをする。やりなれたゲーム。たまらなく退屈に感じる。それでも時間を潰すにはなかなかのもので、ぞろぞろと家族は起き出し、8時。午前中に来い、とのことだったので、チャリンコに乗った。ポストに入れるだけ、と言っていたので帽子をかぶった以外はいつもの格好。家と会社はほぼ一直線。途中コンビニに寄りカフェオレを一気飲み。このコンビニの角を曲がればあの公園へ行ける。会社への道中何ヶ所もコンビニはあるが僕はわざわざこのコンビニを選んだ。小山さんが言っていた彼女が最後に寄ったコンビニがここだからだ。駅とは反対の方向だから、きっとなんかお菓子でも買いに行ったのだろう。なにかの支払い、は、違うな。そんな雰囲気は要らない。やっぱりお菓子だ。うん、お菓子に決まり。
空になった紙パックをゴミ箱にぶち込み、チャリンコにまたがる。さて、行くか。後方確認、そして前を見上げた。すると、目の前に見覚えのある軽自動車が左折、すなわちあの公園方向、彼女の家方面へと進んで行った。運転席の主はちらりとしか見えなかった。だがしかし、誰があの巨体を見間違えるか。そして遠ざかるナンバープレートが軽自動車を運転している人物を確実にする。
見られたな。
このコンビニに寄るのは些か性急に過ぎたか。いやしかし、道の途中のコンビニだ。寄ることもあるだろう。いやいや、昨日の今日でこのコンビニに寄るとは些か趣味が悪い人間だ。いやいやいや、考え過ぎだ。何食わぬ顔してればいいのだ。そうだ。昨日みたく何食わぬ顔してりゃいいのだ。何か聞かれても、たまたまです、喉が渇いて、実は少し気になって、等々。やり過ごせる。うん。
昨日のやり取りで果たして僕は小山さんの追跡をかわすことが出来たのだろうか。愚問だ。…たとえ小山さんが僕を疑うことをやめても小山さんの犯人への追跡は終わらない。犯人が捕まる、犯人を捕まえる、その時まで小山さんが止まることはないだろう。昨日言っていた様にあらゆる可能性を探り犯人を探し続ける。そして犯人は誰あろう僕なのだ。
背筋に冷たいものが流れる。背汗か、うなじから小便かけられてるみたい。いや、小便なら温かいはずだってなに考えてんだ僕は。追うものと追われるもの。俺達に明日はない。悲劇、喜劇、茶番劇。昔、物理の授業で習った“仕事量”と意志。小山さんを突き動かす原子の作用。生命の始まりと終わり。ビリヤードみたいに入れ代わる原子。そんなことが次々と頭に浮かんでは消え、半ば現実逃避をしながら僕はひたすらチャリンコを漕いだ。大分ガタがきている愛車は車輪が一回転する度にカランカランと頼りない音を出して僕の僅かなやる気を無くしていった。今日は一日中こいつを漕がなければならない。