読んだら損する「運命はテイクアウト」(16)
いつもと同じ景観。いつもと同じ速度。うん?少しの違和感。工事現場。ああ、あそこは前何があったんだっけなぁ。ここら辺よくセミ捕りに来てたな。頭がガンガン痛んでも遊んでた。このラーメン屋一度も入ったことないな。有名なんだよな一応。このファミレスで告白したことあったなぁ。成功したけどすぐに別れた。僕は、恋をしている、という形が欲しかっただけでさ。いまいちデートとか何すればいいのかわからなかったし。思えばあの娘はブサイクだったなぁ。マジック使われたよ。童貞男子校生マジック。ありゃあちょっとないよ。16歳の時友達がタバコを吸って店員にとがめられたのもここだ。「何歳ですか?」なんて聞かれて、「18です」って答えた友人。あいつはバカだった。おそらく友人は20歳と言うにも16歳と言うにも忍びなかったのだろう。大人ぶっていたけど全員顔がガキ丸出しだったなぁ。ふふふ、思い出し笑い。僕の時計は学校を辞めた時点で止まっているのかもしれない。
小学校が見えてきた。もうすぐ家だ。
部屋に入るとノートを取り出す。確か一年ぐらい前に日記をつけようとして買ったノート。十日で日記は終わっている。
僕は何も考えずにボールペンを走らせた。
「頭の中で天使が笑う
鬼のよう 鬼のよう
僕は塩の香りで胸一杯
催涙スプレーで目が痛い
焼かれたよう チンキ臭い放つ光線
髪の毛が伸びて首を絞める
大好きなオオトカゲは僕と君の肉を食う
ぐちゃぐちゃにして細菌毒
せめて美味しく召し上がれ
せめて大事に召し上がれ
願いを星に 思いをアル中に
髪の毛だけが残った あまり美味しくないからね
ボウフラのまま 天ぷらにして
薬はいいから 金縛りにして
神の手が世界を変える
ゴキブリと蝸牛の楽園にして
当たり前のように大嫌いにして
ぐちゃぐちゃにして」
「健一、健一」
母親の声。だからさぁ…。ノートを閉じて階段を下りる。飯だ。
ご飯を食べながら、一応、さすまたのことを話したりする。家庭的風景。おばあちゃんはいない。どっか呑みに言ってるらしい。明日姉が帰って来るという。義兄と甥を連れて。
飯が終わると兄と僕とで甥へのプレゼントを買いに行くことになった。プレゼントというか、まだ一歳ちょっとの甥と遊ぶ道具。
とりあえずビール、じゃなくてぬいぐるみ。大中小。握るとマルメタピオカカエルの鳴き声みたいな音がなるグロテスクフェイスのソフビ人形。ミニカーのセット。小さな、といっても誤飲出来ない程度の大きさのフィギュア各種。あと覆面レスラー風のマスク。以上。完全に僕と兄の趣味が反映されたラインナップ。お菓子と飲み物を足して店を出た。
帰りの車中、ここ最近会社の研修で家に居なかった兄に事件への探りを入れる。
「あの、公園の殺人事件あったでしょ?あれ。あの殺された女の人さ、小山さんの後輩だったんだって」
「えっ、本当に?そりゃあ…なんともはや」
驚いた兄。母親からは聞かされてなかったようだ。意外に口堅いな、母親。
「あれってボルゾイ電器の近くだろ?」
「そう」
「たくっ、治安悪いな、相も変わらず」
何を言っていいのかわからない、といった様子の兄。
「明日、小山君も来るんだろ?」
「…多分、来るでしょ。そりゃ」
明日、道助の家でお別れ会的な集まりがあり、近親者が集まることになっている。自殺ということと道助の遺言で葬儀自体は家族だけで行った。しかしまあ、故人を偲ぶことぐらいはさせろ、させなきゃ、と言うことで開催が決まった。姉もその為に帰って来るのだ。一人血が増えた家族と一人血が減った家族、みんな大人だから別に何もややこしいことは起こらないだろうが、少し不安になる。
家に着く直前、兄がぽつりと言った。
「不幸はまとまってくるってのは本当なんだな」
兄が思う不幸の連鎖の中に僕の殺人は入っていない。知ったらどうなるのだろう。バックしている車の中で僕は黙っていた。
小学校が見えてきた。もうすぐ家だ。
部屋に入るとノートを取り出す。確か一年ぐらい前に日記をつけようとして買ったノート。十日で日記は終わっている。
僕は何も考えずにボールペンを走らせた。
「頭の中で天使が笑う
鬼のよう 鬼のよう
僕は塩の香りで胸一杯
催涙スプレーで目が痛い
焼かれたよう チンキ臭い放つ光線
髪の毛が伸びて首を絞める
大好きなオオトカゲは僕と君の肉を食う
ぐちゃぐちゃにして細菌毒
せめて美味しく召し上がれ
せめて大事に召し上がれ
願いを星に 思いをアル中に
髪の毛だけが残った あまり美味しくないからね
ボウフラのまま 天ぷらにして
薬はいいから 金縛りにして
神の手が世界を変える
ゴキブリと蝸牛の楽園にして
当たり前のように大嫌いにして
ぐちゃぐちゃにして」
「健一、健一」
母親の声。だからさぁ…。ノートを閉じて階段を下りる。飯だ。
ご飯を食べながら、一応、さすまたのことを話したりする。家庭的風景。おばあちゃんはいない。どっか呑みに言ってるらしい。明日姉が帰って来るという。義兄と甥を連れて。
飯が終わると兄と僕とで甥へのプレゼントを買いに行くことになった。プレゼントというか、まだ一歳ちょっとの甥と遊ぶ道具。
とりあえずビール、じゃなくてぬいぐるみ。大中小。握るとマルメタピオカカエルの鳴き声みたいな音がなるグロテスクフェイスのソフビ人形。ミニカーのセット。小さな、といっても誤飲出来ない程度の大きさのフィギュア各種。あと覆面レスラー風のマスク。以上。完全に僕と兄の趣味が反映されたラインナップ。お菓子と飲み物を足して店を出た。
帰りの車中、ここ最近会社の研修で家に居なかった兄に事件への探りを入れる。
「あの、公園の殺人事件あったでしょ?あれ。あの殺された女の人さ、小山さんの後輩だったんだって」
「えっ、本当に?そりゃあ…なんともはや」
驚いた兄。母親からは聞かされてなかったようだ。意外に口堅いな、母親。
「あれってボルゾイ電器の近くだろ?」
「そう」
「たくっ、治安悪いな、相も変わらず」
何を言っていいのかわからない、といった様子の兄。
「明日、小山君も来るんだろ?」
「…多分、来るでしょ。そりゃ」
明日、道助の家でお別れ会的な集まりがあり、近親者が集まることになっている。自殺ということと道助の遺言で葬儀自体は家族だけで行った。しかしまあ、故人を偲ぶことぐらいはさせろ、させなきゃ、と言うことで開催が決まった。姉もその為に帰って来るのだ。一人血が増えた家族と一人血が減った家族、みんな大人だから別に何もややこしいことは起こらないだろうが、少し不安になる。
家に着く直前、兄がぽつりと言った。
「不幸はまとまってくるってのは本当なんだな」
兄が思う不幸の連鎖の中に僕の殺人は入っていない。知ったらどうなるのだろう。バックしている車の中で僕は黙っていた。