読んだら損する「運命はテイクアウト」(6)
これで僕は名実ともに立派な殺人犯になった。名実っていっても名の方はないのだけど。とにかく僕は殺人犯だ。もう道助を殺した殺さないと悩む程度のレベルじゃない。すぅーと心に軽やかな風が吹く。すっきり、はした。たけど気持ちは焦りでいっぱいだ。当たり前か…。
人気のない公園の、ドーナツを半分に切ったような山状の滑り台のトンネル部から抜け出ると、それでも目立たないよう細心の注意を払い公園を出る。ちらりと振り返る。全身が糸の切れた操り人形みたいな感じで、思い通りに動かない。完全に動かないのは彼女。の死体?死体。元のまま、彼女はドーナツトンネルの闇の中で倒れている。ここからではかすかに脚が見えるだけだが。駆け出したくなる気持ちを、狂い叫びをあげたくなる気持ちを押し込んで、歩く。歩く。目立つな、と脳内再生、何度も何度もヘヴィローテーション。脳内の壊れたレコード状態に反して全身が耳になっている。またまた反して、自分の足音、鼓動等自分の出している音はあまり聴こえない。小鳥のさえずり、遠くで車が走る音、どこかで誰かが布団を叩いている音、なんだか聴いたことないヒリヒリしている音、なんだこれ、なにこの音、アスファルトに反射している日光の音か?なんなんだよ、とにかく今のところ悲鳴は聴こえない。パトカー?救急車?サイレンも聴こえてこない。誰にも気付かれていない?
三回角を曲がるとようやく少し落ち着いた。
僕は記憶を整理しようと、たった10分前のことを思い出そうとした。
すれ違った彼女、僕がビワを食べるのを見て微小した彼女。天使みたく美人で可愛い彼女。しかもいい匂い。匂いに誘われるがまま僕は尾行を開始した。なんでだろう。彼女が微笑んだから?わからない。ただ言えることは彼女は美しかった。尾行されているとは露知らず彼女はあの公園に入った。おそらくショートカット目的で公園を対角線に進もうとしたのだろう。彼女にとってそうすることが普通であり日常の行動なのだろう。いつもと変わらぬ日常の。…この時、僕は周囲を見渡したのだ。人気が無いのを確認した。偶然というには恐ろしいが人気は無かった。この時には既に彼女を殺す気があった。あれ?僕はいつ彼女を殺す気になったのだろう。わからないわからない。とにかく彼女が通路になってるドーナツトンネルに近づいた時、猛ダッシュで彼女に接近した。彼女は後ろを振り向いて僕を見た。不思議そうな顔した。すぐに怯えた顔した。僕はもう彼女の口を塞いでいた。さらに口の中に手を突っ込んだ。ふと手を見る。確かに手の甲に彼女の歯形が残っている。その後は一瞬だった。一気に首を絞めた。チョークスリーパー。鶴みたく細い首。抵抗する間もなく彼女の体
から力が抜けた。僕は腕を離さなかった。しだれる彼女の首を全力で絞めた。「ゴポ」、音がした。音がしたんだ。思い出して鳥肌がたつ。なんて音だ。…彼女の頸椎が悲鳴をあげてもなお締め続けた。どれくらいの時間であったのだろうか、二十秒?一分?二分?それ以上かもしれないし、以下かもしれない。手を離すと彼女は糸の切れた人形…はさっき出てきたな…糸の切れたヨーヨーのように重力に逆らうことなく崩れ落ちた。横たわる彼女は僕をぎょろりと見ている。体は背中側を向けて。怖くなった。怖くてたまらなかった。だけど僕は彼女が息をしているかどうか確かめた。してなかった。
「死んだな」
そう呟いてドーナツトンネルから出たんだ。僕の声が僕の声じゃないみたいだった。ありきたりだが地獄の底からわいて出てきた悪魔のような声。悪魔の所業をした僕にはお似合いの声。思い出すと鳥肌が止まらない。あ、鳥肌はさっきからずっとたっていたんだった。
人気のない公園の、ドーナツを半分に切ったような山状の滑り台のトンネル部から抜け出ると、それでも目立たないよう細心の注意を払い公園を出る。ちらりと振り返る。全身が糸の切れた操り人形みたいな感じで、思い通りに動かない。完全に動かないのは彼女。の死体?死体。元のまま、彼女はドーナツトンネルの闇の中で倒れている。ここからではかすかに脚が見えるだけだが。駆け出したくなる気持ちを、狂い叫びをあげたくなる気持ちを押し込んで、歩く。歩く。目立つな、と脳内再生、何度も何度もヘヴィローテーション。脳内の壊れたレコード状態に反して全身が耳になっている。またまた反して、自分の足音、鼓動等自分の出している音はあまり聴こえない。小鳥のさえずり、遠くで車が走る音、どこかで誰かが布団を叩いている音、なんだか聴いたことないヒリヒリしている音、なんだこれ、なにこの音、アスファルトに反射している日光の音か?なんなんだよ、とにかく今のところ悲鳴は聴こえない。パトカー?救急車?サイレンも聴こえてこない。誰にも気付かれていない?
三回角を曲がるとようやく少し落ち着いた。
僕は記憶を整理しようと、たった10分前のことを思い出そうとした。
すれ違った彼女、僕がビワを食べるのを見て微小した彼女。天使みたく美人で可愛い彼女。しかもいい匂い。匂いに誘われるがまま僕は尾行を開始した。なんでだろう。彼女が微笑んだから?わからない。ただ言えることは彼女は美しかった。尾行されているとは露知らず彼女はあの公園に入った。おそらくショートカット目的で公園を対角線に進もうとしたのだろう。彼女にとってそうすることが普通であり日常の行動なのだろう。いつもと変わらぬ日常の。…この時、僕は周囲を見渡したのだ。人気が無いのを確認した。偶然というには恐ろしいが人気は無かった。この時には既に彼女を殺す気があった。あれ?僕はいつ彼女を殺す気になったのだろう。わからないわからない。とにかく彼女が通路になってるドーナツトンネルに近づいた時、猛ダッシュで彼女に接近した。彼女は後ろを振り向いて僕を見た。不思議そうな顔した。すぐに怯えた顔した。僕はもう彼女の口を塞いでいた。さらに口の中に手を突っ込んだ。ふと手を見る。確かに手の甲に彼女の歯形が残っている。その後は一瞬だった。一気に首を絞めた。チョークスリーパー。鶴みたく細い首。抵抗する間もなく彼女の体
から力が抜けた。僕は腕を離さなかった。しだれる彼女の首を全力で絞めた。「ゴポ」、音がした。音がしたんだ。思い出して鳥肌がたつ。なんて音だ。…彼女の頸椎が悲鳴をあげてもなお締め続けた。どれくらいの時間であったのだろうか、二十秒?一分?二分?それ以上かもしれないし、以下かもしれない。手を離すと彼女は糸の切れた人形…はさっき出てきたな…糸の切れたヨーヨーのように重力に逆らうことなく崩れ落ちた。横たわる彼女は僕をぎょろりと見ている。体は背中側を向けて。怖くなった。怖くてたまらなかった。だけど僕は彼女が息をしているかどうか確かめた。してなかった。
「死んだな」
そう呟いてドーナツトンネルから出たんだ。僕の声が僕の声じゃないみたいだった。ありきたりだが地獄の底からわいて出てきた悪魔のような声。悪魔の所業をした僕にはお似合いの声。思い出すと鳥肌が止まらない。あ、鳥肌はさっきからずっとたっていたんだった。