カムバックは道連れ | からだに恥をかく体操〜えんぴつみがき〜

カムバックは道連れ

十年前に解散したバンドが帰ってきた。十年前、正確には十五年前はそりゃすごいもんだった。いわゆるメジャーからのビッグプッシュ的な売れ方ではなく知る人ぞ知る的なところから始まり一世を風靡するまで至った。ブームがきた。ライブをやってはグルーピーとやりまくった。新曲が月9の主題歌になった。この世の春ってやつを謳歌した。そしてブームは去った。人気の絶頂から五年、バンドは静かに、知る人ぞ知る解散ライブをして解散。
奴らが帰ってきた。新曲出した。「あいつら再結成するんだって」「あーあの歌のやつ?」「昔追っかけしてた。わたくし現在中学生の母」「なに考えてんのあいつら?空気読めよ」「まったくだ」「誰?知らねー」「どうせバカの一つ覚えだろ」「………まあ買うけどね」「まあな」
テレビに出た。ゴールデンタイム。ライブの告知をした。チケットは即日完売。
奴らは思い出を道連れに帰ってきた。ファンも、時代も、匂いも、あの曲も、新曲も、年月も、若さも、すべて道連れにして帰ってきた。
ライブは大盛況。久しぶりの打ち上げへ。
会場の外にはたくさんの出待ちの女の子………?人の輪の最前列にはおばさんが陣取り、二列目以降には若い、中学生ぐらいの男女。
「なんだ、結構若いファンもいるじゃないか」
出てきた奴らにおばさんたちは叫ぶ。その声が奴らに突き刺さる。
「この子ボーカルの子よ!」
「この子ベースさんの子なの!」
「この子ギター君の子だからね!」
「この子ドラムの子、血液型があわないって夫に言われるの!」
「この子もボーカルの子、ちょっとぉ中に出すのは私だけって言ってたじゃない!」
「なによ!私だって」
「痛い!」
……………………………………



不協和音が鳴り響く中、意識は揺らぎ、遠巻きにこっちを見ているたくさんの中学生がやけにはっきり見えた。その光景を見た奴らはぞっとした。そこには奴らがいた。何組も何組も若い頃の奴らがいた。年老いた奴らは一斉に駆け出し、逃げ出した。
奴らはひっそりと解散した。





カムバックは道連れってなんか響き良いですよね。人を殺せばポリバケツ、みたいな。意味は無いよ。ちなみにこの話あれよ、耳なし芳一の世界観に置き換えてね。ほら観客が幽霊で子供は水子の霊で。でまあ殺されちゃうって話。もしくはメンバーがさ、気付いてないけど死んでてさ。あの世で再結成してたっていう設定の話。え?相当無理がある?うん、知ってる。知ってる。だがしかし!……………読者もおれの妄想と道連れさ……………
































いや、なんもないよ。ごめんなさい。