ボツ台本犯人 | からだに恥をかく体操〜えんぴつみがき〜

ボツ台本犯人

「犯人」



「知ってる?最近ここら辺で変な事件が起こってるんだよ」
『へーどんな?』
「いやそれがさ。夜中にこの通りを歩いていると向こうの方からサムライの格好した奴が歩いてきて突然木刀で殴りつけてくるらしいんだよ」
『ああ!知ってる知ってる』
「だろ?ワイドショーでもやってたもんな」
『うんうん、びっくりしたよ。まさかこれほどの騒ぎになるとはさ』
「これほどの騒ぎになるとはって、なんか事件の関係者みたいな言い方だな」
『そうだよ』
「え?」
『おれだよ』
「お、お前、まさか、犯人…なのか!?」
『ははは、違う違う。被害者』
「ああーってええ!?被害者なの!?」
『を襲ったほう』
「犯人じゃねえか!」
『いやまいったね』
「まいったのはこっちのほうだよ!なにやってんだよ!」
『え?だから夜中にサムライの格好して』
「それは知ってるよ!なんでそんなことしたんだよ!」
『それを説明するには五時間ぐらいかかるけどいい?』
「長いなぁ。でもことがことだもんな。聞くよ。言ってみろよ」
『まぁ趣味だね』
「…………終わったのかよ!短っ!一言で言い切りやがった」
『五時間も語るこっちの身にもなれよ!』
「なに怒ってんだよ。つうかお前やべーじゃん。早く自首しろよ!」
『お前友達を売る気か!?』
「売る気かって、場合によっちゃあ………でもすごい複雑な気持ちだよ」
『あ、交番だ。すいませーん!おれ犯人なんですけど』
「自首すんのかよ!ってああああああーー!!」
『なんだようるさいな』
「すいませんなんでもないですすいません。………ちょっと待てよぉ早まるなよ」
『なんだよ自首しろって言ったじゃねえかよ』
「いや言ったけどさ。ちょっと待てよ!」
『ええ!?もう』
「お前犯人なんだよ、な!?」
『そうだって言ってんだろ』
「ほ、本当に?」
『本当だよ。すいませーん、おれ犯人なんですけどぉ』
「うわああああああーー!!ま、ま、まったくお前は半人前だな、なんちゃって、ははは!あ、すいませんなんでもないです」
『止めるなよ』
「…うん、いやまぁ確かにそうなんだけどちょっと待てよ」
『なんだよさっきから』
「なんでいきなり自首するんだよ。しかもおれの目の前で」
『だってもうおれが犯人だってバレちゃったじゃないかよ!』
「お前が勝手に白状したんじゃねえかよ!」
『もう逃げ切れねーよ!』
「逃げ切る気あったのかよ!」
『あったよ!わりぃかよ!』
「わりぃよ!犯罪だよ!」
『だから早く自首させろって言ってるだろ』
「それは正しいんだけど、ちょっと待てよ、さすがにいきなり目の前で友達が捕まるのは見るにたえないよ」
『ああ、わかるわかる』
「軽いな。でもそうだろ?」
『ああ、おれも友達が目の前でいきなり全裸になって道に飛び出していったら見るにたえないよ』
「なんだよそれ!なに言ってんだよ」
『なにって現行犯だろうが!』
「まぁ確かにそうだけど、ってなんかもうわかんねーよ。どうすりゃいいんだよ」
『まぁ仮にお前がいきなりそんなことしたらすぐに警察に突き出すけどね』
「すいませーん、お巡りさーん、こいつ犯人でーす」


(終わり)