ボツ台本傘 | からだに恥をかく体操〜えんぴつみがき〜

ボツ台本傘

「傘」ボツ理由・なんかのりきれない。


A「うわ、急に降り出してきたよ。どうしよう傘持ってないよ。ああ、ああ」
A雨宿り場所(商店の軒先のような場所)を見つけ、雨宿り。
B登場。かなり変な格好。
『傘いかがっすかー?丈夫だよー、丈夫な傘だよー、それでいて安いよー』
「なんだあれ」
『お、君ぃ』
A、Bが怪しすぎるので知らんぷりをする。がB強引に目を合わす。
『君ぃ、ちょっと』
「ああ、僕ですか?」
「うわぁ、話しかけてきたよ」心の声風
『君ぃ、もしかして傘がなくて動けないんじゃないかい?』
「いえ、大丈夫です」
『いやいやいや、おじさん別に怪しいもんじゃないよ、ただの傘売りだよ』
「傘売り…ですか…」
『そう傘売り。君ぃあれだろ?傘がなくて困ってるんだろ?』
「いえ、あの大丈夫ですから」
『そんなこと言わずにさぁ、困ってるんだろ?え?素直になろうよ君ぃ』
「いや、大丈夫ですから」
『君ぃ、若いのに頑固なんだから、ええ?おじさん困っちゃうなぁ』
「はあ」
『おじさん雨が止むまでここにいて君を見てようかなぁ』
「え!?」
『君は多分雨で動けずずっとここにいるんだろうなぁ』
「うわぁ、なんか怖ぁ、逃げよ」心の声風
A雨宿りをやめ濡れるのを覚悟で飛び出す。
『おっとっと』
B、Aの腕を掴んでAの飛び出した勢いを巧みに利用して回転。Aをもとの位置に戻す。
「ちょっとなんですか!?」
『傘売りだよ』
「要りませんから!」
A再び脱出を図るも繰り返し。
『あらよっと』
「あらよじゃねえよ!あんたなんなんだよ一体!」
『だから傘売りだよ』
「いらねえって言ってんだろ!僕もう行きますから!邪魔しないでください」
Aまた飛び出す。少し複雑な動き。B、Aの腕を後ろに回してキメる。そして強引にもとの位置へ放り出す。
「いてて、痛いよ!もうなんなんだよ、行かせろよ!」
『おい君ぃ、そんなことしたら濡れちゃうぞ』
「もう濡れてもいいよ!とにかく行かせろよ!」
ABフェイントのかけあい。
「行かせろって言ってんだろ!」
『バカヤロー!!』
「うわ!な、なんだよ!」
『おれは傘売りだよ?いうなれば傘のプロフェッショナルだよ?君ぃ、おれにも傘売りのプライドってもんがあらぁな。目の前に傘がなくて困ってるバカを見逃して何が傘売りだ!』
「あんたのプライドなんか知らねーよ!っつか今おれのことバカって言ったろ!」
『ん?ああ、傘売りの世界ではお客さんのことをバカって言うんだよ』
「本当かよ。本当だとしても口に出すな!」
『まあ嘘だけどな』
「嘘なのかよ!ならなおさらだろーが!」
『つい口から出ちゃったんだからしょうがないだろ!』
「開き直るなよ!傘売りだかなんだか知らないけどな、人をバカ呼ばわりする奴から物なんて買えないよ!大体あんた傘持ってないじゃねえかよ!」
『バカだなぁ』
「ああ!?」
『おれは人傘専門なんだなぁこれが』
「人傘だあ?どっちみち要らねえよ!」
ABフェイントのかけあい。A強行突破を試みるもやはり関節をキメられもとの位置へ。
「ああ、もうなんなんだよぉーーーーー!」
『堅いこと言わずにさぁ、傘買おうよ、ね?安くしとくからさ』
「わけわかんねーよーー、なんなんだよぉーーー」
A涙目。
『君ぃ、世の中天気予報で絶対晴れるって言われた日でも急にどしゃぶりの雨に見舞われる、君ぃ、人生ってそんなもんよ、人生ってやつは』
「行かせろよぉーーー」
『落ち着け落ち着け。君ぃ世の中自分の力だけじゃどうにもならない時ってやつもあるんだよ、君ぃ、顔を上げて見てみなよ。この降りしきる雨でさえ今の人類じゃ傘がなくちゃ道を渡っていけないんだ。ね?君ぃ、傘買おうよ。安くしとくからさ。ね?』
「……………いくらだよ」
『え?なに?』
「いくらだよ」
『なに?君ぃ、聞こえないよ』
「いくらだよ!」
『おうおう、君も立派な声出すようになったじゃねえか。今の言葉、おじさんの心ってやつにチンチン響いたよ』
「どんな響きかただよ!」
『これもあれだな、人生確かに突然のどしゃぶりに襲われることもあるけれど、止まない雨はないと信じ道を切り開いていくことで』
「もういくらなんだよ!」
『ったく人が気持ちよく喋っているのに、これだからバカは』
「ああ!?」
『ははは、君にバカって傘売りの専門用語は禁句だったっけな』
「それ嘘なんだろ!?全然取り繕えてねぇよ!」
『ままま、君ぃ、人生そんなこともあるよ、突然のどしゃぶりもあれば』
「だからいくらなんだよ!買うよ買う買う」
『100円』
「……安いな確かに」
『一分100円』
「一分?」
『君ぃ、おれは人傘だよ?つまりおれが傘になるわけ。ていうことはつまりおれの限られた人生の中の時間を君の為に使うわけ。となればそりゃその対価は時間に対して払われるのは当然のことだろ?』
「ああはいはいわかったよ。一分100円ってことは時給6000円か、結構とるな。で、さっき安くするって言ってたけど?」
『君ぃおれの人生にケチつける気か?』
「ああもういいよ、どうせ10分ぐらいだから1000円ぐらいにしかならないだろ、で、どうすんの?」
『ああじゃあ君ちょっとしゃがんでくれる?』
「しゃがむ?」
『ほらほら早く。雨止んじゃうよ』
「いやそれにこしたことねぇんだけど。しゃがむのね。ああもう」
Aしゃがむ。
『よっこいせっと』
B、Aの肩に腰掛ける。肩車状態。
「ちょちょ。なにしてんの!?」
『人傘だよ』
「ひょっとしてこのままあんたを肩車の状態で行くわけ?」
『当たり前だろう?君人傘をなんだと思ってるの』
「見たことも聞いたこともねえよ。ああでももういいや、このまま立ち上がればいいんだな?」
『おうよ。気をつけろよ』
A立ち上がる。ふらつく。ジャパニーズオーシャン炸裂(倒れる)。
「いてて、うん?おっさん?おい。おい!おっさん?おっさん!」
B動かない。
「うわあ、おっさん!おっさん!どうしたんだよ動けよぉ」
A気が動転。B動かない。
「うっうっ…………あっ雨があがってる……」
『え、マジで。ああもう商売あがったりだよ』
「うわ、生きてた」


終了