
大口「鏡田さん、これ何かご存知ですか?」
と、大口は袋に入ってた物を見せた。
鏡田「粉洗剤ですか?」
大口「これはですね実は重曹なんです」
鏡田「お菓子作りとかにも使いますよね?」
大口「重曹は万能なんですよ」
鏡田「そうなんですか」
大口「妻は家中を、この重曹だけで掃除するんですよ」
鏡田「なんだか良さそうですね」
大口「私は、この重曹にハマってしまいましてね、休みの日に一気に家中を掃除したら、腰を痛めてしまいましたよ」
と言いながら、しゃがむのも辛そうな大口は
大口「妻には怒られましたよ普段何もやらないくせにって」
鏡田「動けなくなってしまったら
奥様に負担が益々かかって
しまいますよ」
大口「妻にも言われました」
と、大口は頭をかきながら笑った。
鏡田「重症じゃなくて良かったですけど」
大口「重曹ですよ」
鏡田「そうではなくて」
大口「重曹ですよ、変な鏡田さんですな」
鏡田は、目を細めて大口を見つめた……
大口「ここでも使おうと思いましてね」
と、大口は茶渋がついたコップを重曹で洗い始めた。
「あの、ごめん下さいませ」
と、入り口から女性の声がして
大口は腰をさすりながら急いで入り口へと向かった。
一人掛け用のソファに通された女性に
飲み物を用意した。
三原由美子 40才 化粧品会社勤務
温かいハーブティを少し飲んだあと鏡田は
鏡田「今日は、どのような問題で」
由美子「それなんですが、お金といいますか、金運といいますか……」
鏡田「はい」
由美子「良いときは良いんですが……」
鏡田「はい」
由美子「ない時に限って請求書が送られてきたりの繰り返しですよ」
鏡田「はい」
由美子「したいこと、行きたい所、いっぱいあるのに、ぜんぜん出来ないんです」
鏡田「はい」
由美子「あの聞いていらっしゃいます?」
鏡田「はい」
由美子「なら良かった。
私、一生こんな感じの
人生なんでしょうか?」
鏡田「それを聞いてみては?」
由美子「どなたに?」
鏡田「このテレビにです」
確かに存在感のあるテレビだけど……
と、不安に思った由美子は
由美子「何を聞けば?一生こんな人生なのかをですか?」
鏡田「それを聞いて、イエス、だったら嫌ですよね?」
由美子「もちろん嫌ですよ!」
鏡田「なので、なぜお金に困るのか?
と一発聞いてみては
いかがでしょうか」
由美子「なるほど!」
由美子は大きくうなずいて
由美子「このテレビに聞けば良いのですね?」
と、由美子はテレビに近づいた。
鏡田「あの、こちらにです」
と、鏡田はマイクを由美子に渡した。
由美子「ですよね」
と、照れながら
由美子「いやいや、マイクにでも十分珍しいですけどね」
鏡田「では、一発どうぞ」
由美子「では。なぜ私はお金に困るのでしょうか?もうお金に振り回されたくないんです!」
古びたテレビに映しだし始めたら
脱ぎっぱなしの服
ぐしゃぐしゃな布団
テーブルの上に飲み物の汚れ跡
これ、私の日常だ……ヤダ!恥ずかしい
あっ、まだ続いている……
部屋を一気に大掃除をしている由美子の姿
何時間もかけ掃除をしている由美子の姿
なんだ~ぜんぜん恥ずかしくなかった!
映像は終わった。
由美子「私、やる時は、やるんです!」
鏡田「そうみたいですね」
由美子「これが答えなんですか?」
鏡田「はい」
由美子少しがっかりした感じで
由美子「私の困ってる理由は、
わからなかったって事ですね」
鏡田「答え出てましたよね?」
由美子「はい?」
鏡田「一気に大掃除をする事ですよね?」
勝ち誇った感じで由美子は
由美子「はい」
鏡田「では、この大掃除の前は、
いつ掃除をしたのですか?」
由美子はハッとした
そして、思い出していた
由美子「3か月前?いや半年前かな?」
鏡田「その間は、どうしていらっしゃるのですか?」
由美子「えっと、今度一気に片付けるから……」
由美子は普段、服すらたたんでいないことを改めて気づいた。
そして、恥ずかしさで顔が真っ赤になってしまった。
鏡田「掃除をしなくても、洋服を畳まなくても全く気にする必要はないと思いますよ」
由美子「いや、しかし……」
鏡田「ただ、三原さんが問題だと思った事と繋がりがあるという事だけですよ」
由美子「はぁ」
鏡田「三原さんは金運が良い時は良い、
しかし悪い時は悪い訳ですよね?」
由美子「はい」
鏡田「物に対する扱い方はお金の扱い方と同じなのではないでしょうか」
由美子「確かに周りの知り合いを見ていてそう思うような気が」
鏡田「家も部屋も物ですしね」
由美子「はい、あの私本当に掃除が苦手なんです、どうしたら良いでしょうか?」
鏡田「それを聞いてみては?」
由美子「このマイクにですよね?」
鏡田「このマイクを通して、このバーチャルTVにです」
由美子「あ、はい。聞いてみたいです!」
鏡田「それでは、どうぞ」
由美子はマイクに
由美子「頻繁に掃除をするにはどうしたら良いでしょうか?」
タイマーで30分間のセットをしている由美子
そして、掃除をしている。
次の日、同じく30分間のセットをしてから
掃除をし始めた由美子。
そして、タイマーが鳴る前に
掃除を終えた由美子。
そして次の日、10分間のセットしてから
掃除をし始めた由美子
部屋は常に片付けるられている。
由美子「最後は10分間だけですよ!」
鏡田「そうですね」
由美子
「確かに一気に掃除をする時は
押し入れの奥から写真とかが
出てきたりして、
その写真をずっと見たりして、
どんどん時間が経ってしまったり…」
由美子はため息をつき
由美子「無駄な時間を使ってました」
鏡田「物も時間も丁寧に使うと何かに
繋がっているのかも知れませんね」
由美子「丁寧か……時間をかけても丁寧ではなかったです」
鏡田「そうなのかも知れませんね」
由美子「3日後からは10分間で
良いんですよね?
とにかく家に帰って30分間の
掃除をします!」
鏡田「そうですか」
由美子「なんだか楽しみだ!
ありがとうございました」
三原由美子は丁寧な足取りで事務所を後にした。
大口「私も妻を見習って
一気にやるのはやめますわ」
鏡田「重曹の力がありますしね」
大口「重症じゃありませんよ!」

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こぐま佐矢子の
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