診断が確定した後は、どういう方針で治療をするのかを決めなくてはなりません。
主治医からは、治療法として以下の4つの選択肢があると説明を受けました。
①保存療法
②骨接合術
③人工骨頭置換術
④人工股関節置換術
それぞれの治療に、メリットデメリットがあります。
①の保存療法は、その名前のとおり、安静を保って折れた骨が自然に癒合するのを待つという治療法です。患者さんの年齢、全身状態、受傷起点などによってはこの治療法を選ぶこともありますが、大腿骨頚部の骨折は自然は繋がりにくい部位として有名です。私の場合は、この治療法は選択肢から外すことに。
②の骨接合術というのは、金属などを用いて折れた骨と骨をくっつけた状態で固定をする手術です。この手術のメリットは、自分の関節を温存できるという点ですが、基本的には転位のない大腿骨頚部骨折に対して適応があります。デメリットとしては、免荷(荷重をかけてはいけない)期間が長いため、入院期間も長くなりがちなことと、合併症として偽関節ができる(骨折部が骨癒合しない)可能性や、血行障害のため大腿骨頭壊死が起きる可能性があげられます。
③の人工骨頭置換術というのは、大腿骨の骨頭部(ボールのように丸くなっている部分)を、金属やセラミックで出来た人工の骨頭に置換する手術です。関節の受け側となる臼蓋(きゅうがい)と呼ばれる部分は自分の骨をそのまま利用します。
メリットとしては、術後早期に荷重が可能で、入院期間が短くてすむという点です。デメリットは人工物なので耐用年数が15〜20年程度であること、手術に伴い感染症や深部静脈血栓症のリスクがあること、人工物と自分の骨とで関節をつくるので、関節部の骨が摩耗してしまう点でしょうか。
④の人工股関節置換術というのは、骨盤側の骨も含めて股関節全てを人工のものに置き換える手術です。メリットは、この4つの選択肢の中では一番痛みを軽減する効果が高いことでしょうか。また③と同様に術後早期に荷重が可能です。デメリットは、耐用年数が15年〜20年と言われているため、手術時の年齢によっては再手術が必須なこと、感染症や深部静脈血栓症のリスクもあります。そして何より、手術侵襲(皮膚や筋肉に与えるダメージ)が最も大きい手術になります。
さて、どうしましょ?
自分の骨がくっついてくれるのならそれに越したことはありません。
ただ、②を選択するのなら、私の骨折の状態では入院期間が3ヶ月になると言われました長いよ〜
しかも、上に書いた通り、本来は転位のない骨折に行う手術です。転位がある場合でも、年齢によってはくっつく可能性があるのですが、合併症のリスクは跳ね上がります。
そして、うちには子供が2人いて、下の子はまだ年長さんなのです。もう少しで卒園だし、春には小学生になります。3ヶ月ということは、退院は4月半ば?!
仕事だって、そんなに何ヶ月も休むわけには…
そういう事情がなければ、まず②でトライしてみたいけど、早く帰ることを優先した方がいいのではないだろうか…。
などと悩んでいたら、夫が何やら先生に質問をしている。
ん、先生だったらどれを選択するかって?!
先生は②をお勧めしていました。
夫も最初の説明を聞いて、②がいいんじゃないかって思っていたそうで、なんだ、みんな同じこと考えているんだったら、悩む必要ない!!と思い
②の骨接合術を受けることを選択しました。
ちなみにね、上記の治療薬①から④に関して、手術の性質上、下から上には戻れないのですって。
あたりまえか。そりゃ②を選ぶよね。私が人に勧めるのなら、まず②に挑戦してみたら?っていうと思う。
そんな訳で、無事に治療方針も決定したので、そのまま入院の手続きをすることになりました。