グリッサンドゴルフクラブでのプレーの後、成田空港に行った。
意味はない。
ゴルフ場が空港のそばだったこと。
朝イチのスタートで早く終わったこと。
二十台、三十台の頃、つまり独身のころ、あれだけ海外旅行に行っていたのに、もう20年も行っていない。
大学一年の夏、初めて海外旅行に行った。
中国だった。
中学時代に見た「シルクロード」に憧れ、浪人の末、大学に入った年にいきなり出かけたのだ。
初めての海外。
初めての飛行機。
初めての空港だった。
そのドキドキした気持ちを思い出して、成田空港に行ってみようと思ったのだった。
当たり前だが、あの頃とまったく変わっていた。
むかしはこのパネルも、電光表示板ではなく、パタパタパタと、一枚一枚、回転して変わっていくものだった。
出発階を歩き回った。
今は三つのターミナルがあるので、かつて僕が使ったのがここなのかわからない。
どこかに当時のおもかげがないか探した。
そのなかでなんとなく記憶が甦ったのが、本屋さんだった。
記憶違いでなければ、ここで雑誌を買い込んで出発したと思う。
当時はネットなどなく、日本の新聞も海外ではなかなか読めなかった。
旅行中、日本語に飢えないよう、本や雑誌を買い込んで出かけたのだ。
成田から香港に行き、香港から中国に入国。3週間かけて西安、敦煌、トルファン、ウルムチをまわった。
これをきっかけに、
その後、毎年最低二回は海外に出かけた。
長い時は二ヶ月近くだった。
そのたびに空港で本や雑誌を買い込んだだろう。
あの頃を思い出して、胸が少し熱くなった。
また旅に行きたい、と、思ってしまった。