7月23日から、ゲド戦記第1巻を読み始めて、今日やっと、ゲド戦記第6巻を読み終わりました。時間がかかりましたが、とても素晴らしい物語でした。今回、最後の巻を読んで、竜と人間、そして魔法使いとの関係が分かりました。竜と人間は、元々同じだったが、人間は土地と言葉と物を作る力を選び、竜は自由と風と火をあやつる力を選んだ。ということでした。魔法使いは、物のまことの名前を知る力を持ち、心を操る力を持つ人間のようです。
まず、生命の進化を考えさせられました。例えば、鳥と人間、トカゲと人間は、もともと一つの生き物だったけれど、あるところから違った生き方を選んで、違った生活をしています。物語として表現すると、このゲド戦記のように、竜と人間の生き方の違いという、表現になるのでしょう。魔法使いは、宗教者、科学者を表現しているのだと思いました。人間同士の戦いがいくつも書かれていて、戦いに負けた人達の様子、弱者が支配され酷い仕打ちを受けるている様子も多く表現されていて、人間の残酷さが身にしみて感じました。今、戦争をしている地域で行われていること、負けて支配されるということの状況も、この物語に表現されています。
また、「天地創造の頃の言葉を知ること」、これは今、人間が、科学として追究している課題であって、生命のDNAに書かれている言葉や、宇宙の仕組みや、素粒子の構造などが、追究され続けていることと関係します。しかし、竜のくらしように、自由に自然に生き続ける、という生き方もあるということです。
ゲドは、いろいろな課題に挑み、戦い続けて、世の中のひずみを正したけれど、最終的には、「天地創造の頃の言葉」も、「魔法の力」も無くして、自然の中で自然と共に平穏に生き続けることを選びました。そうなんだな、と思いました。