地球からの運搬はコスト高

「地球の上空約400キロ・メートルを周回する国際宇宙ステーション(ISS)には約半年交代で各国の宇宙飛行士が長期滞在している。食事は、補給船などで運んでいる調理済みの宇宙食だ。だが、地球から約38万キロ・メートル離れた月に大量の物資の運搬を繰り返すのはコストがかかりすぎる。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の作業部会は2019年、「月などの天体に生活圏を広げる場合、持続的な食料生産が必要」とする報告書をまとめた。特に栄養価の高い野菜などを効率的に生産する「月面農場」の重要性を強調した。報告書の作成に携わった千葉大の後藤英司教授(62)は、実際に月面基地内の狭い空間を想定し、イネや大豆、イチゴなどを密集させる「超高密度条件」で育て、最適な人工光や気流、温度などを調べている。今後は、地球の6分の1である月の重力条件での生育状況も検証する計画だという。水や土、肥料の確保も課題となる。農業・食品産業技術総合研究機構は後藤教授などと共同で、月面で育てた農作物の食べられない部分や宇宙飛行士の排せつ物から、微生物などを使ってリンやカリウムなどの栄養分や水を回収し、肥料として再利用するシステムの構築に取り組んでいる。米フロリダ大は昨年5月、月の細かい砂「レゴリス」に栄養剤を混ぜて土を作り、アブラナ科のシロイヌナズナの発芽に成功したと発表した。一方、「肉」を得る技術開発も始まっている。東京女子医科大などの研究チームは、藻類から栄養豊富な培養液をつくり、家畜の細胞を塊へと育てて「培養肉」を大量生産する研究を行っている。将来は月面で、肉や野菜などが盛りだくさんのフルコースに舌鼓を打つのも夢ではなさそうだ。」(1月16日読売新聞)

→ここでは、コオロギ食(タンパク源)の話はなかったのですが、関係してくるかもしれません。

 

2022年11月8日 月食