今日は、夕方から本を読みました。野地さんは、徳島大学の学長です。「徳島大学が世界の課題を解決してもっとも豊かな大学になる」が大学の経営目標だそうです。本の中から、気になるところを書き出してみました。
○2021年、世界で食糧危機に瀕している人は、1億5000万人超。こうした中、脚光を浴びているのが「昆虫食」。中でも食用コオロギだ。高タンパク、低糖質で繁殖力の強いコオロギの研究をいち早く始めたのが徳島大学長の野地澄晴さん。コオロギせんべいの販売から、新型コロナウィルスのワクチンへの応用、延命や再生医療への活用まで、地球を救おうと言っても過言ではない。
○国際連合は、食肉問題解決のために昆虫資源の積極的な活用を提案した。この根拠が報告書「食用昆虫」に掲載されている。昆虫食の推進は、SDGs目標2「飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」及び、SDGs目標3「あらゆる年齢の全ての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」を達成するために、一つの重要な取り組みとして取り上げられている。
○実際、世界の中では昆虫を食している国は多く、例えばタイなどは、昆虫食の国である。国際連合食料農業機関のレポートによると、世界で130国以上、訳20億人が1900種以上の昆虫を常食している。日本で昆虫食にあまり嫌悪感を示さないのは長野県民であろうか。長野県は海に面していないことが昆虫食文化を発展させた理由の一つであろう。実際、イナゴや蜂の幼虫などは、現在でも食べられている。
○日本国内においても、2016年に農林水産省と農研機構の共催による国際シンポジウム「昆虫の新たな用途開発の可能性を探る」が開催され、昆虫の食飼料化について議論がなされた。
○2018年以降、欧州連合で昆虫は「新規食品」として規定された。それまでは、各国が独自に販売を認可していた食用昆虫だが、新規食料と規定されることで、EU全域で流通が可能になるため、市場の拡大に期待がかかっている。
○無印良品のコオロギせんべいは、徳島大学の研究をベースに飼育された「フタホシコオロギ」という熱帯性のコオロギを使用しています。全て衛生的で安全な環境で飼育され、温度や湿度を一定に保つことにより通年産卵させることが可能で、食用に使用する量を生産することができます。また、おいしく食べていただけるよう、コオロギをパウダー状にしてせんべいに練り込み、コオロギの味を生かすために余計な原料を使わず、シンプルな配合にしました。エビに近い香ばしい風味を楽しめます。
○「微生物や昆虫等の生物機能をフル活用し、完全資源循環型の食料生産システムを開発する」ことを目標に、お茶の水女子大学、早稲田大学、東京農工大学、長浜バイオ大学、徳島大学が連携してプロジェクトを立ち上げることにした。「地球規模の食料問題の解決と人類の宇宙進出に向けたコオロギとミズアブが支える循環型食料生産システムの開発」を提案した。
○フィンランドで食用の虫の飼育・販売が認可されたのは2017年の秋、フィンランド食品局によれば2021年現在、ヨーロッパイエコオロギ、カマドコオロギ、トノサマバッタ、サバクトビバッタ、セイヨウミツバチ、レッサーミールワーム(ガイマイゴミムシダマジ)、イエローミールワーム(チャイロコメノゴミムシダマシ)、アメリカミズアブ、という8種類の昆虫が認可されている。
○2017年に設立されたエントモファジー・ソリューションズ社は、「昆虫食の入門版として最適」と、チョコレートでコーティングしたコオロギを販売した。コオロギはゆでた上、乾燥させたものを用いている。さらに2019年には、より日常的なタンパク源として、コオロギ・パウダーを含んだプレインパウダーなどを発売。エンティス社の製品は、フィンランド国内だけでなく、ヨーロッパ6カ国で販売されている。