読む本ではないのですが、盛口満さんの描いた木の実の本を見ました。とても絵が上手で、草木や生き物の絵を描くことで、自然の観察の大切さを伝えています。葉の形、葉脈や鋸歯の様子を正確に表現することにより、より詳しく植物の違いを捉えているのだと思います。ひっつき虫と言われている種も、ルーペで拡大して、表面の毛や、周囲の針状のとがりを正確に表現することで、ひっつく仕組みがよく分かります。正確に描くことができるということは、技能が高いというだけでなく、細かい所まで正確に違いが見えているということだと思います。これまでひっつき虫の種などは漫然と見ていて、服についたのをむしり取って捨てていただけでしたが、絵で表現するためには、一つひとつ、その特徴を捉えることが大切です。観察の基本だなと、この本の絵を見ながら考えました。細かい所を正確に描くことで、全体の特徴を表現していることも分かりました。これだけの実や種を集めるだけでも大変なのですが、忙しい日々の生活の中で精密なスケッチを、いつ、どのように、どこで、どれだけ時間を使って描いているのか、とても不思議です。次々に本を書かれていて、琉球大の学長もされていて、超人の生活にただただ感嘆するばかりです。