井出竜也さんが書いた本です。井出さんは、国立科学博物館動物研究部陸生無脊椎動物研究グループ研究員の方で、専門はタマバチ科の生態や分類です。ヤドリバチ、ヤドリバエなどについてかなり詳しく書いていました。しかしこの本は、論文のような文章ではなくて、素人でも興味が持てる楽しさを交えて、わかりやすく書いてくれています。このような本が増えるといいなあと思います。昆虫好きな子どもでも読める本です。
続けて、『湖の科学』を読み始めました。ワーウィック・ヴィンセントさんは、ニュージーランド・オークランド大学で藻類の研究、カリフォルニア大学デイビス校で博士号、英国淡水生物研究所、カナダ大学間共同北方研究センター長などを務め、現在ラバル大学教授(カナダ)をされている方です。カナダの大学はケベック州なので、フランス語で講義をしなければいけないようです。語学研修も兼ねて、スイスやフランスにも行かれて、アルプスの湖の研究もされているようです。世界的に動きながら活躍されている方です。能力のある研究者は、世界を渡り歩いて、研究生活を送っておられます。
最近、研究論文の引用される日本人の研究者の数がさらに減ってきているとニュースで聞きました。世界的な研究レベルで、活躍していく日本人が増えてほしいなと思います。そのためには、小学校からの科学教育がとても大切だと思います。小学校の科学教育には、グローバルな自然観、自然哲学が必要です。小さな観察と大きな科学の世界をつなぐ、考え方を学ばせる必要があります。さらに、中学、高校では、科学と数学を自ら深めることができる、探究や実験を伴う教育システムが必要です。今の教育は、入試制度ばかりが先行していて、私学や塾がそれに乗っかって暗記のための学習になってしまっています。研究者が育つような教育体制にしなければいけません。さらに、大学教育への予算の拡充、企業から大学への寄付の奨励、留学費用の支援、海外の研究者の招待など、世界の研究の最前線で日本人が活躍出来るように、国家的な教育計画が必要です。日本人にとっては、やはり語学的な壁が大きいのでしょうか。今の小学校からの英語教育は、どのように身についていくのかまだ分かりません。話す事も大切ですが、中学、高校では、英語の本を読む、英語で文章を書くということに、高めていくようになっているのでしょうか。自分の受けた英語教育は、いつまでも、英文法ばかりをしていたように思いました。英語で楽しむ読書をした覚えが一度もありませんでした。また、英語で作文を書く習慣もありませんでした。