新聞に、問題が掲載されていたので、小学校6年理科を、じっくりみることにしました。

 どの問題も、課題(追究問題)、実験・観察方法、結果(表やグラフ)、考察と、科学的思考力、論理性を問うものばかりだなと、第一印象を受けました。結果を表やグラフで表していて、そこから考察を読み取る問題もありました。さらに、問題の文章が長いので、その文章を最後まで読み取る力、読解力も問われます。

 日頃の理科の学習を考えると、課題を持って実験を進め、実験結果を、常に表やグラフで表現しているか、さらにそこから考察をするような取り組みが、丁寧にされているのでしょうか。実際、各学級の理科学習は、子どもに、実験の結果の表やグラフを、ノートに書かせているかと考えると、なかなかできている学級が少ないのではないかと思われます。教科書の指導書の子供用実験ワークシートに、結果を書く表やグラフ用紙がついていて、そこに数値を書き込んでいく事はさせていても、自分のノートに、自分で表やグラフを書いたりすることは、ほとんどできていないのではないでしょうか。

 実際、自分がかつて理科専科で、3~6年の全クラスの理科を教えているときを思い出すと、子どものノートに、結果を表やグラフで書かせるのに、いくつもの困難なことがあったことを思い出します。まず、表の枠組みが書けない、二つの変数が何になるのか分からない、さらに、グラフを書くとき、縦軸横軸の項目を何にするか、数値メモリをどう書くとよいのかなど、とても大変だったことを覚えています。子どもの理科ノートは、7mmマスノートを使わせていたのですが、グラフを書くときは、そのマス目をどのようにうまく使わせるかということも、難しい問題としてありました。

 今回の学力調査の理科の問題では、表でまとめられている数値の変化を読み取ることができるのか、また、グラフの変化から意味を読み取ることができるのかということが多く、かなり難しい問題だと言えました。文科省の方針が、あまりに科学的思考方法にこだわりすぎていて、理科嫌いにならないかなと思えました。現場の小学校理科は、飼育をする、栽培をする、太陽や月や星を観測する、風や雨、雨水の流れを観察する、地層の中の化石について考えるなど、自然の大きな変化から学ぶことで、子ども達は生命や自然の雄大さを感じることが大切だと思います。また、科学の進歩の話から人類の可能性に夢をもったり、環境問題を考えることでこれからの生き方を考えたりもします。テストにしやすいということだけで、科学的思考方法を問うことばかりになってしまっているのが、残念だなと思いました。

 

シャリンバイの花に来ている

アオスジアゲハ