■ヒグラシ セミヤドリガ 2021年8月11日 二上山
ヒグラシ
セミヤドリガに寄生されたヒグラシ
ヒグラシの写真を撮るのは初めてです。そして、そのヒグラシに、寄生しているしろいものがありました。キノコかなあ、何か病気かなあと、思いながら写真を撮って、家に帰ってから調べてみました。蛾の仲間のようでした。知らないことばかりで、恥ずかしいです。
「1898年(明治31年)、民間の昆虫研究家、名和靖(なわ やすし)は岐阜県養老山でヒグラシに付いた奇妙な幼虫を発見し、養子の名和梅吉がこれを飼育したところ、繭から黒っぽい地味な蛾を羽化させることができた。この蛾はすでに1892年(明治25年)に岐阜県金華山で採集していたが、無論それがセミに寄生する種類であることは飼育で初めて判明したのであった。そして1903年(明治36年)、名和昆虫研究所発行の雑誌『昆虫世界』に「セミノヤドリガ」という名前で、彩色図版とともに掲載した。この報告を見た米国の H.G.Dyar という学者から標本希望があったため送ったところ、Dyar は1904年に Epipyrops nawai の名で新種として記載した。この当時米国留学中だった梅吉も、この珍蛾を新種として発表する準備をしていたというが、Dyar の論文の方が早かったため機を失った。また上記のように、梅吉は和名をセミノヤドリガと名づけたが、現在は松村松年(1905)の『日本昆虫總目録(蝶蛾之部)』に始まるセミヤドリガという和名が使われている。
寄主(ホスト)はその大部分(一説には99%)がヒグラシに寄生し、他に極わずかな寄生例が、ミンミンゼミ、アブラゼミ、ツクツクボウシ、ニイニイゼミ、ヒメハルゼミ、ミンミンゼミなどで知られる。ヒグラシが寄主となる理由については、セミヤドリガの生息環境にヒグラシが多いことや、ヒグラシの前胸の構造が1齢幼虫の潜伏に都合が良いことなどが挙げられたことがあるが、必ずしもよく分かってはいない。更にヒグラシでも、特に雌への寄生が多いことが知られているが、その理由も不明である。雌のヒグラシに特有の行動が関係する可能性もあるが、このことから少なくとも啼き声などを頼りに寄生が行われるものではないことがわかる。1匹のセミへの寄生数は1個体から数個体の場合が多いが、時には10個体ほども寄生している場合があり、寄生数が多い場合は色々な成長段階の幼虫たちが混然と寄生している。
寄生されたセミが死んだり産卵ができなくなったりすることはないと言われる。しかし盗られた栄養分が損害になるほか、セミにとってはセミヤドリガの幼虫は相対的にかなり大きいため、多くの幼虫の寄生を受けて重くなったセミは飛翔速度などがやや遅くなる。また真っ白な大福餅のような幼虫を背負ったセミはよく目立ち、それによって襲われる機会が増えるならばセミにとっては非常な損害となる。一般には毒や不味を持つ昆虫が目立つ外見で捕食者の忌避行動を誘発することが知られており、もし本種にもそのような要素があれば白い幼虫はわざと目立っていると考えることもできるが、目立つ原因となる純白の綿毛は、少なくともヒトには無味無臭で、口に入れてもすぐに溶けて何の感覚もなくなるようなものである。あるいは目立つことで捕食者を誘い、高所からの脱落の契機を作る作用があるかも知れないが、寄生個体と非寄生個体に対する捕食者の反応や捕食率の違いなどは調べられていない。」(Wikipedia)


