▼晴歩雨読 No.025
(晴歩雨読は、きつねTが趣味で書いているエッセイです。これまで、25号まで書いています。また、1~24号も、今後、載せますので読んでください)
「こぎつね研究室の活動 」
幼稚園の子ども達との活動が始まった。朝、子ども達は 8 時 45 分~9 時の間に登園してくる。それから 10 時 20 分までの 1 時間 20 分が、子どもたちの自由な活動の時間である。園に来た子どもが荷物の整理 をしてから、それぞれ興味のあることを始める。 幼稚園のおやつ担当の職員さんが、「こぎつねけんきゅうしつ」の素敵な看板を作ってくださった。絵も文字もとても上手だ。担任の先生がたは、私が何をするのか期待をしてくれているが、何をすべきなのかまったく先が見えない。
初日は、とりあえず、春の花がすぐに見られなくなるので、その写真記録をしておこうとカメラの準備をした。春の花壇の植物の写真を撮った。パンジー、チューリップ、ノースポール、アネモネ、ラッパスイ センの 5 種。春の野草は、実物を取って、ペットボトルに入れ た。ナズナ、ハルノノゲシ、タンポポ、カラスノエンドウ、ス ズメノエンドウ、スイバ、ホトケノザの 7 種。年長組の子ども 達に植物の名前を書いてもらったが、さすがに、まだ、文字を すらすら書ける子どもは少ない。 幼稚園の何人かの保護者と話をすると、昨年度の 3 月に年中組の子ども達と散歩に行ったときに採集し たホトケノザを、よく憶えていると言う。きちんと全員でした活動は、興味のない子も、覚えているよう だ。全員にかかわる活動も、これからしていかなければいけないと感じる。
年長教室の支援の先生は、自然についてとても詳しい。その先生が、エダナナフシの卵と幼虫を持ち込んできた。写真に撮って掲示をして、その前に実物の幼虫を置く。
子ども達は、自分が採集したり、持ち込んだりしたものには興味を示すが、教師が持ち込んで置いてあるだけのものはあまり見ない。でも環境を整えていくと、それなりに風景になるかも しれないので、とりあえず展示していくようにしたい。 こぎつね研究室開設三日目ぐらいの朝の様子である。虫好の子どもたちは、早速こぎつね研究室にやってきて、虫やカエルやザリガニなどを見る。きつね先生に、カマキリの卵を持ってくる子どももいる。モンシロチョウがタンポポの草原に次々に飛んでくるので、用務員さんに虫網を出してもらって、5~ 6人の男の子が追いかけ始めた。上手に何匹も捕まえている。また、年長組の女の子 2 人が、粘土を一緒 に取りに行ってほしいと言いにくる。女の子が近寄ってくるのは初めてなので、案内されながら園庭の一番隅っこのところに行く。なぜそこに粘土があるのかは分からないが、地面を少し掘ると粘土があった。バケツとスコップを持って行っているので、小さなバケツ半分ぐらいに掘り出した粘土を入れて、保育室近くまで戻ってくる。少し硬そうなので水を足して、こねていくことにした。手を泥だらけにしながら、こねている。
次に年中組の男の子が、ミミズを捕まえてと言いに来る。昨日雨が降ったので、園庭の真ん 中に、20 ㎝ぐらいもある大きなミミズが二匹いた。なぜそんなところにいるのと思うような、草も何もな い、運動場のど真ん中だ。園児は、手でつかむのは躊躇していて、ふたを使って、飼育ケースになんとか入れた。ミミズは、砂まみれになっているので、少し水を入れると、くにゃくにゃ動いている。写真撮影をする。その後、飼育ケースに入れたミミズを、園のいろいろな先生に見せに行って、最終的にそこに土 を入れていたようだ。そのミミズ達は、どうなったのだろうか。
10 時 20 分になると園庭に音楽がかかり、子どもたちは、自由な活動の時間を終えてそれぞれの保育室 に入って、おやつの時間となる。おやつを食べた後は、各部屋で担任の先生とお話をしたり、歌を歌ったり、工作をしたりと、保育室での活動を始める。まだ、私は一週間もたっていないので、幼稚園の一日の 生活が、どのような活動時間帯になっているのかよくわからないが、こぎつね研究室は、朝の 1 時間 20 分が、一番の活動時間であると分かってきた。 こぎつね研究室一週目の生き物たちのリストである。
①トノサマガエル・アマガエル、②モンシロチョウ・アゲハチョウ、③オオムラサキの幼虫、④カマキリの卵・オオカマキリの卵・ハラビロカマキリの卵、⑤ダンゴムシ・ワラジムシ、⑥ニホンザリガニ、⑦ミミズ、⑧カゲロウ・ガガンボ、⑨バッタ(種類わからない)⑩ムカデ、 ナメクジ、⑪テントウムシ、⑫トゲナナフシの卵・幼虫、などが見られた。
オオムラサキの幼虫は、近鉄新ノ口駅近くで 40 年に渡って飼育されている秋山さんに、30 匹ほどいた だく。幼稚園で、先生が3 年前から飼育に挑戦されているが、1 年目は貝殻虫にやられて、2 年目はト カゲに食べられたそうだ。今年は、ぜひ何匹か羽化させたいと言っておられる。一緒に頑張りたい。オオムラサキは日本の国蝶に指定されていて、日本を中心として、東アジアに分布している。タテハチョウの仲間では最大級。オオムラサキは、エノキを食樹とする蝶で、冬には幼虫が木から下りてきて、枯葉の裏で越冬をするという習性を持っている。環境の変化についていくことが出来ず、数が減ってきている。冬の間に枯葉を掃除されると、オオムラサキの幼虫も気づかれずに一緒に処分されてしまうので、神社や公 園などでは、繁殖しにくいようだ。 カマキリの卵は、なぜが一気に3種類が集まってきた。昨年飼っていた飼育ケースのふたに産み付けられていた卵を持 ってきたものが 2 種と、あと1種は家か ら持ってきたらしい。どの子が持ってきたのか、まだ名前が分からないが、瞬時 に 3 種類が揃うなんて、すごいことだ。左から、ハラビロカマキリの卵、カマ キリの卵、オオカマキリの卵である。恐るべき、あなどれない、幼稚園児だ。丁寧に対応していきながら、 科学に親しむ子どもに育てていきたいものである。
寄ってくる子どもたちは、すごく虫マニアなのだが、寄ってこない子どもたちに、どのように知らせて いけばよいのかが、これからの課題である。
(*^▽^*)