「どんづるぼう」 さんぽ 電車 富士山


 屯鶴峰と書きます。鶴が屯って(たむろって)いるように見える様子から、そう呼ばれています。二上山(雄岳、雌岳)の北側に広がる凝灰岩の傾いた地層が見られる地域です。


 屯鶴峰へは、近鉄南大阪線の上ノ太子駅から歩きます。

 幸運にも、こぎつね達は、途中の住宅地の空き地でサヌカイトを見つけることができました。サヌカイトは、石器時代に、やじり石庖丁に使われたとても貴重な資源です。この二上山と香川県でしか採集することができません。サヌカイトが露出している崖は、今はありませんので、二上山周辺の段丘堆積物の礫や、近辺の河原の石の中で探します。サヌカイトは、無斑晶安山岩質マグマの急冷部分で、マグマから結晶が出来ないぐらい急激に冷やされて、少しガラス状になった岩石です。もっと急冷して、結晶が殆ど出来ていない岩石は黒曜石と言われます。黒曜石の主な産地は、長野県の和田峠、北海道の十勝石、大分県姫島の白い黒曜石などが有名です。また、サヌカイトは、この二上山と香川県五色台で見られます。語源的には、四国の讃岐のサヌカイトが最初のようです。香川県のサヌカイトは、大きさを揃えて並べると、鉄琴のような音色を出すことで有名です。二上山のサヌカイトは綺麗な音は出ません。古代より、サヌカイトを産出する二上山地域は、石器時代文化の中心地で、石器を作っていた場所の遺跡も、特定されています。


 サヌカイトの他、花崗岩ざくろ石安山岩などの石も探しながら、上ノ太子駅から1時間半ほど歩いて屯鶴峰に到着しました。初めて屯鶴峰を見たこぎつね達は、真っ白な奇岩の景勝に感動です。周辺の宅地開発が進んで、昔よりもエリアは狭くなっていますが、まだなんとか凝灰岩の傾いた地層が広がる、地学的に貴重な場所として保存されています。


 屯鶴峰は、現在は景勝地ですが、かつては火砕流堆積物泥流堆積物が湖の中に堆積した、激しい火山噴火の跡です。丁度、20年ほど前、九州の雲仙普賢岳が噴火して火砕流と泥流が発生しましたが、そのような大災害をもたらすような噴出物が堆積した所です。こぎつね達は、谷に下りて、凝灰岩、溶結凝灰岩流紋岩、安山岩などの小石を拾いました。

 屯鶴峰の凝灰岩は、古墳時代の石棺の材料に使われていました。また、ザクロ石は、古代では、曲玉作りの時などの研磨剤、また、昭和の頃には、サンドペーパーの材料としてたくさん採掘されていました。


 屯鶴峰の中を北へ突き抜けて関屋駅に至り、そこから二駅程電車に乗って、近鉄下田駅近くの二上山博物館にも行きました。二上山博物館は、小さな博物館ですが、二上山で見られる凝灰岩、サヌカイト、ザクロ石について詳しく展示解説をしています。



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 屯鶴峰(火砕流堆積物から出来ている)