クズはもう私がいなければなにもできないから、一人で生きていかれぬ頭になった。
旅行している間は外面の顔だから、うんこコネコネはなかった。
彼自身もまあしっかりしていた。ただ話すことは過去のことはよく覚えているが、近々のことはわからない。
レストランに入って、俺何々を注文したっけ?と私に聞く。
大丈夫だよ、クズがわからなくても私がちゃんと覚えているよ。
私の覚えていない昔のことは覚えていたり、私が覚えている過去のことを覚えていなかったりと、様々が混在する。
大丈夫だ、私は腹をくくった。
クズの介護をしようと。仕方ないよね。
うんこの世話も、身の回りの世話も、引き受けたよ。
自分でできることはやらせるよ。リハビリになるし。
ただ運転は危ないね。赤信号無視、人が渡ってきているのに右左折してしまう。
気が抜けないね。私の休みはないけど、私の人生は介護の人生なんだよね。
徳を積む人生かな?自分の命尽きるまで介護を決めた。
そしたら気持ちが穏やかになった。あ~認知症だと思えばやさしく接していられる。
イライラしてもしからないから、待っていられる。認知症だから。
私がギブアップしたらこのクズが子供に行くとなると私は母親だから子供を守るよ。
時々は休みを適当にもらいながら、介護生活のはじまりだ。
いずみちゃんもよっぱらっているから、ちぐはぐな会話しても彼女はきがつかない。
いや、気が付いているかもしれないが、話を合わせてくれている。それでいい。こちらは羽振りのいい客だから。
腹立つこともあるだろう、泣くこともあるだろう、でもクズを介護するのがきっと私の役目なんだろう。
私の人生は認知症ではじまって認知症で終わるんだ。あきらめた人生、少しでもいいから楽しいことを見つけよう。
何かないかな???