アーカイブ 2010年8月
2010年08月31日 文学館
8月も今日で終わります。きのうは岩手県北上市にある日本現代詩歌文学館長で歌人の篠弘氏が見学に来館。室生犀星記念館学芸員の嶋田さんも昆虫展を見にわざわざ金沢から。先日は、神奈川近代文学館展示課の野見山さんも資料調査を兼ねて来館されました。
2010年08月30日 加藤周一ウィーク
「知の巨匠加藤周一ウィーク」と題された連続講演会が9月に東京・世田谷文学館で開かれます。18日は大江健三郎、19日は姜尚中、23日は高階秀爾、25日は池澤夏樹、26日は山崎剛太郎、清水徹(対談)の各氏。時間は14時~15時30分。当日先着150名。当日12時から整理券を配布するとのこと。これは菅野昭正館長の肝いりの企画と推察します。講演者はいずれも名立たる人物ばかり。高階氏は新鮮。ここに鶴見俊輔、樋口陽一氏らが加われば、現時点で望みうるベストメンバーと言えます。
2010年08月29日 高原の文学サロン、9月4日(土)開催!
「文士と宿 軽井沢」展の関連イベント、高原の文学サロンが9月4日(土)午後2時から軽井沢高原文庫中庭で開催されます。星野リゾート社長・星野佳路(よしはる)さんによるお話「おじいちゃん 2代目星野嘉助を語る」。聞き手は女優で軽井沢高原文庫理事の矢代朝子さん。時間は3時30分くらいまで。
参加費は大人1500円、学生・友の会会員1000円。要予約。
2010年08月28日 内村鑑三
きのう内村鑑三の孫の小倉正子さんがご主人と来館。小倉さんは内村鑑三の長男内村祐之氏(東大精神科教授)の長女。星野裕一さん夫妻のご案内。また、きのうは寺田寅彦のご関係の方も藤沢からわざわざご来館いただきました。夏も終わりに近づき、関係者の方々がお見えになるようになってきました。一昨日は、三島由紀夫文学館長の松本徹氏を池内輝雄・高原文庫初代館長がご案内くださいました。
2010年08月27日 ヘルマン・ヘッセ昆虫展あと5日
ヘルマン・ヘッセ昆虫展も残す所あと5日となりました。~8月31日まで。きのうも、蝶が大好きという老夫婦が、軽井沢でヘルマン・ヘッセ昆虫展をやっているということをテレビ情報で見たと言って、たずねてこられ、感激していました。ヘッセ「少年の日の思い出」は日本の中1教科書に65年以上も載り続けている名作。それを具現化した展示で、一見の価値有りと思います。
2010年08月25日 両陛下、軽井沢で静養
天皇皇后両陛下は昨日24日午前、静養のため軽井沢に入られた。29日まで軽井沢町および群馬県に滞在予定。昨日午後は、旧満州(現中国東北部)引き揚げ者が入植した町内の大日向(おおひなた)開拓地を訪問、婚約のきっかけとなった軽井沢会テニスコートでプレーもされた。
2010年08月24日 「文士と宿 軽井沢展」余話8
引き続き、立体ケースの次に、「文士と宿 軽井沢」関連地図パネルを作成、壁面に飾りました。文学展において、文学地図は必須の手法と考えています。視点が変わるし、巨視的になり、一覧性があるから。今回、万平、つるや、星野の3宿を舞台にした文学作品、その他の宿を舞台にした作品、追分や軽井沢駅など特定の場所を舞台にした作品、漠然と軽井沢を背景にした作品といったように分類、リスト化し、地図に落とし込みました。地図は軽井沢町発行の最新の地図を使用。これには文学碑がかなり詳細に入っているからです。このパネル作成には、1985年に最初に通信2号に載せて以来、蓄積してきた情報が役立っています。今は走っていない草軽電鉄の軌道跡や、駅名も、手書きで書き込みました。書き込んだのは学芸員実習で7月にきていたYさんです。
2010年08月23日 ヘルマン・ヘッセの夕べ終わる
ヘルマン・ヘッセの夕べがきのう行われました。北杜夫先生も喜美子夫人、由香さんとご来館。昨年8月1日は昼間、戸外で開催しましたが、今回はしっとりとした軽井沢の夜の空気の中で、一房の葡萄でおこない、とてもいい雰囲気でした。伊藤しのぶさんがヘッセの「少年の日の思い出」全文を語り、岡田朝雄先生が「ヘルマン・ヘッセと日本」と題し、ホワイトボード、パソコンからの画像の映写なども使い、わかりやすく、コンパクトに語ってくださいました。お話の最後に朗読した、ヘッセから高橋健二さんへ宛てた手紙は心に残りました。伊藤さんの35分間の語りのあと、コーヒータイム。司会進行は新部公亮さん。なお、「ヘルマン・ヘッセ昆虫展」は8月31日まで開催中です。ぜひお見逃しなく。
2010年08月22日 本日、ヘルマン・ヘッセの夕べ開催
本日18:00~、有島武郎別荘内一房の葡萄にてヘルマン・ヘッセの夕べを開催します。まだ席はございますので、直接、会場にお越し頂いても参加できます。参加費600円(飲み物付)。スクリーンを使ってのパソコンからの画像の上映もあります。終了は19:30頃を予定。
2010年08月21日 本日、軽井沢手づくり市開催!
本日、毎夏恒例の軽井沢手づくり市が開催されます。10時~16時。軽井沢タリアセン中央ゲート前(入園料不要)。明日22日、28日、29日も。きょうは約40のブースが立ち並びます。
2010年08月20日 明後日、ヘルマン・ヘッセの夕べ(ヘッセ展無料!)
8月22日(日)18時~19時30分まで、有島武郎別荘で「ヘルマン・ヘッセの夕べ」を開催します。岡田朝雄・日本昆虫協会副会長によるお話「ヘルマン・ヘッセと日本」、伊藤しのぶさんによる語り「少年の日の思い出」があります。参加量600円(飲み物付)。要予約(電話0267-45-1175)。なお、当日17時~18時までは、この夕べに参加される方に限り、「ヘルマン・ヘッセ昆虫展」(堀辰雄山荘)は見学料無料となります。
本日、日本経済新聞長野経済版に、「ヘルマン・ヘッセ昆虫展」に関する記事が出ています。
2010年08月19日 ドナルド・キーン
きのう、ドナルド・キーン氏がご来館、以前から存じ上げている元中公の方がご案内下さいました。「文士と宿 軽井沢展」を見学。キーンさんは日本文学の海外への紹介者として、本当に大きな役割を果たしてきた人物。『日本文学史』は大著。サイデンステッカーさんが先年逝去され、戦後、長年にわたって日米を往還してきたアメリカ人のもう一人の日本文化の深い理解者、キーンさんの健康を切に祈ります。
なお、きのう朝日新聞長野版にも文士と宿展記事が掲載されました。
2010年08月18日 8月21日有島別荘で音楽&朗読会
8月21日(土)夕方18時30分~、有島武郎別荘「一房の葡萄」でリコーダー&ギター&ヴィオラ・ダ・ガンバと朗読による軽井沢の夕べを行います。有島武郎らの作品朗読とリコーダー演奏。料金は1700円(ドリンク&ケーキ付)。要予約。電話0267-45-1175。
2010年08月17日 文士と宿展各紙掲載
「文士と宿 軽井沢展」はこれまで次の新聞に紹介されました。日本海新聞(7月9日)、岐阜新聞(7月10日)、静岡新聞(7月10日夕刊)、宮崎日日新聞(7月12日)、信濃毎日新聞(7月13日)、京都新聞(7月13日)、愛媛新聞(7月20日)、神戸新聞(7月22日)、埼玉新聞(7月27日)、中国新聞(7月27日)、四国新聞(8月1日)、毎日新聞夕刊(8月2日)ほか(こちらで把握している分)。今回のテーマは「文士と宿」という親しみやすい、一風変わったテーマなので、ぜひできるだけ多くの方に見ていただきたいと思います。
なお、本日の信濃毎日新聞信州ワイドに、ヘルマン・ヘッセ昆虫展の紹介記事が載っています。先日見えた記者の人は、私が1時間ほど案内したあともさらに1時間ほど昆虫展会場に残り、ずいぶん熱中してご覧になっていたようです。面白かったですとおっしゃっていました。
2010年08月16日 福岡伸一、水野和夫
朝日新聞に8月11日~15日まで5回にわたり連載されていた「夏の基礎講座」は、普段の私自身の知の偏りを矯正するのに大変役立ちました。私がとくに面白く読んだのは1時間目の福岡伸一さんと、3時間目の水野和夫さんでした。福岡さんは分子生物学者。水野さんはエコノミスト。水野さんはNHKラジオによく出演なさっていて、私は印象に残っています。
ところで、へルマン・ヘッセ昆虫展会場に、福岡伸一さんがへルマン・ヘッセ昆虫展を見た(マロニエ昆虫館での)感想を記した文章が掲載された雑誌を展示しています。とてもいい文章です。
2010年08月15日 「文士と宿 軽井沢展」余話7
コーナーIVは、「往時の軽井沢の宿」。大正・昭和初期の軽井沢の客室を再現しています。具体的には、万平ホテルで明治時代から客室で使われていた箪笥、ライティングデスク。このライティングデスク、一見新しそうに見えますが、今回の展示のために塗りなおしたもので、じつは相当古いもの。多くの文士がこのデスクでペンを走らせたと想像してください。デスクの上には、室生犀星愛用の万年筆、犀星が芥川龍之介夫人にあてた直筆の手紙がさりげなくのっています。そのほか、万平ホテルのサロン室にあったモダンなデザインの椅子。壁面には山本鼎「浅間山」(油彩)。大きな樹木がないのに注目してください。星野や軽井沢に掛けてあったものをお借りしてきました。また南薫造の油彩。この絵を飾った理由は、描かれている建物にあります。ここに描かれているのは、グラント将軍ゆかりの建物。グラントはのちのアメリカ大統領。横浜・三渓園にあったこの建物を大正期に星野に移築し、ここで内村鑑三はじめ、幾多の文人たちが過ごしたのです。……といったように、一つ一つが、往時の軽井沢の宿ゆかりのものです。最後にもう一つ。猫足。万平のバスタブを支える足は、猫の足をデザインして作られています。その猫足(金属製の重い物)がそっと置かれています。
2010年08月14日 8月22日にヘルマン・ヘッセの夕べ
8月22日18時~19時半まで、ヘルマン・ヘッセ昆虫展の関連イベントとして、語りと講演の会を有島武郎別荘内ライブラリーカフェ・一房の葡萄にて行います。ヘルマン・ヘッセ『蝶』(岩波書店)の訳者でもある岡田朝雄さん(日本昆虫協会副会長)による講演「ヘルマン・ヘッセと日本」、語り部の伊藤しのぶさんによる語り「少年の日の思い出」があります。岡田さんはヘッセから「少年の日の思い出」新聞掲載記事を手渡され、日本に紹介したドイツ文学者高橋健二さん(追分に別荘がありました)の教え子。シュナック『蝶』(岩波文庫)の訳者でもあります。ぜひご参加ください。参加費600円(コーヒー付)。要予約(電話0267-45-1175高原文庫まで)。
2010年08月13日 「文士と宿 軽井沢展」余話6
コーナーIIIは星野温泉。大正4年創業の星野温泉には、その初期から多くの文人墨客が泊まった事が、今回の展示物から明らかです。このコーナーは自筆資料満載の、中身のぎっしりつまったコーナーになっています。昭和初期と思われる駄弁会の掛軸。10人ほどの文人・画家の寄せ書き。また内村鑑三の大きな書「星野遊学堂」(扁額)。速水御舟から星野温泉主人に宛てた手紙、横山大観の竹林図等々。ほかに星野ゆかりの土井晩翠、中西悟堂の歌。鎌倉円覚寺の釈宗演が書いた「明星館」看板も飾りました。内村鑑三が星野の別荘で使っていた机と椅子も。時代は大正初期から戦後まで。このコーナーひとつでも、小さな展覧会ができるほどです。
2010年08月12日 仏教伝来
先日、常楽寺美術館(上田市)で8日まで開かれていた特別展を見に行ってきました。国宝・重文十数件という、民間のささやかな美術館が催す展覧会にしては破格の、中身のぎっしりつまった美術展でした。それもそのはず、延暦寺の現在の座主はこの常楽寺の半田住職であるからです。延暦寺、東博ほか、名だたる仏教関係コレクションをもつ団体が出品していました。聞く所によれば、京博のk氏が尽力したとか。さて、私の関心は、この展示のテーマの一つ、法華経にもありましたが、同時に、常楽寺美術館がちょうど高原文庫の展示室くらいのサイズであることに気づいたことによって、いろいろ夢想がひろがっていきました。常楽寺開基は慈覚大師円仁。
きのう、下野国大慈寺、村檜神社(本殿は国重文)を見て来ました。大慈寺は円仁が幼少期を過ごした寺。私の学友、住職の林慶仁君にも会うことができました。
2010年08月09日 俵万智さん
一昨日の高原文庫の会終了後、俵万智さんが、ショップで販売していたご自身の最新刊『ちいさな言葉』(岩波書店)に目をとめられ、私もこれ一冊、買って行きます!、と購入なさっていました。
これは小学1年生になるお子さんとの、数年間の心温まる交流について書いた珠玉のエッセイ集で、本当に素敵な本です。
2010年08月08日 高原文庫の会終わる
きのう、暑からず、寒からずの快晴の下、高原文庫の中庭で、高原文庫の会が開催されました。参加者約130名。俵万智さん、矢代朝子さんが軽井沢の歌人たちの歌を40~50首、一首ずつ読み解いて下さり、ぐっと歌の世界が近づいて感じられたのは私だけでしょうか。加賀館長も非常に面白かったと、マイクをとりました。この歌は滞在しなければ作れませんよね、日帰りでは…、などそのつどのコメントも興味深く聞きました。なお、昼頃、北杜夫先生ご一家がご来館になりました。
2010年08月07日 本日、高原文庫の会
本日8月7日(土)午後1時~、「軽井沢高原文庫の会」を当館中庭で行います。午後1時~俵万智、矢代朝子両氏の対談「軽井沢の歌人たち」、午後2時頃~ガーデンパーティ。参加費一人2000円。どなたでも参加できます。本日⒓時~、会場入口で受付を設けます。
2010年08月06日 「文士と宿 軽井沢展」余話5
IIはつるや旅館。つるやは文字通り、文士の宿と言う言葉がぴったりする宿。圧巻はやはり大正13年、14年夏の芥川龍之介、室生犀星、堀辰雄、片山廣子といった人たちのつるやでの交流でしょうか。そこへ萩原朔太郎が前橋から妹2人を連れて訪ねてきます。大正13年の様子は室生犀星「碓氷山上之月」に描かれています。
つるやと文士の関係は、大正9年に室生犀星が初めてつるやに宿泊、大正12年
に堀辰雄(当時19歳)が初めてつるやに宿泊した頃から。大正元年に正宗白鳥が伊香保から訪れ、宿泊した可能性がありますが、確定できず。今回、従来より言われている谷崎潤一郎とつるやの関係についても、確たる証拠を得ることができませんでした(芦屋市谷崎潤一郎記念館にご教示)。
このコーナーでは、大正12年に堀辰雄が父に宛てた葉書2通、北原白秋と芥川龍之介の寄せ書き、片山廣子『野に住みて』ほかを展示。断章パネルは志賀直哉から妻への手紙(この内容もまた興味深い)を飾りました。
2010年08月05日 ヘルマン・ヘッセ昆虫展で資料追加
8月1日からスタートしたヘルマン・ヘッセ昆虫展で、昨日、資料をさらに8点ほど追加展示しました。ヘルマン・ヘッセが少年時代に眺めていた蝶類図鑑と同じものや、「少年の日の思い出」ドイツ語冊子(郁文館刊、高橋健二あとがき)など。きのう、このヘッセ昆虫展を見に岡谷市からきたという男性は、期待した以上によかったですと語り、帰りがけにヘッセの『郷愁』『クヌルプ』『車輪の下』(新潮文庫)3冊を買っていかれました。
2010年08月04日 「文士と宿 軽井沢展」余話3
今回、展示はIからVIIIまでの8部構成となっています。Iは万平ホテル。軽井沢のランドマークの一つともなっている現在のホテル外観は昭和10年に建てられた久米権九郎設計のもの。この建物、スイスのシャレーをイメージして設計されたと一部伝わっていますが、実は佐久地方の養蚕農家を参考にしたとのこと。万平ホテルは明治27年に亀屋ホテルとして軽井沢メインストリートに誕生し(前身は旅籠亀屋・江戸中期創業)、明治35年に現在の桜の沢に移転、新築。今回は、明治35年に2代目佐藤万平(国三郎)が出した手紙(封筒のみ)、初期の珍しい写真、複数のパンフレット&タリフ、タグなどを展示。ホテルにあった椅子や家具をすべて描いた自筆スケッチなど見ごたえがあります。断章パネルは堀辰雄「聖家族」、川端康成「百日堂先生」を用意しました。Iは文人や作品に焦点を当てるというより、避暑地軽井沢の黎明期の時代背景の一端を垣間見るような、そんな紹介の仕方になっています。
2010年08月03日 中村稔「文学館学展示篇」了
「日本近代文学館」に12年間連載されていた中村稔「文学館学序説のエスキスのために」が2010年7月、「展示篇」12をもって終了しました。最終回の末尾に記された中村稔先生の次のような言葉は実に胸にこたえます。「どれだけ展示企画に精力を傾注してきたか。どれほど構成に頭脳を絞ってきたか。文学展の核心にふれるような開催の趣旨を説明するために、分かりやすい文章を練り上げてきたか。各区分について来館者の心に訴えるような情熱的で明晰な解題を書いてきたか。キャプションをどれだけ考え抜いて書き上げたろうか。それらの組み合わせによる効果を討議したろうか。ありあわせの展示棚、展示ケースを安易に使用して、真に望ましい展示の在り方をなおざりにしてきたのではないか。…」これらは私が毎回、格闘してきた問題でもあるからです。
2010年08月02日 歌人たちが詠んだ軽井沢
俵万智さん出演の「高原文庫の会」が8月7日午後1時から、高原文庫中庭で開かれます。参加費2000円。どなたでも参加できます。要予約。当日は、軽井沢で読まれた短歌を歌人の俵万智さんと、女優の矢代朝子さんが楽しいおしゃべりで読み解いていきます。北原白秋、与謝野晶子、若山牧水、土井晩翠、片山廣子、葛原妙子、……。本当にたくさんの歌人たちがいますね。なお、このテーマでのお話は文庫では初の試みとなります。どうぞお楽しみに。
2010年08月01日 「文士と宿 軽井沢展」余話3
さて、いよいよ展示会場に入ります。加賀乙彦館長のごあいさつパネルに続き、ウィリー・ザイラーの銅版画「万平ホテル」が掛けられ、「はじめに」となります。会場は反時計回り。
きのうは、星野リゾートの星野社長や星野常務、東京広報の瀬田さんが矢代朝子さんの案内で来館、私はヘルマン・ヘッセ昆虫展の準備で11時頃から堀辰雄山荘に籠もりきりでした。新部さんのお手伝い。こちらも興味深い内容となりました。クジャクヤママユってご存知ですか?
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2010年07月31日 ヘルマン・ヘッセ昆虫展明日から堀山荘で
「ヘルマン・ヘッセ昆虫展~『少年の日の思い出』~」が明日から、堀辰雄山荘内で始まります。きょうの昼間、飾りつけを行います。日本昆虫協会の協力。どうぞお楽しみに。去年開催して好評だった「どくとるマンボウ昆虫展」に引き続いての企画です。見学には文庫チケットが必要。
会期中の8月22日(日)18時~19時半まで、講演&語りの会が有島武郎別荘「浄月庵」であります。伊藤しのぶさん(語り部)による語り「少年の日の思い出」と、岡田朝雄さん(東洋大学名誉教授・日本昆虫協会副会長)による講演「ヘルマン・ヘッセと日本」。参加費600円(コーヒー付)。要予約(高原文庫0267-45-1175)。
2010年07月30日 「文士と宿 軽井沢展」余話2
2階展示室に向って階段を上がると正面に、「文士と宿 軽井沢……」のポスター・チラシに使われたタイトル文字が飛び込んできます。この文字、ブックデザイナーの熊谷博人さんが今回のためにつくってくれたもの。それから、タイトル文字の下に檜の額に収められた6つ切大の写真が2枚、飾られています。明治時代に撮影の浅間山(上)と、軽井沢メインストリート(下)です。初期の軽井沢を象徴する写真2枚を飾ることで、展覧会の導入としたわけです。
2010年07月29日 「文士と宿 軽井沢展」余話
7月24日から始まった「文士と宿 軽井沢展」にはこれまでの展覧会と違う、さまざまな試みがなされています。その一つ。2階展示室へ上がっていく階段の両壁に、明治45年の軽井沢駅の写真や、上野長野間主要駅発車時刻(昭和6年)、軽井沢附近遊覧案内(大正14年)などを大きく掲示し、文士たちが避暑地軽井沢を旅人として大正・昭和初期に初めて訪れた当時の状況を再現しています。これは見る人にも、軽井沢に着いたという気持ちにさせ、文士たちと同じ目線に立たせる仕掛けになっています。当時は天然氷製造業や人力車組合など、さまざまな職種があったのですね。
2010年07月26日 8月7日は俵万智氏出演の高原文庫の会
8月7日は俵万智さん出演の高原文庫の会があります。午後1時~。高原文庫裏庭。会費2000円(ガーデンパーティ費込み)。どなたでも参加できます。要申込み。「軽井沢で詠んだ歌って?」(俵万智・矢代朝子対談)。
2010年07月25日 「文士と宿 軽井沢」展スタート!
「文士と宿 軽井沢」展がいよいよきのうからスタートしました! ずっと準備にかかりきりになっていて、この日記も記せませんでした。お詫びします。きのう初日は、とくにレセプションもなく、静かにスタートしましたが、中西悟堂や正宗白鳥のご遺族の方がご来館くださいました。また内村鑑三の縁者の方も。どうぞぜひお出掛け下さい。
2010年07月08日 軽井沢検定合格者は20施設無料
このところ、毎日にように、今年2月に行われた第1回軽井沢検定合格証パスをもった方が来館されています。このパスをもっていれば、軽井沢の主だった文化施設20施設が無料になるという特典がついていて、高原文庫もその対象に含まれているため。有効期限は2年。小さな流れではありますが、新しい流れです。なかには、ショップで、8月の試験に備え、参考図書として本を買い求める人もいます。
2010年07月06日 H.ノーマンとE.ライシャワー展終了
4月24日から6月30日まで堀辰雄山荘で開催してきた「H.ノーマンとE.ライシャワー展」は、好評により7月5日まで5日間延長して、昨日終了しました。H.ノーマン生誕101年、E.ライシャワー生誕100年を記念してのもの。このテーマのヒントは、今年1月、朝日新聞長野版に掲載された北原さんという未知の方(元清泉女学院短大教授)の小さなコラムから得ました。会期中、ノーマン研究家の中野利子さんもご来館くださったり、軽井沢ナショナルトラストでは会員にこの催しのチラシコピーを送ってくださいました。ご協力くださった皆様に厚くお礼申し上げます。
2010年07月03日 「文士と宿 軽井沢」展の準備進む
7月24日から始まる軽井沢高原文庫の開館25周年記念特別展「文士と宿 軽井沢~万平ホテル・つるや旅館・星野温泉で過ごした日々~」の準備をいま、進めています。ポスター・チラシ等もできあがり、すこしずつ送付・配布しているところです。8月7日(土)13:00~、俵万智さんと矢代朝子さんの対談、9月4日(土)14:00~、星野佳路さんのお話(矢代朝子さん・聞き手)の関連イベントもあります(いずれも要予約)。どうぞお楽しみに。
2010年07月02日 美の壷で軽井沢特集
NHK教育テレビ「美の壷」で軽井沢が特集されます。
放送日時は次の通り。7月9日(金)教育テレビ22:00~22:24。以下再放送。7月11日(日)教育テレビ24:15~24:39。7月13日(火)BS2 15:25~15:49(大相撲期間は休止)。7月16日(金)総合11:05~11:29(首都圏・東北を除く地域)。7月17日(土)総合5:15~5:39(近畿地方以外の地域)。7月17日(土)BSハイビジョン 7:00~7:24。
なお、軽井沢高原文庫に移築された堀辰雄山荘の様子や、塩沢湖畔に移築された旧朝吹山荘「睡鳩荘」も映像の一齣として流される予定です。
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2010年06月30日 記憶の建築十選(続)
先回ご紹介した日経連載のこの記事、ここに「建築十選」に選ばれた建築家名だけ列挙します。アントニン・レーモンド、坂倉準三、前川国男、吉阪隆正、同潤会、吉田鉄郎、吉村順三、丹下健三、村野藤吾、村松正恒(掲載順)。私が示唆を受けたのは吉阪隆正、村野藤吾、村松正恒などでした。とくに最後の村松正恒という人は、私は初めて知った人でしたが、愛媛県の八幡浜市の日土(ひづち)小学校を設計した、八幡浜市の建築技師。この小学校は、大きな窓とゆったりした空間構成、川側に張り出した図書館とテラスなど、どこを見ても明るく軽快で、モダンな雰囲気に満ちているといいます。弱者の立場に立ち、建築は自然で簡素であれを信条とした建築家が勢力を注いだ空間だということを知り、なぜこの人が選ばれたのか、大いに納得したものでした。
2010年06月28日 読売「追悼抄・堀多恵子」
読売新聞の「追悼抄」欄に、堀多恵子さんが登場しました(軽井沢は2010.6.27朝刊、東京はその前日夕刊)。タイトルは「夫の文学 見つめ続けて」。筆者は長野支局の前田啓介。生前、実際に取材で会ったインタビューから筆を起こし、堀さんの生涯と人柄を、家族の証言も交え、よく伝えています。この記者、堀さんに会ったのは1回限りのようですが、こうした記事が書けたとは、チャンスを逸しなかったと言うべきでしょう。
2010年06月21日 記憶の建築十選
日経文化欄に断続掲載されている表題コラムが今日で7まできました。筆者は松隈洋。副題が「昭和の公共空間」と付けられたこのコラム、なかなか面白く、私は門外漢ながら、次は誰の登場か、誰の何の建築が取り上げられるか、楽しみにしています。アントニン・レーモンドでスタートし、坂倉準三、前川国男…と続いてきたこのコラム、やがて今日の吉村順三の登場は予想されたこと。私はこれら人たちの建築と、日頃から身近に接しているので、このコラムを親しみをもって読めるのです。これはモダニズム建築の源流を探るひとつの試みと言えます。ソフトな語り口で、物語性も交え、建築家の人となりをわかりやすく説明してくれる筆者の力量には安心感を覚えます。私の次なる関心は、8,9で誰が選ばれ、誰で収束するか、です。
2010年06月19日 坂井光世イベント、本日あり
フラワーデザイナーで樹医の坂井光世さんのイベント、「鳥の巣・卵・野の花たち」が本日あります。10時~14時。深沢紅子野の花美術館の催し。3年前から、5月、7月、9月と季節を少しずつ変えて開催している好評イベントの4回目。私は主催者として毎回、参加者の方々と行を共にしています。遠くは横浜や埼玉・本庄、県内も松本などから集まってきます。なお、今日は薔薇の祭典の初日でもあります。坂井さんは堀多恵子さんのご葬儀の際も、教会内部の正面を花で飾られた方。今日は、花のお話とデモンストレーションのあと、ソネットで食事をし、バラ園を散策し、午後には軽井沢町植物園で新井園長にご案内をしていただく予定。
2010年06月18日 通信76号
通信76号の編集にきのうからとりかかっています。堀多恵子さんが4月にお亡くなりになり、体の一部が空洞になったような状態から完全に脱しきれていませんが、堀多恵子氏の追悼ページもぜひつくりたいと思います。岩波の「図書」を最近見ましたら、あとがきに編集子が堀多恵子さんを追分に訪ねた思い出を数行、書かれていました。堀さんと40年ぶりの再会を果たした印象を、簡潔に、的確に書かれていました。
2010年06月17日 「文士と宿 軽井沢」展
「文士と宿 軽井沢」展の準備を進めています。7月24日~10月11日まで。この展示は従来とりあげてきた特定の文学者や時代でなく、「宿」に焦点を当てたところに大きな違い、新鮮さがあります。そのために試行錯誤しています。ポスター、チラシの色校がきのう出てきました。これから展示の内容について、じっくり構えて、構想を練りたいと思います。
2010年06月16日 「深沢紅子展 親しいひと 優しいひとたち」本日からスタート
深沢紅子野の花美術館では今日から「深沢紅子展 親しいひと 優しいひとたち」がスタートします。9月26日まで。無休。1985年、東京・日本橋高島屋で紅子81歳の時に開催された同名の新作展から、軽井沢にゆかりのある堀辰雄夫人・多恵子氏、作家・児童文学者の石井桃子氏らの作品を集めて展示したもの。じつに25年ぶりの同展の軽井沢版。高原の夏を彩る花々を描いた水彩作品約35点も同時展示。
2010年06月14日 生き物文化誌学会第8回学術大会(続)
きのう午前中、マダガスカル島を特集した研究発表、シンポジウムがあり、大会は終了しました。
2日間を通じ、私の中に残った疑問点、宿題をおもいつくまま記すと…。
詩人・小説家ゲーテは、政治家でもありましたが、学者でもありました。彼が学者として唱え、現在も生きている2つの説のうちの一つ、植物は種からでなく葉から芽をだすのが本来の姿ではないか。彼はベンケイソウ科の植物を見て、それを唱えたという。
コンピューター、およびコンピューターがつくりあげるもろもろのものも一種の生命ではないか、との聴衆の一人の発言に対し、某学会幹部はコンピューターは生命ではない、生き物も植物も水が必要だ、水なしでは生きられない、そこが決定的違いだ、と一刀両断したこと。本当にそうでしょうか?
マダガスカルはもともと無人島であり、数世紀前にまずアジア系の人が入り込み、高地を拓き、比較的新しくアフリカ系の人が島の南や西に移った。本当にそうでしょうか?
『古事記』はすべて陰陽五行説にもとづいて書かれている。つまり陰陽五行説ですべてが説明できる。本当にそうでしょうか?
2010年06月13日 生き物文化誌学会第8回学術大会
きのう、生き物文化誌学会第8回学術大会が軽井沢であり、一般発表、シンポジウムなど盛りだくさんの内容に、一日付き合いました。この学会の常任理事の秋篠宮さまも参加され、一般発表では何度も質問なさっていました。2003年設立の若い学会。きのうの発表も、ネパールのある羊飼いの薬草・香草の採集活動のフィールドワークもあれば、「『古事記』にみる火山と櫻」というテーマで陰陽五行説をもとに因幡の白兎などを解明する話もあり、じつにさまざま。その振幅の幅の広さに驚きました。その中で、シンポジウムに登壇した市民科学を構築する必要を説いた古在豊樹氏の話と、カエル研究のスペシャリスト、松井正文氏の話が、まったく素人の私には強く印象に残りました。
2010年06月12日 「谷川の絵で絵本仕立てに」
きのうの日経文化欄に載った小さな記事が目にとまりました。東京オペラシティアートギャラリーで開かれている「猪熊弦一郎展『いのくまさん』」の紹介。会場に足を踏み入れると大きな平仮名が目に飛び込んでくる。「こどもの ころから えが すきだった いのくまさん おもしろい えを いっぱい かいた」。続く壁には猪熊弦一郎の10歳前後の絵が並び、さらに進むと猫の絵がずらりとそろい、「いのくまさんは ねこも すき」とある。猪熊の作品に詩人の谷川俊太郎氏が文を添えた絵本の内容を美術館で再現した展覧会という。子供向けの企画かと思うと、代表的な大作から小さな彫刻まで並び、猪熊の長い歩みに触れることができる充実した展示という。一読、なんとなく行ってみたくなりました。ここには企画者の熟慮が感じられます。私はかつて、『猪熊弦一郎のおもちゃ箱』というタイトルの本で、すごく楽しませてもらった経験があります。
2010年06月10日 軽井沢を愛した作家の名作に耳を傾けてみませんか?
高原文庫の会員で、都内などで朗読をなさっている池富美子さんが企画されて、有島武郎別荘内のライブラリーカフェ「一房の葡萄」で今年は4回、軽井沢を愛した作家の作品の朗読会が行われます。日程と内容は次の通り。6月26日(土)野上弥生子「お加代」谷川俊太郎「クレーの天使」他(朗読:庄野輝子・池富美子)、7月24日(土)井上靖・源氏鶏太・堀辰雄(朗読:内藤和美ほか)、8月21日(土)有島武郎・立原道造・岸田衿子(朗読:藤村紀子ほか)、9月18日(土)北杜夫・室生犀星(朗読:池富美子ほか)。時間は13:30分~15:30。無料。但し、8月21日のみ、時間は18:30~20:00で、リコーダー他とのコラボレーションがあり、有料となります。
池さんは過去数年間、有島武郎別荘を使って断続的に朗読会をやってこられ、この別荘の空間を熟知された方。今回は池さんの先生や知人を誘っての充実したプログラムとなっています。どうぞお楽しみに。
2010年06月09日 短歌の会
ある短歌の会の全国大会が昨日までの3日間、軽井沢のホテルであり、私も誘われて少しだけ覗いてみました。女性が多い。非常に真剣そのもの。その熱気に圧倒されました。
きのうは、その会の参加者の方々が高原文庫を訪れ、私も堀辰雄山荘や有島武郎別荘、立原道造詩碑などをご案内しました。見学時間を1時間30分とってあったようですが、一つ一つの資料をじっくりご覧になるので、あっという間に過ぎてしまったようでした。
2010年06月07日 塩沢湖線急行バスは7月17日から運行
塩沢湖線急行バスの今年の運行は7月17日から9月26日までとなります。会期中無休。軽井沢駅北口バスターミナル1番から乗車。「塩沢湖」下車(高原文庫前)。
また、軽井沢美術館・観光循環バスは7月24日から11月3日までとなります。会期中無休。軽井沢駅北口バスターミナル1番から乗車。「塩沢湖」下車(高原文庫前)。
新幹線でお越しのお客様はご利用下さい。
アーカイブ 2010年5月
2010年05月31日 iPad
米アップルの携帯情報端末「iPad(アイパッド)」が28日、日本で発売されました。iPadの登場は、本にかかわる領域に限ってみても、今後、さまざまな影響を及ぼすことは必至でしょう。人によってはライフスタイルを大きく変える人も出てくるでしょう。電子書籍の値段が通常の紙の本のたとえば半額ならば、当然電子書籍の方へ多くの人は流れるでしょう。置き場もいらず、今後、電子書籍の品揃えが整ってくれば、何千点、何万点を一人の人が電子書籍で購入する、というケースは出てくるはず。
巨大な図書館にかわって、最小のコンピューターに全世界の文字やヴィジュアル情報が収納されるという畏怖すべき出来事が、そう遠くない日、実現するのでしょう。
ところで…。いま、私の周りでは、朝の鳥たちがさかんにさえずっています。きのう、私は東京のあるお宅の庭で、シロという追分生まれの柴犬と会い、言葉を交わしました。彼女はなぜだか、きょうは食がすすまないと言っていました。
2010年05月29日 宇沢弘文ふたたび・続々
まずお詫びいたします。宇沢弘文「私の収穫」が本日8回目をもって終わりましたが、最終回は人物でなく、「アスワンハイダム」でしたから(5.29朝日新聞)。しかし、書かれているのは、アメリカで出会ったエジプト人のE君をめぐる出来事。アスワンハイダムの撤去の失敗という苦い思い出。
宇沢弘文氏について、今後書くことはないと思われますので、四度取り上げますが、この8回の文章には、人との不思議な縁を大切にしている、言語や国境を軽々と越えている、環境や平和など地球規模での国際的視点がある、民主主義のルールに重きを置いている…、そういったものが背後にたしかに感じられ、それが私には魅力的なもの、学ぶべきものとしてどうも映っていたようです。しかし、それは文学・芸術とも一脈通じるところがあるのです。
2010年05月28日 宇沢弘文ふたたび・続
宇沢弘文「私の収穫」欄の本日の題は、「李登輝」(朝日新聞5.28朝刊)。のちの台湾総統。この短文に込められた宇沢氏の思いをここに略述することは困難。国家のあり方の根幹に関わる重要な問題が李登輝の生きざまと志を通じて紹介されています。興味のある方は新聞をご覧ください。
私の予想通り、7回すべて、人物に終始しました。
ところで、このシリーズ、まだ続くのでしょうか? アメリカ、バチカン、
中国、日本、台湾と舞台は巡りました。スパイラル状に。
2010年05月27日 人工生命
人工的に合成した細菌のゲノム(全遺伝情報)を別の細菌の細胞に組み込み、生きた細菌を作ることに成功したと、米国のクレイグ・ベンダー博士が率いる研究チームが20日付の米科学誌サイエンス(電子版)に発表しました。このニュースは、驚くべきニュースであります。私は手に入るニュースを集め、このことについて考えていますが、これは私たち人類が新しい段階に入ったことを紛れもなく示しています。つまり、ここでつくられたものは親がコンピューターである初の生物種なのですから。
2010年05月26日 「鳥の巣・卵・野の花たち」イベント
フラワーデザイナーで樹医の坂井光世さんを講師に、4年前から時期を変えておこなってきた深沢紅子野の花美術館主催のイベントを今年は6月19日に開催します。今年のテーマは「鳥の巣・卵・野の花たち~生ける、見る、散策する~」。スケジュールは午前10時美術館集合、坂井さんのお話とデモンストレーション、11:15からレストランソネットで食事、軽井沢タリアセン内の湖畔散策(薔薇の祭典初日です!)、1時から車で軽井沢町立植物園へ移動し、新井園長のご案内で見学という内容。2時解散。定員25名。参加費2500円(食事込)。お申込みは美術館0267-45-3662まで。初めての方にも分かるように、坂井さんが奥深い花の世界にご案内します。
2010年05月23日 英国ナショナルトラスト展、本日終了
旧朝吹山荘睡鳩荘で開かれている英国ナショナルトラスト展が、本日をもって終了します。37日間ほどでしたが、ご覧頂いた方々に心からお礼申し上げます。写真家森下茂行さんとは、18年ほど前に渋谷の事務所で初めてお目にかかり、1992年の軽井沢高原文庫での英国ナショナルトラスト展に写真協力をいただいたのがご縁でした。その時、約3万キロを車でイングランドを走破してN.T.のプロパティーを撮影したとうかがい、その熱意と行動力に心打たれたものでした。今回は、場所を変え、規模を縮小しての展示でしたが、睡鳩荘が英国領主館風の造りであり、建物を建てた朝吹常吉氏は英国留学経験のある人物でしたので、まさに内容にぴったりの場所であったと思っています。
2010年05月22日 若葉の季節
若葉の美しい季節となりました。標高1000メートル内外の軽井沢では、この5月20日前後というのは他の時期にない大きな魅力をもっています。日一日と緑が増し、足元にはサクラソウや多くの種類のスミレ、タンポポが咲き乱れ、早朝の野鳥たちの囀りのかまびすしいこと! 樹木ではいま、ツツジが赤やオレンジの花を、またコナシが白い花をいっぱいつけています。高原文庫の建物の一角を使って、今年もまたシジュウカラが巣づくりをしています。
2010年05月21日 宇沢弘文ふたたび
朝日新聞本日朝刊、宇沢弘文「私の収穫」欄5回目。人物は予想外の人でした。ヨハネ・パウロ二世。宇沢氏は「ヨハネ・パウロ二世のお手伝いをしたのは、私の人生でもっとも厳粛な、感動的なときであった。」と文章を結んでいます。私も厳粛な気持ちで、この短文を読ませていただきました。興味ある方は、新聞をご覧ください。
この文章からは、理論経済学者宇沢氏の学問領域をこえた、国際認識をもった良識ある知識人の姿が浮かび上がってきます。
2010年05月20日 軽井沢にパイプオルガン5つあり
軽井沢にはパイプオルガンが少なくとも現在、5つあるとか。先日、堀多恵子氏の葬儀があった追分教会には、バッハなどの曲向きのドイツ風の音色のパイプオルガンがあります。中軽井沢の大沢さんご夫妻の家にもあり。こちらはフランスの曲向きの明るい音色とか。また旧軽井沢に一つ、聖パウロ教会にもう一つ。それから白樺台のレストラン風雅にもあります(ただいま休業中)。
2010年05月19日 『木村蒹葭堂のサロン』続
中村真一郎『木村蒹葭堂のサロン』を読んでいます。これは『頼山陽とその時代』『蠣崎波響の生涯』の作品系譜に属する作品で、刊行は没後。中村先生自身、中年に神経症を病み、江戸期の漢詩文に接することでわずかに精神の安定を得ることができた、そうした中で生まれたのが『頼山陽とその時代』でした。『木村蒹葭堂のサロン』には山陽も波響も頻出し、爛熟期の江戸知識人たちが憧れた「社交人」的文化的「共和国」が縦横無尽に描かれています。「山陽のように学問を愉しみ、波響のように芸術に遊び、蒹葭堂のように社交生活に明け暮れるというのが、私の地上天国の夢であった。」とは筆者の言(32P)。
2010年05月17日 バラとガーデニングショウ
きのう西武ドームで開かれている第12回国際バラとガーデニングショウへ行ってきました。今年のテーマは「ピーターラビッットの庭仕事ーー英国湖水地方の街から」。そのせいか、強く印象残ったのは、特別企画「ピーターラビッットの庭仕事」、マーク・チャップマン、清水工業など、このテーマ関連のものでした。あと、導入の圧倒的物量を誇るローズ・アベニュー(鈴木満男・京成バラ園)。
ところで、軽井沢のバラは6月中旬~で、あと1ヶ月先となります。タリアセンのイングリッシュローズ・ガーデンは6月下旬~7月上旬がほぼ見頃と予想されます。今年の薔薇の祭典では昨年に引き続き假屋崎省吾さんが睡鳩荘、塩沢湖の各所を花で飾ります(イベントも6月26日にあり)。
2010年05月15日 宇沢弘文
宇沢弘文「私の収穫」(朝日新聞)が4回目で、舞台はアメリカから中国に移りました。5月15日付のタイトルは「趙紫陽」。ヴェブレン、フェスティンガー…と、これまですべて個人名。おそらく5回目もそうなるのでしょう。今回のを読み、その生々しい記述に驚く一方、中国の底力を感じないわけにはいきませんでした。数ヶ月前、同紙に掲載された伊東光晴「周恩来」を読んだ時と似た感懐をもちました。宇沢氏は『地球温暖化を考える』『社会的共通資本』などの著者。経済学者。
2010年05月14日 『木村蒹葭堂のサロン』
この2,3日、中村真一郎『木村蒹葭堂のサロン』を身近に置いて、ところどころ、読んでいます。おとといは竹田(ちくでん)と蒹葭堂のかかわりの部分、きのうは冒頭部や、波響(はきょう)との出会いの部分といったように。大坂・蒹葭堂邸には、身分や貧富の差、地域を越えて、詩歌や絵画、学問や本草学等々を愛する人々が、次から次へ西から東から訪れていたことが分かります。屋敷内外はさながら私設博物館となり、中村先生は蒹葭堂の妻を博物館学芸員とも表現、魅力的な一大サロンが描かれています。
2010年05月10日 訂正、新美術館
この欄で、塩沢湖近くにできる新美術館について記しましたが、そのさい、来年開館と書きましたが、今秋とのことです。記してお詫びいたします。名前は千住明美術館。18号バイパス沿い。
2010年05月09日 辻・磯崎対談反響あり
「通信」75号(4月20日発行)に掲載された辻佐保子・磯崎新対談に対し、さまざまな反響が出ています。とても面白かったという方、5部送ってほしいという方、長らく音沙汰なかった方から今後はこちらに送ってほしいという方…。以前、相馬雪香さんのインタビュー記事の時のことを思い出します。
辻・磯崎対談は、昨夏の文学サロンの記録ですが、これは通り一遍の対談といったものではなく、30年以上、すぐ隣同士で夏を過ごし続けてきた辻邦生夫妻、磯崎新夫妻という、文学・建築・学問に関わる人たちの、長年の親密な交友がもたらした、とても興味深いお話なのです。磯崎さんが設計なさった辻山荘を中心に話は回転していますが、それだけではないことが、読むとお分かりになります。一読に値する内容です。
2010年05月08日 読売「堀辰雄」新連載スタート
本日より、読売新聞長野版で堀辰雄の新連載(「足あと発見」)がスタートしました。地元記者が作家の足跡をたずね、紹介するというシリーズ。5~10回程度断続掲載予定とか。第1回のテーマは「つるや旅館」。堀辰雄の『美しい村』に登場するつるや旅館の先々代当主の次男・佐藤次郎氏(83)のコメントが載っていて、興味深く読みました。
2010年05月07日 追悼・堀多恵子展にさらに絵画1点追加
追悼・堀多恵子「堀辰雄・多恵子展」にさらに1点、深沢紅子が描いた堀多恵子像(タイトル「青い小さな本」)を追加展示しました。25号。油彩。これは1985年日本橋高島屋で開催された個展「親しいひと 優しいひとたち」に出品されたもの。
きのうはイタリア文学者河島英昭氏がご来館になりました。「堀辰雄・多恵子展」をご覧になるために。また、五島茂・美代子夫妻について、私の知らなかったことを教えていただきました。
2010年05月06日 「軽井沢free」はBooks&Cafe特集
毎年、軽井沢を特集する雑誌が刊行されますが、そのうちの一つ、「軽井沢Free」2010~2011年版(毎日新聞社発売)は、今年はBooks&Cafeを特集しています。「本」という、やや時代に逆行するかのようなものをあえて前面に出し、森の中で「お気に入りの本とコーヒーで過ごす幸せ時間」をススメています。その視点でいくと、取り上げるのは本が読めるカフェであり、コーヒーが飲める本屋さんであり、あるいは森の中で風の中で読書を愉しむということ。
電子ブックが勢いを増しそうな予感がありますが、紙という2千年来、人類が慣れ親しんだ素材は今後どうなるのでしょうか?
2010年05月05日 子どもの人口29年連続減
きょう5月5日はこどもの日。日本の子どもの人口は29年連続減、と日経紙が報じています。総務省発表。子どもというのは15歳未満。地方での少子化傾向が目立つとのこと。日本の総人口に占める割合は13.3%で、アメリカの20.0%、中国の18.5%、韓国の16.8%と比べても低い数字。これは今後、どのよう好影響、あるいは悪影響がでるのでしょうか。少ない人口で多くの高齢者を支えるという、国の体力の問題にも直結します。また活力ある地域づくりには若い人の力がぜひとも必要です。
2010年05月04日 学芸員実習生の受け入れ
今夏は学芸員実習生の受け入れを3人、予定しています。毎年、一人は受けていますが、3人は多いほう。期間は一週間程度。ほかにも問合せがあったので、就職難というか、今の世相を反映しているのでしょうか。昨年、展覧会でお世話になった学習院大史料館のIさんの話では、毎年80人くらいの学生が実習を受ける、とおっしゃっていました。
けさの朝日新聞朝刊に、博物館学の専門家の話が載っていました。中身が数十年まったく変わらない、時間が止まったような館がある。ではどうするか。学芸員を配し、中身を作り続け、生き生きした活動を展開していかなければ博物館の意味がない、とこの人は言います。私も同感。
では、博物館は何のためにあるのか。それは「知」の発見であり、不思議発見であると私は思っています。さまざまな好奇心、疑問に、実物でもって答えてくれる。たんなる知識でなく、心底、感動を与えてくれる場。生きる力を与えてくれる場。
2010年05月03日 堀多恵子氏ご逝去(続々々々)
堀多恵子氏がご逝去になり、半月ほどたちました。私は堀さんから以前いただいた『山麓の四季』や『来し方の記・辰雄の思い出』、『堀辰雄の周辺』などの著書、堀井正子さん編の『山ぼうしの咲く庭で』(堀さんの聞き書き)、最近養女の和世さんからいただいた遺著『雑木林のなかで』を時折開いては、これという順序もなく読み返し、堀多恵子さんのこの世での生を理解しようとしています。
文庫の2階展示室の追悼・堀多恵子「堀辰雄・堀多恵子展」を見るため、きのうも会員の方が何人もご来館くださいました。
2010年05月02日 サクラ咲く
ようやく軽井沢でも桜が咲きだしました。エッ、今頃?と思われるかも知れませんが、咲き始めたのはまだほんの一部。今年は例年より遅い開花です。
でも、これから暖かい日が続きそうですので、おそらくこの連休後半には見頃となるでしょう。
コブシが咲き、地面にはカタクリが可憐な姿を見せています。ようやく高原に春が訪れました。
2010年05月01日 北杜夫氏、ご来館
4月29日午前、北杜夫先生が喜美子夫人、長女の斎藤由香さんと3人で来館され、現在開催中の「文学に描かれた軽井沢120年の物語」および「堀辰雄・多恵子展」をご鑑賞になりました。
北先生は昨年、大たい骨を骨折され、今も自宅で毎朝1時間はリハビリ中とか。でも、由香さんに介添えれ、文庫の急な階段もスイスイ上がっていかれました。お元気になられ、本当によかったです。
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2010年04月28日 あすから「野の花」で西真里子展
あすから深沢紅子野の花美術館で西真里子展を開催します。「野の花とあそぶ」展の会場の一角を使い、深沢紅子に師事した西真里子さんが昨年、一水会賞を受賞したのを記念して、受賞作「風の薫に誘われて」(2009)をふくむ近作8点を展示します。6月6日まで。
2010年04月27日 H.ノーマンとE.ライシャワー展開催中
4月24日から堀辰雄山荘の一室で、「H.ノーマンとE.ライシャワー展」を開催しています。H.ノーマンとE.ライシャワーの写真・著作約50点を展示。安藤昌益の研究家渡辺大濤がH.ノーマンに自然真営道資料を貸した際の渡辺のメモや、ノーマンの名刺なども飾られています。昭和23年頃。渡辺一夫「ノーマンさんは殺された」(「思想」)なども。展示は6月30日まで。H.ノーマン生誕101年、E.ライシャワー生誕100年記念。なお、『ライシャワー自伝』中の軽井沢の記述は精彩を放っています。ライシャワーは関東大震災を軽井沢で体験しています。
2010年04月25日 追悼・堀多恵子「堀辰雄・多恵子展」スタート
きのうから、2階展示室の一部を使い、追悼・堀多恵子「堀辰雄・多恵子展」をおこなっています。夫妻で生前写した写真、堀辰雄の主要作品(その一部は『ルーベンスの偽画』『聖家族』『美しい村』のように限定本で今では目にすることが少ない貴重なもの)、堀多恵子さんの著書等を飾って、堀多恵子さんの死去への哀悼の気持ちを込めました。
3月末に出たばかりの最後の著書『雑木林のなかで』も展示。これは300部限定で非売。堀夫人が親しい知人友人に配るために制作したもののようで、和紙の小片に押印と署名書きをはじめたところでご逝去になったとか。でも差し上げる方のリストはできていたよう。表紙には、なんと、堀辰雄が晩年、病床の部屋に複製画をかけていた、ボッティチェルリの「マニフィカトの聖母」がつかわれています。
2010年04月22日 堀多恵子氏ご逝去(続々々)
4月20日12時~、追分教会にて堀多恵子氏の葬儀がおこなわれました。大勢の人がつめかけ、100人くらい収容の教会の部屋はすぐに一杯となり、部屋の外側、建物の外、庭園に張られた2つのテントにて、参加者は堀さんとのそれぞれの関係をかみしめながら、過ごしました。一人一人の献花が終わり、2時に出棺。ご親族のみ高峰の火葬場へ向かい、皆がお見送りしました。私は親族ではありませんが、神西敦子さんや小島千加子さん、田代さんご夫妻らとともに火葬場まで行き、お骨あげもし、夕刻戻りました。おおきな喪失感というか、脱力感が、じわじわと広がっています。葬儀では多くの知り合いと再会を果たしましたが、こうした場で再会するとは思ってもみませんでした。
2010年04月20日 堀多恵子氏、ご逝去(続々)
きのう4月19日午後4時~、追分教会で、堀多恵(本名)さんの前夜式が親族だけでおこなわれました。私も参列しました。堀さんが好きだったという聖書の言葉から、テサロニケの信徒への手紙ー5章16~18節が司式者によって聖書朗読され、私はその言葉に心打たれました。「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。どんなことにも感謝しなさい。これこそ、キリスト・イエスにおいて、神があなたがたに望んでおられることです。」これはふだんの堀さんの生き方、生活態度そのものだったように思います。
最後に、菊地和世さんが挨拶、私は和世さんの挨拶に深く感動しました。
2010年04月20日 堀多恵子氏、ご逝去(続)
堀さんの奥さまが亡くなられて3日目。きのうの新聞朝刊各紙に載ったため、きのうも1日じゅう、高原文庫に問合せや連絡等が数多くあり、その対応に追われました。その一方、私自身の中には、空虚感のようなものが広がっています。
最初にお目にかかったのは1985年の年初、場所は杉並区成田東の堀さんのご自宅でした。階段を上がった2階でした。あれから25年、ずっとお世話になりっぱなしでした。
2010年04月18日 堀多恵子氏、ご逝去
堀辰雄夫人、堀多恵子さんが16日夜10時5分前頃、追分のご自宅で、逝去された。誠に残念の極みである。96歳。
わたしはきのう午前、お宅を訪ね、まだベッドに横たわった状態の堀さんの奥さまにお目にかかった。口元に笑みを浮かべたようにも感じられる温顔であった。和世さんや、和世さんのご主人の菊地先生に少しお話をうかがい、辞去した。
今朝の新聞報道は老衰あるいは肺炎と両方あった。
「なかなかお迎えにきてくれないのよ」と堀さんはよくおっしゃっていた。
堀辰雄逝去後57年にして、ようやく堀さんはご主人のもとへ旅立ったわけである。
謹んでお悔やみ申し上げます。
2010年04月17日 大雪、気象異変
軽井沢は昨夕からの雪が今も降り続いていて、現在、30センチくらい。午後は晴れの天気予報ですが、このところ気象がおかしいとは思いませんか? きのう、おとといも気温が低く、きのうの最高気温は0.3度、平年より13度ほど低いとか。
さて、きのう午後、渡辺淳一さんが高原文庫を訪れました。有島武郎別荘で高田万由子さんらとテレビ撮影(テレビ東京「いい旅夢気分」)をされました。
2010年04月16日 あすから英国ナショナルトラスト展(睡鳩荘)
あすから英国ナショナルトラスト展を睡鳩荘2階で開催します。5月23日まで。写真家森下茂行さん撮影の写真や説明パネルなどで紹介します。この団体は創立が1895年ですから、今から115年前。「ピーターラビット」の作者ビアトリクス・ポッターの湖水地方の家や、政治家チャーチルの別荘、最近ではジョン・レノンやポール・マッカートニーの家なども所有・保護しているのをご存知ですか?
歴史的建物だけでなく、海岸線や農場、沼、遺跡、運河、風車、ハドリアヌス帝が築いた壁など、ありとあらゆるものが保護対象になっています。
スタートはアルフリストンという片田舎にあった、すでにぼろぼろだった牧師館を残すためにアピールを発し、保存したことでした。1895年。私もかつて、この小さな牧師館を訪ねたことがありますが、トラスト活動の原点に立った思いで感無量でした。
2010年04月14日 通信75号を編集中
ただいま高原文庫通信75号を制作中です。友の会会員の方には年度更新のご案内が遅れていて、申し訳なく思っています。印刷する一歩前くらいにきています。もう少々お待ち下さい。
2010年04月10日 E.H.ノーマン図書館
きのう、E.H.ノーマン図書館に行ってきました。カナダ大使館の地下2階にあります。広汎な分野にわたる、カナダおよび日本関連の英語、フランス語、日本語の約15,000点にのぼる図書を収蔵。元カナダ大使ノーマンの名前を冠した図書館です。同じ階には、高円宮記念ギャラリーもあります。
私が行ったのは、24日から堀辰雄山荘で行う「H.ノーマンとE.ライシャワー展」に関連してのこと。担当者の方に面会し、話を聞いていただきました。
すぐ隣は高橋是清記念公園の日本庭園で、桜が微風に舞っているのがとりわけ印象的でした。
2010年04月08日 水村美苗
きのうのゼロ年代の50冊の続き。50位までにただ1人、2冊ランクインしている人がいます。女性作家の水村美苗さん。本は『本格小説』『日本語が亡びるとき』。
『日本語が亡びるとき』は2008年の刊行時、大きな話題になり、雑誌の特集にも組まれましたが、私は今年2月に初めてこの本を通み、今まで深く考えていなかった、日本語で書くということの意味を、改めて考えさせられました。
人口の少ない国の作家が、母国語で小説を書いても全世界の人に読んでもらえないという悲しい現実。逆に、英語で小説なり学術論文を発表すれば、瞬時にネットを通じて情報が伝わり、全世界の人に読んでもらえるという現実。英語の圧倒的優位の時代になってしまったという現実。全世界の過去の文字情報、図像などを網羅するグーグルプロジェクトのこと。多重言語者のこと。
しかし、水村さんはそうしたことから出発して、水村さんなりの思索をはじめているのです。日本語で書く作家として、夏目漱石や福澤諭吉ら、近代日本の表現の礎を築いた人たちの苦闘に思いを凝らす。日本の英語教育のあり方について提言する……。
私は加藤周一『日本文化における時間と空間』とほぼ同時にこの本を読んでいて、加藤先生の無駄のない文章に驚嘆しましたが、水村さんのこの著は、日本人の誰にも関わる普遍的な問題提起が含まれていると感じました。
2010年04月07日 中村真一郎『木村蒹葭堂のサロン』
先日、新聞・雑誌等の書評を担当する151人に、2000年~2009年までの10年間に日本で出た本に限定して、「私のベスト5」を聞いたアンケート結果を点数化したベスト50が発表されていました(4.4朝日新聞)。とても興味深い内容でした。
たとえば、中村真一郎『木村蒹葭堂のサロン』が7位にランクされていて、私は驚喜してしまいました。これは中村先生の遺著。刊行は没後。江戸時代の大坂商人で、文人で本草学者の木村蒹葭堂の評伝に、中村先生が晩年、どうしてあれだけのエネルギーを注いだのか、私は今もってこれという答えをつかんでいません。私のなかに持ち続けている問いの一つ。
ちなみに1位はジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』。
2010年04月06日 文庫近くに新美術館
高原文庫近くに千住博美術館(仮)が開館予定。オープンは来年。建築工事はもうだいぶ進み、ガラスを多用した、曲線的な外観はほぼできあがっています。設計は先日、2010年のプリツカー賞を受賞した建築ユニットSANAAの妹島和世氏と西沢立衛氏と聞きます。運営はユーキャンの財団。
2010年04月04日 全国文学館協議会 紀要3
「全国文学館協議会 紀要3」が到着。年1回、未公表資料の発表の場を持たない文学館向けに始まったこの紀要刊行事業は、この3号をもってようやく軌道に乗った感があります。今回、北は岩手から南は金沢まで、6館の学芸員、研究員が発表しています。私には「室生犀星 恩地孝四郎宛悼辞」というのが目を惹きました。なんとこの悼辞は「葬儀に持参されたがよまれずそっとおいて行かれたもの」であったということです。
2010年04月03日 『動的平衡』
私事ですが、今年の元旦に私が読んでいた本は福岡伸一『動的平衡』でした。暮れから読み始め、面白くてつい年を越しても読み続け、元旦に読んだ本の一つとなってしまいました(数冊ずつ並行して読んでいるため)。この本が著者のほぼ最初の一般向けの著作であったこと、ほぼ10年くらいかけて書いたということなど、意外でしたが、これは読むに値する、生命の根源に触れる書と思いました。しかも文章が優しい。
2010年04月01日 トルナイ『ミケランジェロ』
ハンガリー人の美術史家、トルナイの『ミケランジェロ』を先日、読みました(田中英道訳、岩波書店刊)。この人は、ミケランジェロ研究の第一人者らしく、システィナ礼拝堂天井画やユリウスII世墓廟の微に入り、細に入った説明にはちょっと驚かされましたが、この本の中にピエトロ・セレーナという言葉が出てきて嬉しくなりました。青澄石。ミケランジェロが使用した石の一つで、高原文庫敷地内の立原道造詩碑もこれと同系。この本の中で、ミケランジェロは大きな仕事があると、カッラーラの石切場の足を運んだといいます。彼はまた、仕事の関心が、彫刻、絵画から、やがて詩や建築に移行したということもこの本で詳しく知ることができ、しかもその詩にはある女性との出会いが介在していたことなど、思いがけない収穫でした。
アーカイブ 2010年3月
2010年03月31日 年間イベントスケジュール決まりました!
軽井沢高原文庫の2010年展覧会およびイベントスケジュールの内容、日時がすべて確定しました。随時、ご案内いたしますが、この夏の高原文庫の会は8月7日(土)午後1時~、高原の文学サロンは9月4日(土)午後2時~、などとなっています。夏季特別展は、開館25周年記念特別展「軽井沢・宿と文士」です。なお、堀辰雄山荘にて、「H・ノーマンとE・ライシャワー展」(4月24日~6月30日)、「ヘルマン・ヘッセ昆虫展」(8月1日~8月31日)のミニ展示も行います。友の会会員の方には来月下旬、館報にてお知らせいたします。
2010年03月30日 雪15センチ
きのうの朝、軽井沢は雪が約15センチ積もっていました。びっくり。今年は冬の後半、よく降ります。しかし、昼間はよく晴れましたので、夕方にはほとんど融けてしまいました。
2010年03月28日 立原道造「風信子忌」
きのう、3月27日、立原道造「風信子忌」に行って来ました。谷中・多宝院での墓前祭、池之端・鴎外荘での記念行事、懇親会、そして最後は立原道造記念館見学と、道造さんにどっぷりつかった一日でした。記念館の運営は非常に厳しく、今後の見通しが立たないとの窮状が、宮本館長代理から挨拶の中でご説明がありました。しかし、来年、必ず「風信子忌」を行いたいとも。年来の存じ上げている方とも旧交をあたためることができました。母が水戸部アサイと女学校が同級生だったという男性、祖父が立原道造商店に勤めていたという女性、作曲家小林秀雄氏、東大大学院で立原道論を書いているという若い研究者など、今回初めてお目にかかる方もいました。立原道造賞受賞の建築家とも再会し、しばらく話をしました。山崎剛太郎、粟津則雄、安藤元雄、佐岐えりぬ各氏がご出席。記念講演は窪島誠一郎氏。
2010年03月26日 辻佐保子、磯崎新対談
昨年8月に当館庭で行われた辻佐保子、磯崎新両氏の対談「軽井沢の不思議な家」を今、テープ起こししています。アドリブでのお話だったがゆえの、自由闊達な興味深い内容で、ぜひ記録として残しておかなければとの念を強くしています。
2010年03月23日 「H・ノーマンとE・ライシャワー展」予告
3月1日から春季企画展「文学に描かれた軽井沢120年の物語」を開催しています。きのうは川端康成と立原道造のコーナーの資料差し替えを行いました。中央の立体ケースには山口蓬春の日本画の小品2点を掛けてあります。初展示。土筆と蝶の絵です。
4月24日から堀辰雄山荘でおこなう小展示「H・ノーマンとE・ライシャワー展」について、予告しておきましょう。H・ノーマンは歴史家でカナダ人外交官。101年前、軽井沢で誕生。E・ライシャワーは歴史学者で、のち駐日アメリカ大使やハーバード大学教授。100年前、明治学院大学の宿舎で誕生。2人は少年時代、夏の軽井沢で一緒にテニスをした仲でした。ノーマンの父は「軽井沢の村長さん」と親しまれたカナダ・メソジスト派の宣教師ダニエル・ノーマン。ライシャワーの父はアメリカ・長老派教会の宣教師オーガスト・ライシャワー。今回は、ともに軽井沢にゆかりの深い2人の生誕100年を記念して、写真、日本での著作などを中心に、その人と業績の一端を、堀山荘「暖炉のある部屋」において紹介します。
2010年03月22日 黄砂降る!
きのう、強風が吹き荒れ、軽井沢でも多量の黄砂が降りました。車のガラスがすべて真っ白くなってしまいました。一時、雪も降ったため、雪が融け、ガラス全面に痕跡をのこしたようです。黄砂の発生地は中央アジアのゴビ砂漠やタクラマカン砂漠などといわれますが、もしそうだとすれば、ずいぶん長い距離を旅してきたことになります。
なお、きのう建築史家の鈴木博之東大教授が奥様とご来館になりました。立原道造のポストカードをたくさんお買い求めになりました。
2010年03月20日 新潟「深沢紅子展」本日からスタート!
新潟市にあるNST新潟総合テレビ本社での「深沢紅子展~野の花を描く~」がきょうからスタートします。私はきのう、作品の飾り付けのため、新潟に行ってきました。1階、3階の計3部屋をそれぞれ、油彩室、水彩室、屏風室に明確に分けて展示しました。作品点数は油彩27点、水彩42点、墨絵6点、屏風6点、掛軸1点、挿絵・装丁本10点の計92点ほか、というまさに壮観の展示会。ほぼ1日かかって飾り付けを終え、テレビの番組収録も済ませ、夜半、手袋・マフラーの要る軽井沢に戻ってきました。展覧会は今月29日まで。
2010年03月17日 韓国から建築家、ギャラリーオーナーら来館
3月16日、ソウルから建築家、アーティスト、ギャラリー・オーナー、銀行家の4人がご来館しました。私は事前にご連絡を受けていたので、高原文庫の各施設をご案内しました。韓国には文学者の別荘を移築保存し、一般公開しているという例はあまりないとのことで、皆さん、敷地内に復元した堀辰雄山荘、野上弥生子書斎、有島武郎別荘をとりわけ熱心にご覧になっていたのが印象的でした。
2010年03月16日 『古事記』読後
日本最古の著作であり、文学書といってもいい『古事記』(712年成立)を岩波文庫版と福永武彦訳『古事記物語』を読み比べながら、読了しました。そこに出てくる古代歌謡の面白さに目を開かれ、今は「神楽歌」「風土記」にとりかかっています。それはさておき、日本の古代神話、王権の成立、天皇家の系譜といったテーマが、私の中で浮かんできました。『古事記』を読む限り、たとえば重要な場としての位置を与えられているのは、最終的には大和であり、大坂であるようです。その前には九州。繰り返し現れてくる場所として出雲があり、伊勢などがあります。九州北部から畿内に移動し、そこで王権が確立した、と見る見方がやはり自然のようです。一方、壱岐、出雲、因幡、新羅といった日本海(東シナ海)の地名がところどころに登場するのは、やはり朝鮮半島との深い関わりを示唆しているのでしょう。なお、『古事記』が著作物であること、自己を正当化するためのものであったかもしれない点も考慮しなければなりません。
かつて加藤周一氏は、その著作の中で、日本の神は「成る」という点に、注意を促していました。それはユダヤ教、キリスト教、イスラム教などの神と決定的に違うと。『古事記』の表現では、神は「成った」となっています。
2010年03月15日 新潟市で20日から深沢紅子展
新潟市で3月20日から「深沢紅子展~野の花を描く~」を開催します。3月28日まで。主催はNST・駒形十吉記念美術館。場所はNST新潟総合テレビ本社(新潟駅から徒歩7分)。作品は深沢家から16点、深沢紅子野の花美術館から70点余りを出品予定。油彩、屏風、水彩など90点ほどが一堂に会する珍しい展示になりそう。私も3月19日に飾りつけに行ってきます。入場無料。
2010年03月13日 加賀乙彦館長朝日新聞インタビュー「2010 東京 そして私 」
2010年3月12日付朝日新聞オピニオン欄で、加賀乙彦館長のインタビュー「2010 東京 そして私 」が大きく紹介されています。とても読み応えがあり、私は3度熟読しました。このアプローチの仕方はかつて、私の記憶では3年ほど前、日本経済新聞が大きく取り上げた取り上げ方と似ていますが、それをもう少し作品そのもの、および東京の越し方行く末という2点に重心を据えたものと言えます。加賀先生の紹介の仕方としてはこれはベスト(の一つ)と私には思えます。一つの主題を20年以上も歴史資料と格闘し、思索しながら悠々と書き続ける作家は、今日、他にほとんど見られないからです。1985年に「新潮」に連載が始まった『永遠の都』『雲の都』シリーズは、一時中断をへて、現在も続いています。
2010年03月12日 磯崎新 文化の「鎖国化」で独自価値を
これだけ情報があふれ、日々否応なくさまざな情報が私たち一人ひとりのもとに飛び込んできます。それが正しい情報なのか。自分にとって大事な情報なのか。そうしたことを常に見極めなければなりません。
一月ほど前、磯崎新氏が日経の「領空侵犯」インタビューで、日本は今は和様化に徹すべき、というグローバル化という潮流に逆行するような内容のことを唱えていました。磯崎さんは、最近の日本の政治や経済の動きを見ていると、外に対してあまりにもびくびくしすぎていると見ているようです。島国である日本の歴史をさかのぼって考えると、外圧→内乱→大陸からの文化や技術の移動→日本的なものに洗練(和様化)→今までなかった野蛮なものを持ち込んで転換、という変化を繰り返してきたというのです。今こそ、グローバル化により外から持ち込まれたものを和様化する、文化の鎖国時代に突入すべきだと。かつての安土桃山文化、江戸時代の近松門左衛門や葛飾北斎に代表される町人文化が成熟したように、もしかしたら、アニメや漫画、秋葉原に象徴されるオタク文化のようなもの、あるいはネット社会で生まれたブログサイトが和様化して一大文化に成長するかもしれないと見ています。
2010年03月11日 『古事記』
マンガ『古事記』を読み、面白かったので、岩波文庫『古事記』(倉野憲司)を再び取り出して、読み直しています。同時に現代語訳もと思い、福永武彦『古事記物語』と読み比べています。福永さんのは少年少女向けに書かれた訳のため、原文のなまなましさを削ってしまったところがありますが、なんといっても文章にリズムと品があります。私は上巻の部分にとりわけ興味をそそられました。712年に出来た日本最古の書物です。江戸時代、本居宣長が20年以上かかって『古事記伝』44巻を刊行したことに、今更ながら思いを馳せています。
2010年03月09日 映画「加藤周一 幽霊と語る」上映中
加藤周一氏が2008年に他界するまでの2年間に寄り添い、最後のメッセージを記録した映画「しかし それだけではない。」が、東京・渋谷のシネマ・アンジェリカで上映されています。副題は「加藤周一 幽霊と語る」。製作は元NHKディレクター桜井均氏。(以上、日経2010.3.4記事より)
私はこの映画をまだ見ていません。昨春、堀辰雄山荘で加藤周一全著作展を開催した際、加藤夫人からのお電話で、映画を撮っているNHKの方と展示を見せていただきました、とおっしゃったので、私の不在時にいらっしゃったことを知り、残念に思ったものでした。加藤夫人にはその前、3月にお目にかかりましたが。
加藤先生の晩年の『日本文化における時間と空間』を私は今年になって、時間をかけて精読し、これは初期の『芸術論集』などから一貫して続く、加藤先生の日本文化論のいわば決定版であることを確信しました。そこに強く主張された、日本文化の特質の一つとしてまず挙げるべきは、「いま、ここ」に生きることである、とする指摘は、もう少し、私なりに時間をかけて考えてみたいと思っています。
2010年03月08日 館長の信毎好評エッセー
今年1月から館長が、信濃毎日新聞に月1回、「思索のノート」と題するエッセーを発表しています。毎回、普遍的、根源的なテーマが取り上げられています。3回目は3月6日。今回のテーマは、死刑廃止論。ここでは、死刑囚の残酷な日常生活が語られています。日本は、少なくともこの問題に関する限り、世界の後進国であることを知りました。
2010年03月06日 軽井沢検定合格発表
昨日3月5日、2月に行われた初の軽井沢検定試験(3級)の合格発表が行われました。100問の設問の内、10問が文学。文学は難しかったという声が聞かれました。4択のマークシート方式。20代から80代までの284人が受験したと聞いています。次回は8月22日(2級、3級)。軽井沢検定に関する問合せは軽井沢観光協会まで。
2010年03月05日 ボッティチェリ
『フィレンツェの美術』全六巻(小学館)を眺めながら、花の都フィレンツェの芸術における絶頂期の作品群にあらためて感動しました。ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ラファエロの3巨匠は、どう見ても芸術性、完成度、質の高さにおいて群を抜いています。かつてサン・マルコ美術館を訪ね、私が出会って感激したフラ・アンジェリコも、違った意味で迫ってくるものがあります。そしてフィレンツェといえば、ボッティチェリ。「プリマヴェーラ」「ヴィーナスの誕生」は今回も釘付けになりました。どうしてこのような作品が生まれえたのでしょう。まったく不思議です。同じボッティチェリの「 マニフィカトの聖母」は今回、私が認識を新たにした作品です。じつは今年はボッティチェリ没後500年! 大規模なボッティチェリ展がどこかの都市で開催されないでしょうか。
2010年03月04日 『福永武彦論』
西岡亜紀『福永武彦論』は、比較文学的視点から福永武彦の作品を論じた研究書。福永武彦が世を去って30年ほどが経過した現在、単行本ととして福永武彦の作品を論じたものはいまだ数点しかないと思われます。もちろん比較文学的視点からのアプローチは初めて。フランス文学、とくにボードレールとの比較を通じ、福永武彦の作品の生成に迫る本書は、お茶の水女子大学の博士論文がもとになっているとか。
2010年03月03日 「文学に描かれた軽井沢120年の物語」スタート
3月1日より新年度がスタートしました。2階展示室では「文学に描かれた軽井沢120年の物語」を開催しています。ぜひお出掛け下さい。